156食目、樹精族とハクとカレー
カズトはシドニス国王が兵士に対して行ってる扱きを散々聞き、精神的にお腹がいっぱいになったので次のところへ見て回る。
ちょうど樹精族であるリリシーからお代わりの要望があった。
「お待たせ致しました。ベジタブルグリーンカレーでございます。辛さは甘口でございます」
「カズト兄様、ありがとうございます。リリシーは、いつも食が細いですけど、このカレーとやらは次々と食べられます。まるで魔法のような料理です」
龍人族や巨人族と比べると樹精族は、そんなに食物を食べる種族でないが、リリシーは既に三杯目を食べている。
良くこんな小柄な体に入るもんだ。というよりも、カレーに使ってる香辛料が食欲を刺激してるのだろう。
「我が娘が、こんなに無我夢中で食べるなんて初めて拝見したのよ。これもカズト様がお作りになられたカレーとやらのお陰ね」
「ルルシー女王陛下、私にとってたくさん食べられる事は料理人冥利に尽きます」
普通にお辞儀をした積もりのカズトだが、顔に何か付いてるのか?リリシーが、ジーーっと俺の顔を見詰めてくる。
「リリシー様、お代わりでしょうか?」
「いいえ、何でもありません」
若干頬を赤くしながらカレーを頬張る。だけど、頬張り過ぎたのか、噎せてしまう。
俺は、リリシーの背中を優しく擦り、ゴホゴホと咳が止まるまで待った。
「カズトお兄さま、ありがとうございます。カズトお兄さまの前で、お恥ずかしい姿をお見せしてしまいまして、ごめんなさい」
「そんなに急がなくても、カレーはまだ大丈夫です」
「そ、それは大変良い情報です(カズト兄様に気付かれなくて安心しました。ですが、何か複雑な気分です)」
リリシーも何故自分が頬を赤くしたのか理解していない。それ故に首を傾げるが結局答えは出ないのであった。
「ハクも美味しいか?」
「キュっ!キュルルルル」
「そうか、次はカツカレーが良いんだな」
「カズトお兄さまは、ハク様の言ってる事が解るのですね?」
「いや、何となく意志疎通が取れるだけだ。ほら、ハクのカツカレーお待ちどう様」
【人化】が使えないハクが爪を器用に人間を含む種族ぽくスプーンとフォークを使用している。
ハクには悪いが多少は溢すと考えていた。俺は静かに内心でハクに謝る。
「羨ましいです。リリシーもハク様とお喋りしたいです」
俺自身もリリシーと同じでハクと話をしたいと思っている。シンパシーと言ったら良いのか?今は何となくハクが伝えたい事が解る程度だ。
もしハクが【人化】を使えるようになったら、どんな声をしてるのか今から話す事が楽しみでしょうがない。
それにしても、あの小さな体にどうやって収まってるのか気になるところだ。身長は、60cm程しかなくリリシーよりも食べている。
「妾にもお代わりをお願い出来るかしら?」
「はい、今お持ち致します」
ルルシー女王陛下からカレーのお代わりをお願いされた。直ぐ様にグリーンカレーを持って来るように指示を出す。
ルルシー女王陛下も娘に負け時と見た目によらず皿を積み上げる。
スレンダーな体つきで、ハクとは違う意味で親子共々良く入るものだと感心してしまう。
「キュっ!ガウっギュル」
「えっ?次はコロッケカレー?食い過ぎじゃないか?」
「ガウっキュルル」
「分かった分かった。おい、コロッケカレーを頼む」
体は小さくとも龍人族のだけあるのか。巨人族や鬼人族並みに皿をわんこそばみたく積み続けてる。
念のためにボーロの部下数名を厨房に残して来て正解だったかもしれない。
このままでは、カレーやご飯が空になりそうな勢いだ。カレーが、カズトの予想を遥かに上回り、みんなの食欲を刺激してしまったのだろう。
「ハク、お待たせ致しました。コロッケカレーでございます」
「キュル!」
「おい、もうそろそろ補充を頼む」
「はっ!了解致しました」
目の前に置かれたコロッケカレーにハクは、喚起の雄叫びが響き合い、コロッケにカレールーが掛かってる部分をスプーンですくい頬張る。
そんな様子をジーーっと見てるリリシーとルルシー女王陛下は、王族らしからぬ表情で見詰めてる。
コロッケカレーを食すハクを見詰めながら二人ともチラッチラッとカズトを『『私達もアレが食べたい』』と視線で訴え掛けてるような表情を向けている。
「はぁー、コロッケカレ━━━━いや、コロッケグリーンカレーを2つ頼む」
「はっ!承りました」
俺が、コロッケカレーでしかも、ルーをグリーンに変更して頼んだ事にリリシーとルルシー女王陛下の二人は歓喜の笑みを浮かべいるのである。




