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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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153食目、龍姫とイチャイチャする

 ブラディーが辛くて吐いた炎は、近くに俺達には暖かいというか熱い。火力が必要とする中華鍋を振るってる時よりも熱い。


「済まない。思わず、驚いてしまい【炎のため息(ファイヤーブレス)】を使ってしまいました」


 道理で熱い訳だ。

 だって、本物の炎だったもの。それにしても本場のブレスは近くで見ると、迫力があって男である俺は、内心熱いというよりドキドキやワクワク感の方が勝っている。


「それで味の方はどうでした?」

「辛味の後から複雑な旨味が追い掛けて来るようだ。説明が下手ですみませんな。ただ我輩には、ちょうど良いようです」


 それは良かった。ブラディーは、激辛でも平気のようだが、人によって辛さが苦手な者もいる。

 そのために辛さのランク別に作っておいて正解だったようだ。


「キューティー女王陛下、カレーのお味はどうですか?」


 無言でカレーをスプーンで掬い口に運んでからラッシーを飲む事を繰り返している。

 良く美味しい物を食べてると無言になるって言うけど、まさにそれだ。


「あら?カズト様なにかしら?あっ、カレーお代わりお願いするわ。ビーフの中辛ね、間違えないように」


 キューティー女王陛下も相当カレーを気に入ったらしく、自分でお代わりを頼む程だ。


「相当気に入ったようですね」

「カズト様も意地悪ね。ワタクシの国に参らした時にこんな美味な物をお作りになりませんでしたもの」

「すみませんでした。材料が手に入りませんでしたので、お許しを」


 魔王討伐の旅で寄った時は、まだ俺には【異世界通販ショッピング】は持ってなかった。

 香辛料スパイスなくてはカレーは出来ない。その当時、魔法大国マーリンにある事は知らなかったし、国家機密だから容易に知る事も出来なかっただろう。


「材料が手に入らないのであれば、許してあげます」

「キューティー女王陛下の寛大な配慮、有難う御座います」

「許してあげたのですから、ワタクシの頼み聞いてくれますよね」


 そう来たか。何を頼まれるのか、キューティーの笑顔が恐く見えてしまう。

 ビクビクと震えながら、俺はキューティーに聞いた。


「な、何をすれば良いんだ」

「ワタクシのお━━━━」

「結婚するのは無しだからな」


 絶対に「ワタクシの夫となってくださいまし」と言おうとしたに違いない。

 俺がキューティーと結婚する事になったら龍の渓国ドライアーに永住するかもしれない。

 それに、龍人族ドラゴノイドは一夫一妻制だ。複数女性を妻に取れない。

 つまり、キューティーと結婚するならみんなと別れる必要が出て来る。


「ちっ……………ぜひ、ワタクシの国にみんなで来てくださいな」


 今、舌打ちしたよね。何もなかった風に話してるけど、舌打ちしたよね。


「それなら良いけど」

色龍の長達(カラーズ)の皆さんも会いたがっていますのよ」


 色龍の長達(カラーズ)とは、それぞれ龍人族ドラゴノイドは個人の得意な魔法属性や技術スキルによって〝色〟に分けられている。

 それぞれの〝色〟の頂点に君臨する龍人族ドラゴノイド達が色龍の長達(カラーズ)と呼ばれている。

 因みにブラディーも色龍の長達(カラーズ)だ。ブラディーは、黒を携わっている。

 黒が得意とされる魔法は闇魔法とされている。それと何故か辛い物好きが多いらしい。


「そ、そうですか」


 カズトも久し振りに会ってみたいが、色龍の長達(カラーズ)は変人ならぬ変龍ばかりだ。

 ブラディーが一番常識的で例外的だとカズトは思う。だから、キューティーとハクの護衛として選ばれたのだろう。


「話は終わったところで、お代わりです」

「我輩もお代わりをご所望でございます」


 余裕で用意したはずなんだけど、これはほぼ空になりそうだ。他の席も簡単に見渡したが、何処の席もお代わりを連発している。

 この状況だと俺も食わないと無くなる。他の勇者には悪いが我慢して貰うしかない。俺は急ぎで目の前のカレーを平らげた。

 自分で作っといて言うのもアレだが、涙が出る程に美味しい。これはヤバい、良い意味で中毒になりそうだ。

 それにドリンクをラッシーにして正解だった。普通に水を出していたら余計に辛さを強調して、その奥にある旨味にたどり着けていない。


「カズト様、お口にカレーが付いてますわよ」

「えっ?わ、悪い」


 やべぇ、恥ずかしいところを見られてしまった。俺は、口を拭こうと紙ナプキンを取り出し、それで拭こうとしたがキューティーに取られた。

 何で取ったのか分からないが、取り返そうとした瞬間、信じられない事が起きた。

 キューティーが俺の口を拭いたではないか。一国の女王が男の口を拭うなんて普通ならあり得ない。

 だけど、それに気づいた者はいないようだ。俺の口を拭いたキューティーはというと、ニヤニヤと口角を上げ意味深に笑っている。

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