134食目、白い龍ハク
どうにか天界から帰って来たカズトは、マーリン城の入り口まで行く。天界に行ってたので、時間は経過しておらず早すぎたようだ。
まだ到着されておらず、メイドと執事が到着の準備をしているところであった。
魔力から察するに、もうそろそろ空から来賓が来る頃合いだ。今日最初に到着するのは数少ない空を飛べる種族であり、世界最強と轟かせている種族………………それは、龍人族だ。
龍になれる種族であり、種族の内腕力と魔力耐性がずば抜けている。
龍人族の鱗は強靭で刃物だろうと魔法だろうと通さない。鱗自体が一種の鎧と化している。
ただし、龍人族にも弱点があり、逆鱗と呼ばれる逆さまに生えた鱗が一つだけある。
その鱗だけが物理的にも魔法的にも有効で唯一の弱点だ。だが、逆鱗を戦いの最中に探すのは容易ではない。
「これはこれは剣の勇者様。どうしてこちらに?」
「えーと、すまん。名前をまだ聞いてなかったな」
「これは失礼を致しました。私は、執事長をしておりますセバス・チャンと申します」
何か超おしいと感じてしまう。何でそこで区切るのか意味解らない。執事ならセバスチャンだろう。何でセバス・チャンで区切った!
心の奥底でモヤモヤとするものが蠢くが、取り敢えず置いといてカズトはセバス・チャンと話す。
「もうそろそろ来る頃だと聞いてな。俺も、ぜひ見たいと思った次第だ」
それに、また会えるかもと直感が働いた。
カズトが、まだ魔王討伐のために旅をしていた頃に龍人族が住むという龍の渓谷ドライアーに立ち寄った事がある。
そこで色々とあり、久し振りに知り合いに会えるのではと内心ワクワクが止まらない。
「それにもうすぐ来そうだしな」
魔力の反応からするにマーリンの上空辺りだ。後数分で到着してもおかしくはない。
そう思ってると、キラーンと光る何かが落ちてるのが見えた。いや、カズトに向かって急降下で落ちて来てる。
「キュー」
「えっ?!おいっマジでか」
落ちて来てるのは、体全体が白く羽根が生えた生物で円らな瞳が可愛い。その生物にカズトは見覚えが合った。いや、知っている。
魔王討伐の旅に出てから二年頃過ぎようとしていた時、仲間達と川沿いで焚き火をしながら肉や魚を焼いてると、上流から何やら丸い物体が、どんぶらこどんぶらこと流れて来ていた。
カズトは迷いもなく、それを広い上げ川岸に上げた。それは、良く良く見ると卵のようで、ダチョウの卵の10倍は大きい。
卵の表面を触ると、ドクンドクンと脈を打ってる感覚がある。カズトの興味本位で羽化させようと考えた。
もしも、凶悪な魔物の卵なら生まれた時に対処すればいい。生まれたてなら、そこまで驚異ではないはずと考えた。
「キューキュー」
「ハク!どうしてお前が?」
そう、カズトに向かって落ちて来たのは、あの時に拾った卵から孵った〝白龍人族〟の子供である。
名前は、ハク。安直だが、本人もお気に入りのようで嬉しそうに答えてくれる。
「うん?着いて来たのか?」
「キュンキュー」
何となくだが、ハクの伝えたい事は分かる。他の者には解らないらしい。
「ハァハァ、ハク様そんなに急がれては危険ですぞ」
「おっ?お前は、黒龍人族のブラディーか」
「カズト殿、お久しゅうございます」
彼は、闇を司る龍人族である黒龍人族のブラディー。龍人族の皇である龍皇の秘書兼護衛を仕えてる。
ハクが生まれ俺達が届けてからは、ハクに振り回され苦労してると度々噂として話が届いている。が、実際に再開して見ると気疲れはしているものの、何処か楽しそうだ。
「ハク様もカズト殿とお会い出来て嬉しゅうございますね」
「キューキュー」
ハクのお気に入りの場所は、俺の頭の上だ。会わない内に重くなったが、まだ全然軽い。
「姫さんは元気か?」
「龍姫様は、もうそろそろ着くはずです。ハク様が、先に向かってしまい私めが先に先導した次第です。龍姫様もカズト殿にお会い出来ると、それはそれは大変喜んでいられました」
龍姫は、今現龍皇である。俺達が出会った頃は、まだ皇女様であり、その名残で龍姫もとい姫さんと呼んでいる。
そして、ハクの実姉でもある。ハクとは違い、ちゃんと龍から人間の容姿へと変化出来る。
龍人族は、子供の頃だと龍から人間へと変化出来ない。成長するに連れ出来るようになるという。
俺もハクの人化した容姿を見てみたいと密かに思ってる。




