SS7-28、女婬夢族ジブリールの居場所~盗賊の残党、引き渡す~
記憶を改竄した夜の森盗賊団の大半をイナクスに護送していく《正義》、ジブリール、ミスティーナの三人。
帰りは計30人越えの人数なので、かなり速度が遅くなってはいるが、大人しく盗賊達は後を着いて来るので、これでも速い方だ。
逆にこんなにいれば道中、魔物や盗賊が出現しても直ぐに決着がつく。
【転移】という方法もあったが、人数が人数だけに現実的ではない。一人や二人ならそれほど魔力を使わないが、こんな人数がいると魔導師十人ほど必要だろう。
「ミスティーナ解ってると思うが」
「えぇ、こいつらを憲兵に引き渡すまで何処かの宿屋で身を潜めてるわ」
いくらミスティーナの妹分の一人に、ミスティーナの記憶を植え付けさせ、そして姿を模倣させてるからと言っても街中を彷徨いててら誰かにバレる可能性がある。
後ろから着いて来るこいつらを憲兵に引き渡すまでの辛抱だ。それに問題は、まだある。
Sランク以上の任務をクリアしたら登城しなきゃならなくかもしれない。
まぁ《正義》の経験からほぼ100%の確率で城に行く事になる。
Sランク以上の任務を達成すると冒険者ギルドとは他に国王から報償金と勲章に1つだけ願いを出来る限り叶えてくれるという恩賞を貰える。
お金は、いくらあっても困らないから報償金は貰うとして勲章はいらない。爵位を貰っても邪魔にしかならない。
名誉騎士程度なら自由が利くが、それ以外だと領地も与えられる可能性が高く、もし領地を貰った場合、領地経営をしなくてはならなくなる。
だから、勲章はいらない。俺が欲しいのは、もう1つの恩賞の方だ。
「もうそろそろ着くか」
イナクスの門が見えて来た。本来なら夜営も視野に入れていたが、どうにか今日中には戻れそうだ。
その代わりとして盗賊の引き渡しに人数が人数なので時間が掛かりそうだ。
「ミスティーナ、そろそろ良いか?」
「えぇ、ここから少しの間別行動ね」
門番している衛兵に見られる前にミスティーナとは、一旦別れる。ミスティーナならバレずに街の中に入れるはずだ。
ミスティーナと別れてから十数分後、流石に大所帯で目立つため門番をしている衛兵からも見えたようで、こちらに駆け寄って来た。
「これは一体何事ですか?」
「後ろの奴らは、例のSランク盗賊団だ」
「夜の森盗賊団!あなたのギルドカードを確認しても?」
「あぁ、これだ」
俺は、門番をしている衛兵にギルドカードを見せた。そうすると衛兵の顔が青ざめるのが分かる。
Sランク以上の冒険者なんて本当に少なく、端から見ると化け物扱いにされる事も屡々ある。
「ただいま、冒険者ギルドと詰所に行って参りますので少々お待ちください」
衛兵が駆けて行ってから数分後、冒険者ギルドの職員と先程の衛兵と同じ格好であるがお偉いさんだと分かる老紳士が来た。
「そなたがSランクのカズヤという冒険者は」
「えぇ、そうです。もう一回ギルドカード拝見しますか?」
「いや、良い。見ただけで分かる。ただ者じゃない事がな。オッフォフォフォ」
衛兵の老紳士が高笑いをする。どうやら悪い人ではなさそうだ。たまに傲慢ぶる者がいるからな。
「お、お待たせ致しました。ワタクシは、冒険者ギルドイクナス支部にて副マスターをやらせて貰ってますファイと申します。こちらの方は、イクナスで衛兵の隊長を任せられていますガイアス隊長であります」
「オッフォフォフォ、カズヤ殿とは何時か戦ってみたいものよ」
「今は、それどころではありません。盗賊の引き渡しを済ませませんと」
俺らの背後に控える盗賊の残党達にファイが視線を向け、書類を片手に一人ずつ名前と人相を確認し始めた。
「さてとカズト殿、俺らは詰所までお願い致しますかな?そこで色々とお話をお聞かせ貰いたい」
「あぁ分かった。こんな大捕物だったからな。色々聞きたいだろ」
「かたじけない」
衛兵と冒険者ギルドが協力し、夜の森盗賊団を犯罪奴隷の手続きを進めている。
ガイアスによると漆黒土精族と人間は鉱山送り、黒森精族は性奴隷として物好きの貴族に売られ、一生性の掃き溜めとして使われる事になるだろうという話だ。
そして、俺とジブリールには金貨1355枚が冒険者ギルドから支払われる事になった。
「それでカズト様とジブリール様は、一週間後に登城をお願い致します」
イクナス支部の一室にファイが申し訳無さそうに頭を深々と下げながら頼んで来る。
ずいぶんと伝わるのが速い。電話という技術がない分、手紙という手段で大抵は連絡をする。それだと返事が二週間程掛かる。
「ずいぶんと早いな」
「はい、今回は転移門を使わせて頂きました」




