SS1-23、帝国の三勇者~リンカVSウル~
やはり冒険者ギルドは、何処でも似たような造りのようで冒険者ギルドガリウム支店も酒場が隣接している。
やはり年端もいかないような美少女が、それも三人が入って来ると目立つようで、一斉に注目の的となった。
そんな視線やシソシソと声が響くが、そんな事を気にせずに受付へ一直線に向かった。
「冒険者ギルドガリウム支店へいらっしゃいませ。今回は、どんな要件ですか?」
「何か討伐依頼はあるかしら?」
「失礼ですが、皆様のランクをご確認しても?」
受付のテーブルへリンカ・ココア・メグミのギルドカードを提出する。
受付嬢が三人のギルドカードを確認すると、よほど驚愕したのか声にならない声で何か叫んでるが何を言ってるのか分からない。
「落ち着いて下さい。さぁ深呼吸でもしましょう」
ココアが受付嬢を落ち着かせようと冷静に対応した。受付嬢にスーハースーハーと深呼吸をさせた。
深呼吸する際に受付嬢の胸が上下に動いてる様子をリンカが自分の胸と見比べ、この世界が滅亡する程の絶望に染まった瞳になっていく。
「ない物をねだっても仕方ねぇよ」
ドカン
「……………うるさいハエがいたのです」
リンカの裏拳がメグミの顔面に見事命中し、背後から床に倒れ込んだ。
リンカが何をしたのか理解出来たのは、このギルド内でココア以外だと、おそらく指で数える程度しかいない。
「いってぇな。俺のキュートな鼻が潰れたらどうするんだ!」
「男勝りなメグミが、そんな言葉を使うなんて!寒気がしてきたのです」
「それはどういう意味だ、コラッ!表へ出ろ。今度こそお灸を据えてやる」
「返り討ちにするのです」
ドカッドカッ
「二人ともいい加減にしなさい」
冒険者ギルドの外へ行こうとするリンカとメグミの頭に目の止まらぬスピードでココアからゲンコツを貰った。
ゲンコツを喰らった二人は、その場で蹲り頭を押さえ涙目を浮かべている。
☆★☆★☆★☆
「み、見えたか。さっきの」
「いや、何が起きたのか?解らねぇ。さっきのちっこい嬢ちゃんといい、ヒラヒラした服を着た嬢ちゃんといい、一体何者なんだ?」
「ただ者でない事は確かだな。オレが喰らっても悶絶すること間違いなしだな。ガッハハハハ、手出ししない方が身のためだぜ」
「Aランクのジャックが言うのなら間違いなしか」
「その通りだな。ギャハハハハ」
ジャックというAランク冒険者の男がリーダーをやってるパーティー:勇敢な有翼の獣のメンバー達が笑い飛ばしてるところで、ガタンと椅子思いっきり後退させ立ち上がる筋骨粒々な男がいた。
その男の筋肉は、まるで鉄壁の鎧のようで上半身何も装着していない。
その代わりに体のいたるところに紋様らしき黒い線がはしってる。
名前は、ウル。勇敢な有翼の獣のメンバーを一通り見渡し、最後にリーダーであるジャックに向けて、こう言い放った。
「何時から勇敢な有翼の獣は、悪戯好きな小鬼に成り下がった!そんなに弱虫な集まりだったのかよ」
無理もない。
今、受付にいるリンカ・ココア・メグミの三人を端から見たら、美少女だけど低ランクのパーティーに見えてしまう。
いくら三人のやり取りを見ても『自分が殺られる』ような言葉を口にしないはずだ。
それが今、冒険者ギルドガリウム支店にいる勇敢な有翼の獣以外のほぼ冒険者の総意だ。
「いいぞ、ウル。もっと言ってやれ」
「ジャックよりもウルの方が強いんじゃないか?」
「それはちげぇねぇな」
「「ギャッハハハハハ」」
「これでも泣き虫な事を言うのかよ。ジャック」
「あぁ、言うね。俺は、まだ死にたくねぇんだ。仲間にも危険に晒したくねぇ」
ジャックとその他の冒険者による煽りにジャックは態度を変えず、平然と椅子に座ったままでエールを飲んでいる。
「チッ、いいか。そこで見とけよ」
「あぁ、俺は止めたぞ」
☆★☆★☆★☆
「そこのお嬢ちゃん達、ここは遊び場じゃねぇんだわ。分かったら、家にでも帰ってママゴトでもしてな」
ウルがリンカ・ココア・メグミの三人に近寄り言い放った。遠くから傍観してるジャックは、額を押さえ苦笑いをしてる。
「痛い……………オジサン、だーれ?」
「お、オジサン!」
「リンカ、私達に家へ帰れって言ってましたわよ」
「あ、その方達は━━━━」
受付嬢は、ウルに向かって注意を促すが、ガタガタと震えて四人に声が届いていない。
「ふーん、なーんだ。タダの木偶の坊です。ここにいたら邪魔なので、さっさと帰るがよろしいのです」
「……………木偶の坊……………だと」
ピキピキとウルの額に血管が浮き出てる。これは明らかに怒ってる。
「あちゃー、あのチビッ子ウルの禁句を言いおった」
酒の席に座ってる誰かが叫んだ。どうやら、木偶の坊という単語がウルと呼ばれてる冒険者の禁句らしい。




