SS7-13、女婬夢族ジブリールの居場所~魔法試験~
「お待たせ致しました。こちらが魔法の試験管を務めますAランク冒険者で職業:魔法使いでありますリリーヌさんです」
「ご紹介授かりました、リリーヌです。ジブリールさんには、この水晶玉に魔力を流して貰います」
Aランク冒険者であるリリーヌが手に持ってるのは、何の変哲もない占い師が使いそうな水晶玉だ。
魔道具の一種で魔力の大まかな数値を色で判別出来る代物だ。魔力が多い程に白く光り強くなっていく。
宮廷魔法使いになると、その光陽は、まるで太陽のごとく光ると言われている。その時の水晶玉は先ず直視出来ない。
「これに魔力を流せば良いのね?」
「えぇ、思う存分にやって貰えればと」
思う存分にやれと言われて、ジブリールは手加減無しに魔力を流してみた。
水晶玉は、光るどころかピキッピキッとヒビが拡がり最後には、ただのガラスの破片となってしまった。
「なっ!ジブリールさん、あなた一体何をしたのですか!」
「ただ魔力を流しただけなのじゃが?」
因みに一般な新人の魔法使いの魔力量では壊れる代物ではない。新人魔法使いが測定してみると、まるで夜空に輝く星の中で、五等星程の明るさしかない。
「おそらく魔力だけなら、Sランクか宮廷魔法使い並みですね」
人間の中では、とんでもない魔力量なのだろう。ただし、魔族ならばジブリールの魔力クラスはざらといる。
魔法が盛んとされる魔術族が築き上げた魔法大国マーリンならば、ジブリールの魔力なんか赤子同然と笑われる事になる。
「それでどうなのかしら?」
「慌てないで下さい。まだ、試験は始まったばかりです。次は、魔法属性を検定します」
先程の水晶玉と似た物が台に乗せられ7個横に並べられている。また先程のように壊しそうで怖い。
「こちらは、それぞれの水晶玉に魔力を流す事により属性を明らかにするのです。それぞれの水晶玉につき一種類しか分からないので、そこはご了承ください」
「これに魔力を注げば良いのだな?」
「因みに一般の冒険者で、属性は二種、宮廷魔法使いになると四種は使えるとされてます」
ビクッ!ヤバいとジブリールは感じた。
昔ならいざ知らず、今のジブリールは《恋人》により得意不得意はあるが全属性を使えてしまう。
七属性の内、闇と光だけは例外を除いて人間には逆立ちしても使えないとされている。
形式で用意したと思われるが、闇と光の水晶玉まで反応したら流石に人間でないとバレてしまう。それどころか、闇と光を除いた五属性全部反応させても目立ってしまう。
魔力量ならば、希に測定不能を叩き出る事はあるらしい。が、魔法属性は、そうはいかない。
どうすれば良いのか内心オロオロと焦り初めた頃、頭に何か声らしき音が響いた。
『どうだ、上手くいってるか?』
『…………………!!』
『悪い、【念話】だ。これはお前と俺にしか聞こえない。頭でイメージを思い描くんだ』
『こう?本当だ!話せてるのよ!あっ、そうだ。困った事になったのよ』
念話によって魔法属性の試験について《正義》に説明した。少し《正義》は考える素振りで黙ると、解決案を提示した。
『人間なら難しいが、お前なら出来るはずだ。【属性誤認】を使用すれば、あの魔道具も騙せるはずだ』
ポンと両手を叩きそうになるが、我慢した。何で今まで忘れていたのだろうか?
魔族の底辺でも魔族だ。こんな初歩的な事を忘れていたなんてジブリールは羞恥心が溢れてくるが、どうにか抑えた。
「急に黙って大丈夫?」
「あっ、すみませんなのよ。ボーッとしてましていたのよ。始めてもよろしくて?」
「何時でもどうぞ」
【念話】による会話が、リリーヌには急に黙り不思議と思われてしまったようだ。
それはさておき、解決案が見付かり七つの水晶玉へと向き直った。目標では、闇と光を除き三属性の何れかで反応を見せる積もりだ。
後は適当に【属性誤認】で誤魔化す。
「ふむ、成る程。ジブリールさん、あなたは炎・風・水の三属性のようね」
「新人より一つ多い位なのよ」
「そうね、難しいけど、後天的からでも属性を増える事もあるみたいだから。宮廷魔法使いを目指すのも良いかもね」
「そうか、考えておくのよ」
どうにか怪しまれずに済み内心安堵する。
因みに人間以上に魔法が不得意な種族はいない。ただし、人間の貴族達はそれを否定する。
魔法だけでなく、様々な分野で人間が常に一番だと、偉大だと人間の貴族達は唱えている。
「次ですが、魔法の操作能力を見ます。いくら魔力が高くとも操作能力が出来ないと、暴発・暴走の恐れがありますから」
「確かにその通りなのよ」
「あそこに的が見えますか?あれに向けて魔法を放って貰います」
リリーヌの指の先には、的がおよそ20m先に5枚立っている。見た限り的の素材は、木材でなく何らかの金属で出来てるようだ。
「あれに当てれば良いのね?」
「えぇ、新人なら一枚でも当てる事が出来るなら御の字ってところね」




