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勇者レストラン~魔王討伐して、やることないのでレストランを開きました~  作者: 鏡石錬
3章魔法大国マーリン

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SS8-3、スゥの1日~スゥ、刺客を捕まえる~

 ブニュ

『うん?何か踏んだか?』


 男三人の内一人が二階へ続く階段を上がろうとした瞬間、プニュと何か柔らかい物を踏んだ。

 灯りを点けようにも今点けたら家主にバレる恐れがある。


『気にすんな。それよりも早く行くぞ』

『へい、わかりやした』

『ぐへへへへ、早く女どもを犯してぇな』

『サセマセン』


 突然、【念話】に割り込んで来た声に三人の男は驚愕を隠せないでいる。【念話】に割り込めるって事は、相当自分達との実力差が上って事になる。それだけ高等技術ハイスキルという事だ。

【念話】に割り込んだ相手を探そうと、男どもは周囲をキョロキョロと探すが見付からない。


『ドコヲミテルノデスカ?』


 男どもの足元から液体状の物体が重力に逆らうかのように男どもの体に纏まりつく。

 この物体の正体は、先ほど男の一人が踏んづけたスゥの【分身体】の一体だ。

 カズトの大事な場所を護るため、配置してた【分身体】の一体が見事に侵入者の男どもに引っ掛かった訳だ。


『なんじゃこりゃ?!』

『くっ、取れねぇ』

『ベタついて動けない』


 まるでゴ◯キ◯リホ◯イホイみたく身動き取れずに床へ転がってる。それに加え、叫ばれないよう口をスゥの粘液により塞がれている。一応、鼻は開いてるため呼吸は出来る。

 結局、動けないまま朝を迎えてしまった。


「何だ?こいつらは?スゥ、報告をしろ。昨日、何かあったのか?」

「シンニュウシテキタカラ、ツカマエタノ」


 床に横たわってる男どもは、カズトの顔を見るなり何か叫びそうに唸ってる。というか、うっすらと涙が頬を伝い泣いてる風に見える。


「ドロシーとレイラは、ロープで暴れないよう拘束。スゥは、二人が拘束したら粘液を解くように」

「分かったのです」

「今、持って来るから待っててちょうだい」


 店の奥から、ちょうど良い長さの麻紐をレイラが持って来た。頑丈な紐で縛られてる状態だと、先ずは切れない。


「カズト、縛ったのです」

「こちらもOKよ」

「よし、スゥ粘液を解け」


 スゥが粘液を解除するのと同時に侵入した男どもの口元にあった粘液も一緒に解除された。


「ハァハァ、助けてくれ。何でもやるから助けてくれ」

「ハァハァ、お願いします」

「ハァハァ、お前ら二人裏切る気か?!」

「どうせ、失敗した時点で消されるだけだ」

「消されるくらいなら一矢報いる覚悟はある」

「お前ら………………ちっ、好きにしろ」


 どうやら上手くいけば、こいつらの雇い主の情報を聞き出させそうだ。もしも、こいつらが雇い主の忠誠心が強く口を割らなかった手段として、ミミの自白させる魔法を使う予定であった。

 自白させる魔法を使うと、ミミ曰く多少精神がイカれたり体に負担を強いる事になるらしい。同じ者に多用すると、精神が壊れ廃人と化す。まぁ一回だけでは廃人と化さないので、そこは安心だ。


「で、お前らの雇い主は誰だ?目的は、俺の暗殺か?」

「雇い主は、ブローレ商会。そこの会長であるブラン・ブローレ様だ」

「ブローレ商会って言ったら、王都一の大商会です」

「たしか城にも出入りしたわね。王家とも懇意してる商会の1つだわ」

「そんな大商会様が、何で俺を狙うんだ?」


 自分で料理長シェフ兼経営してる店を悪く言うのもアレだが、どこでもありそうな料理店兼宿屋を狙う理由が良く分からない。

 大商会なら俺の料理店兼宿屋よりもお金は持っているだろうし、いろいろなコネで商品を仕入れ売り捌く事に忙しいのではないか?

 そもそも俺は、今回初めてブローレ商会って名前を聞いた。もちろん会長の名前もだ。


「理由までは知らねぇ」

「本当だ。俺達は、依頼を遂行するだけだ」

「ふむ、ミミ嘘はついてないか?」

「嘘はついてない」


 ミミの右目は魔眼であり、ミミの魔眼は嘘を見破る事が出来る。ミミの前では、嘘は通用しない。しかも、ミミの魔眼は通常とは異なり複数の効果を持ってる。

 ミミ曰く【虹の魔眼】と呼ばれ七つの効果を持っている。ただし、効果によっては強力なため魔力消費が半端ないらしい。

 だから、とある【虹の魔眼】以外は滅多に使用しない。嘘を見破るために使用した【虹の魔眼:嘘つきの瞳(フィクサー)】は、およそ3日に一回が適正使用回数だ。


「そうか、さてとコイツらどうするかな?」

「お願いだ。色々喋っただろ」

「命だけは助けてくれ。このままでは、別の刺客が俺達を殺しに来る」

「お前ら、情けねぇぞ。こんな仕事を始めた時から命はとうに捨てている」

「しょうがないな。ミミ、こいつらに数週間持つ結界を掛けてくれ」

「カズト、良いの?」


 数週間もあれば、追っ手が来る前に遠くへ逃げられるだろう。甘いと思われるだろうが、出来るならコイツらにも生きて欲しいと思ってる。

 だから、一回だけチャンスを与えてやる。もしも、二度目があったなら容赦しない。



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