90食目、魔法大国マーリン行き六日目~暗躍する者達~
「たくよー、こんな所にいやがったぜ。探すヤツの身にもなれってんだ」
「まぁまぁ、それだけ敵にも見つけずらいという事じゃないですか。それに、そんなに口が悪いとモテませんよ」
「《死神》にだけには、言われたくねぇよ。お前みたいな骸骨男に誰が近寄るか!」
《吊るされた男》の女と《死神》の男は口喧嘩?をしながら《星》の男と《戦車》の少女の所へ降り立った。
「まったく、《戦車》は相変わらず寝てんのかよ。こんなナリで近接最強とかあり得ねぇ」
「やっと来たかと思えば、早速口が悪いな。《吊るされた男》よ、ムフフフフフ」
「あぁん(怒)やんのか!コラッ《星》」
「止めなさいよ、止めないとオイちゃん怒るよ」
《死神》の男からドス黒いオーラが吹き出し、周囲の草木が枯れ、地面が干からびていく。
「止めるから、それ止めろ。俺達にも洒落にならねぇから。ムフフフフフ」
「たくよ、止めれば良いんだよな。止めれば」
「分かればよろしい」
《死神》の男から噴出したドス黒いオーラは薄まり、完璧に消え去った。それを確認した途端に《星》と《吊るされた男》はドサッと糸が切れた風に地べたに座り込む。
「「はぁ~…………」」
「それで、まだあの二人は来てないのかよ」
「まだ来てませんね。《教皇》と《隠者》は一番遠いですからね。仕方ありませんよ、ムフフフフフ」
だけど、そうは言うものの仮にも魔神教会の幹部だ。もうそろそろ合流出来てもおかしくない時間帯である。
「クぅぅぅぅぅルぅぅぅぅぅぅミぃぃぃぃぃちゃぁぁぁぁぁん」
「噂をすれば何とやらですね。ムフフフフフ」
ドガァァァァァァン
大砲の弾みたくぶっ飛んで来る人影が近寄って来る。そして、爆睡中の《戦車》の少女へと体当たりするないなや二人共々木々を倒しながら過ぎ去って行った。
「あれは大丈夫なのか?まぁ《戦車》だし大丈夫ですかね。ムフフフフフ」
「さぁ~?大丈夫でしょう。《戦車》ですから」
「頑丈さが売りの《戦車》だから大丈夫じゃねぇか?」
《戦車》と多分だが《隠者》と思わしき人影が通り過ぎ去った方向を見て何の心配してる風もなく、各々は言いたい放題である。
「ハァハァ、やっと追い付きました。ゲホゲホ…………ゲロゲロぉぉぉぉぉ」
《教皇》の男が着いた途端、顔面蒼白になり見事に口からリバースした。その排出物は………《吊られた男》の女の足元に掛かってしまう。
「おや、《教皇》も来ましたか。これで全員ですね。ムフフフフフ」
「おい、汚ねぇな《教皇》。やんのか、コラッあぁん(怒)」
《吊るされた男》の女の足元に掛かった《教皇》の男の排出物からプーンと匂って来る。相棒である《死神》の男からもソッポを向けられる始末。
「あぁ~、スッキリした。何だ?この臭い匂いは………《吊られた男》かよ、近くに寄るなよ」
「おめぇのせいだよ、やるのか!《教皇》」
「俺のせい?何の事か分からんが良いぜ。やってや━━━━」
ドゴォォォォォォン
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」
「ぐぎゃぁぁぁ」
木々が薙ぎ倒された方向から《隠者》の女が戻って来たよりはぶっ飛んで来た。それに巻き込まれる形で《教皇》の男に当たり止まった。《教皇》の男は、目を廻して延びてしまってる。
「クルミちゃ━━━《戦車》の愛を感じちゃう」
直接《吊られた男》の少女の攻撃を喰らったはずなのに巻き込まれた《教皇》の男よりもダメージが少ないように見える。
むしろ、興奮してクネクネと体をくねらせ高揚しており………周囲の仲間が引く程に気持ち悪い。
「…………《隠者》ってこんなヤツだっけ?もっと暗殺者らしく怖いイメージを抱いてたわ」
「昔からこうだろ?《戦車》が関わると性格がぶっ壊れるからな」
魔神教会の幹部内でも素性はおろか名前すら知らない事は珍しくない。幹部全員が割り振らてるコード名としてタロットカードの名前かナンバーで呼ばれてる。
そのせいで常に二人一組で行動してる相棒でさえ、時には間違った名前や性格を把握してない事がざらにある。
「ふわぁ~、もう目が覚めちゃった………じゃない………スピーグースピー」
小柄な体型では考えられない程大きな剣を軽々しく片手で持ち上げ、《隠者》の女がぶっ飛んで来た方向から歩いて来る《戦車》の少女。
コクリコクリと首を振って瞼が完全に閉じている。それも器用に直立不動のまま大剣を背負って爆睡中だ。
「「「…………(また寝るんかい)」」」
《隠者》の女以外は呆れて言葉が出ない。
「いやぁん、クルミちゃんの寝顔も━━━━」
ビュォォォォンと《隠者》の女ギリギリに何かが通り過ぎた。言葉を最後まで発言出来なかった《隠者》の女が後ろを無言のまま振り向くと、そこには大穴が開いた大木とその向こうにある大岩に突き刺さる大剣があった。
大剣は先程まで《戦車》の少女が手にしてた物にソックリだ。いや、同じ物と見て間違いない。
もし、数cm横にずれてたら間違いなく《隠者》の女に当たっていただろう。そう思うと流石の《隠者》の女でもガタガタと震え顔面蒼白となっているのであった。




