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73.運命の出会い?01

「あらまぁ!」

 呑気な驚きの声をあげるのは双子達の母ルミアーナである。

 リーチェ先生の兄で、何の勘違いからかルミアーナが独身女性だと勘違いして懸想しているイースは、ルミアーナを庇うように後ろに隠し竜神に頭を下げつつも警戒し守ろうとしている。


 うん、すごくいい奴なのである。

 不毛な恋が悲しいくらい…。

 しかしルミアーナには、その竜神さまと崇められる竜が主の気配を感じて探しに、この大公宮殿に来たことが分かった。

 竜の心からの叫びがルミアーナにも届いていたから。


「イースさま、ちょっと竜とティムン達の様子が見えづらいですから前に立たないで下さる?」と()()()()()()()()発言をした。


 ルミアーナに悪気はない。

 重ねて言うが悪気はないしイースを嫌っている訳ではない!

 強いて言うなら『飛竜騎士団』という事以外に()()()()()()()がないだけである!(哀れイース!)


「ル、ルミアーナ嬢、しかし危ない」イースは前を譲らなかった。

 それに、ルミアーナは少しだけ苛立った。

 せっかくの飛竜をもっと間近に見たかったのだ!


「む!大丈夫ですわ!あの()は、主を探しにきただけですわよ?あの()の切ない声が聞こえませんでしたの?」


「えっ!竜の声?貴女には、わ!わかるのですか?」


「はぁ?さっきから(あるじ)(あるじ)って可哀想なくらいきょろきょろしているじゃありませんの!」


「ルミアーナ嬢…貴女という方は!」イースは感動しきりだった。


 この美しい女性はどこまで自分を魅了すれば気が済むのだろう!そう思った。

 これほどの()()の出会いがあるなんてとイースは心が震えるほどに感動している。(勘違いだけどね!)


『竜の言葉』が理解できる者など竜神信仰の強いこの国にあっても、膨大な魔力を持つとされている大神官か魔導士が()()いるかいないかである。

 神聖な神獣の竜の声が聞こえる者、それは聖なる加護を持つ特別な魔力を生まれながらに持つ者にしか聞くことは出来ないとされていた。


 ルミアーナには普通に聞こえるので、イースが何に驚いているのか分からなかった。

(もちろん魅了する気なんぞ露ほども無い!)

 この国のしかも飛竜騎士が、今自分が聞こえている竜の声を聞けないなんて夢にも思わなかったのである。


 そんな事よりもルミアーナは(竜ってしゃべれたんだ!賢~い!)などと軽く思っていたくらいである。

 ちなみにティムンもリミィも似たような感想だった!


 ルミアーナはイースは気にもかけず、再び竜とティムンと子供達に目を凝らした。

 竜の乱入は思いがけない想定外な出来事だったが面白い事になったものだとワクワクしていた!


 そして肝心のジルは、前世で飼っていた子竜がこんなに大きくなったのかと驚きながらも、リミィがティムンに無事、受け止められた事を確認すると懐かしそうにバルコニーに出て竜に手をのばした。


(あるじ)っ!(あるじ)っ~っ!』と、その巨大な竜はジルが伸ばした手に頭を頬をこすりつけて泣いて喜び、宮殿のバルコニーを覗き込める位置に降り立った。

 まるでワンコのように尻尾をぶんぶん振って喜んでいる。


 そんな様子に大公やそこにいた貴族の紳士淑女達は驚き固まっている。

 漆黒の髪色のそれはそれは美しい少年が竜に手を伸ばすその様はまるで神話の中の『はじまりの魔法使いと竜』そのままの姿だった。

(当たり前だ!本人達である!)




 そしてリミィは思いがけず愛しいティムンに抱きかかえられて真っ赤になって固まっていた。

「大丈夫ですか?」ティムンがそう言うとリミィは、咄嗟に()()()()()をした。

 それは、わざとではない()()()にとってしまった態度だった。


「あ、ご、ご親切にありがとうございます。大丈夫ですわ」

 さっと体を離しドレスの裾を手でさっさと直す。


 そしてティムンはその少女の()()()()()()()()


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