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69.舞踏会で…イース・レボルグアの悲恋(イース視点)

 父に妹の恋を応援しろと命じられた。

 正直、俺は耳を疑った。

 あの父が妹の恋愛を応援などと!


 父は、飛龍騎士団の団長でバリバリの硬派だ!

 そんな父を尊敬していたし、目標にしている。


 そして父は今まで何かにつけて妹の恋路を邪魔してきた!

 まぁ、ロクな相手じゃなかった事もあるが、それでも決定的な反対要素がある者ばかりでも無かったのにである。

 それも恋に発展しそうな時点で潰してきた。


 それがなぜ?


 公爵家嫡男?血族?そんなものに流される人では無かった筈である。

 魔災害の時の英雄談?

 いや、しかしそんなもの!

 ただの噂や、盛りにもっただけの話かもしれないではないか?


 そう思いながらも父の言葉は絶対だ。


 俺は妹を連れて出たくもない舞踏会に出た。

 何故俺が?そいつと出席すればよいかと思ったが、しかし、なんとそいつは、妹を断って他の女と舞踏会に出ると言うではないか!

 失敬な奴だ!


 妹はかなり可愛いし美しい!何の不満があると言うんだ!


 …そう、思っていた。

 そう思っていたのだが…。


 ……。


 …会ってみたら、もの凄くいい奴だった。


 我が飛竜騎士団を心から褒め称え、尚且つ飛竜の魅力を良く分かっている。

 しかも話していて分かったが独学とは思えないほど飛龍についての知識があった。


 そして妹を断ったのは許嫁がいるとのこと!

 これは、仕方がない事だろう!うん!彼は悪くない!


 しかも、()()()ルミアーナ様!彼女はまるで奇跡のような存在だった!


 俺は今まで妹が世界で一番可愛く美しいと思っていたが、どうやら間違いだったようだ!

 世界は広い!


 あんなにも美しくしかも飛竜への並々ならぬ憧れと愛を語るのだ!

 しかもラフィリルの近衛騎士団に在籍したこともあるなどと!

 あんな素晴らしい女性が、この世にいたなんて!と心を震わせた。


 この出会いは真に運命だ!

 この出会いの為にわたしは生まれてきたのだと感じた。


 ***

 何故か独身だと思いこんだイースの淡い恋は始まる前に終わっていたのだった。

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