50.双子達の後悔
ジルとリミィは同じ普通クラスの二組になった。
全クラスで三組まであり一組が特別クラス、二組三組が普通クラスである。
特別クラスの一組が六名
普通クラスの二組が二十名三組が二十名
という振り分けである。
兄妹はひきはなされるかと思ったのだが、早期入学者は二人だけだったので同じクラスにという学校側の配慮である。
つまり、まだ小さい子供たちだし一緒にいさせてあげましょうって事みたいである。
目立たないようにと言っても、新入生歓迎会で目立ちまくった二人である。
そもそも、髪色や瞳の色を親しみやすい色に変えたくらいでは、まだまだ綺麗で可愛らしすぎるのだった。
ましてや、二人一緒でいれば更に目立つ事この上ない。
そして、授業初日の今日は、皆の自己紹介を初め一年間で学ぶ授業予定の説明がなされた。
まず、最初の後悔は授業内容だった。
正直いって苦痛なくらいレベルが低かった。
異世界の記憶をもつ母ルミアーナから直々に勉強を教わっていたジルとリミィにとっては、何もかも簡単すぎてむしろ周りのレベルから浮かないように振る舞うのが苦痛だった。
そして、二つ目の後悔は、なんと楽しみにしていた飛竜や魔獣の授業はないと言うのだ!
魔獣の授業などラフィリルの学園でもないし双子達は、とても楽しみにしていたのである。
三つ目の後悔は飛竜との触れ合いである!
飛竜に至っては、特別クラスの者しか間近で見ることも触る事も出来ないという!
そしてそして、驚愕の事実!
この学園には六頭のまだ騎手の決まっていない飛竜がいると言う。
そして騎手として選ばれるのは、特別クラスに選ばれた上位六名だけだと言うのである!
『『がーん!』』
「ジル…私、竜に乗りたかった」
「くっ…僕もだよリミィ…こんな事なら真面目にテストを受ければ良かった!」
どんなに、後悔しても、もうクラスは振り分けられてしまっている。
そしてトドメは、その日の午後の学園長からのお話だった。
新任の魔法学と野外実習担当の先生の紹介だと言うのだ。
何で入学式も過ぎた今頃?と思ったが、どうやらジャニカからの船が嵐で遅れたらしいとの事だった。
新任の先生はなんとラフィリルからの先生でとても優秀らしい。
新任ながら特別クラスの副担任に既に決まっているらしい。
この情報を聞いた時には、ジルもリミィも正直、特別クラスにならなくて良かったと思った。
ラフィリルからなどと、自分達の事を知っているかもしれないし、最悪の場合、髪色と瞳の色を変えていたとしてもバレテしまうかもしれないからだ。
しかし、講堂に行ってその新任教師の姿を見た途端、ジルとリミィは天国と地獄の気分を味わったのだった。
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