41.新入生歓迎パーティの茶番劇04ジルとレーティア皇女
(ふふっ、でもね、やっぱり二人の事、まだ許してあげないよ。だって僕もフィリアの事、気にいってるんだからね)とジルが黒い笑顔で踊っているとジャニカの皇女であるルーティアがこっそり囁いた。
「ジーン君?悪い顔になってますわよ?」
「え?顔が悪い?」わざとボケるジルに皇女も笑いながら答える。
「いえいえ、表情が何か笑っているけれど黒かったですわよ?」
「えっ?それよりさっき、ジーンって言いました?」
「あっ、ごめんなさい、ジル君…だったわよね?」
「レーティア皇女…貴女?」
「私、隣国のラフィリアには父の公務に何度かついて行った事がございますの。王宮の催事などで何度かお見かけしましたわ!絵姿も持っておりましてよ」
「…他人の空似です…」無駄な抵抗と思いつつもジルはそう答えてみた。
「私、小さな頃から魔力が強くてその人のオーラが見えますの…オーラは姿を変えても変わらないのですわ」
ナント!
…デスヨネ~。
騙されませんよね…。ハイ。
「ははは…わぁ~凄いなぁ…え~と…」
「もちろん、黙っておりますわ!あなた方が、あの御方の子供だなどとは言いませんとも」
「ありがとうございます」ヒクつきながら、ジルは笑った。
「その髪、その瞳、見た目を変えてまでのご留学、何となくお察しいたしますわ!我がジャニカ皇家ですらひれふす御方のお子様ともなれば…さもありなん!貴方の足元にも及ばぬ身とは言え私も皇女という立場から色々とありましたし」
「…お察し頂き、有り難く思います」
いやいや、皇国の姫ってのも負けず劣らず凄いですから!
むしろ、隠しもせず留学してる貴女の方が堂々として尊敬できますから!とジルは思った。
「とは言え、ここは身分に隔てなしの学園内!どうか私とも仲良くしてくださりませ」そう言ってレーティアは上品に笑った。
(へぇ…この人…他の人と違う…”月の石の主”の子供と知っていても、ちゃんと僕を人として見てくれてるんだ?珍しい…絶滅危惧種かもしれない…貴重な女性だ…)
フィリアにも負けないくらいに綺麗な黒髪と暗緑色の瞳は美しくその言葉にも聡明さが伺えた。
彼女から来る魔力の波動もジルには心地よく、またしても得難い友人が思いがけずできたのだった。
「こちらこそ、宜しくお願いします。レーティア先輩」ジルは正真正銘の心からの笑顔を見せ、レーティアも心からの笑顔を返した。
中々、楽しい学園生活になりそうである!
そしてダンスを終えた時、ジルとレーティアは、また何か勘違いな発言をするダンと、周りの不穏な空気にに気づいた。
ざわつく周りの穏やかならぬ視線の先には、フィリアとリハルトの二人の姿があった。
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