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39.新入生歓迎パーティの茶番劇02ダンとドリッサ

※続きが急いで気になる方は、アルファポリスさんにも先行投稿しておりますので、宜しかったらご覧ください!

 上級生と共に全員がダンスを踊る。

 まだ幼い新入生たちのダンスは拙いが微笑ましい。


 そんな中、三組のダンスが人目をひいた。

 学園長や教師たちも「「「ほお」」」と感嘆している。


 リミィは、婚約者のティムン兄様と踊るためと小さい頃からそれはそれは、一生懸命練習を重ねてきていたしジルは、その練習に死ぬほど付き合わされてきたので実に優雅である。

 足らないのは身長くらいではないだろうか。


 そしてフィリアとリハルトは、それこそ幼い頃から二人仲良く練習してきたのである。

 まさに息ぴったりで踊っている。


 三組の見事なダンスに周りの誰もが魅了された。

 自然に三組以外の者達は周りを取り囲むように脇により、一曲目が、終わると足を止め、うっとりとしながら、その素晴らしいダンスに魅入っていた。


 三組はそんな周りに応えるべく二回目のダンスを中央で踊る。

(三組の先輩と新入生は、空気の読めるお子様たちだった)


「まぁ、なんて見事な…」

「「「素晴らしい」」」

「美しい」


 そんな声がもれる。


 特にリハルトとフィリアは、まるでお互いしか見えていないかのような息のあった見事なダンスである。

 そんな二人を見てジルとくっついてほしいリミィは、やきもきしたが、ジルは、はてさて、どうしたものかと算段していた。


 そんな中、ダンは忌々しそうにフィリアと兄、ジルやリミィを見ていた。

(なんであいつらばっかり!)


 ダンにも女子の上級生の女子が手を取ってくれていたが、ふと気づくと、その上級生も何やらフィリアの事を忌々しげに見ていた。


「ダン君、貴方のお兄様と踊ってる新入生を知ってるの?」

 その上級生は、なぜかダンの事を知っていた。


「僕の事を知ってるのですか?」


「もちろんよ!リハルト様の弟さんでしょう?私はお兄様と同じクラスのドリッサよ!宜しくね。それで、あのお兄様と踊ってるのは、ひょっとして許嫁とか?」と、再びフィリアの事で探りを入れてきた。


「あ、あいつは、そんなんじゃないです!あんな穢れたやつ!」


「穢れた?どういう事か教えてくれる?」


「あいつ、髪で隠してるけど頬の際から耳まで魔物に襲われた時の傷跡があるんです!」


「まああ!魔物に?」


「それはそれは醜い傷跡で、まるで化け物です。兄も婚約する予定を取り止めたくらいなのに、あいつはまだ兄に未練があるのか、兄が優しさ故に突き放せないのを良い事に、ああやって関わりを持ってるんですよ」


「まああ!何て恥知らずな!」


「全くです!」


「そんな穢れた身でまだリハルト様を狙っているだなんて!リハルト様は、お優しいから無下に出来ないのね?なんてお気の毒な!」


 大袈裟に騒ぐ二人の声は、側にいた上級生や新入生にも伝わり、ざわざわと騒ぎ始めた。

 馬鹿は伝染するらしい。


「「「魔物?」」」


「「穢れ?」」


「「「髪で隠しているけど化け物みたいだって?」」」


「「魔物になんか襲われたら魔物になるんじゃないの?」」


「「「いやだ!魔物なんかが、この学園の生徒に?」」」


「「大変!リハルト様を狙っているって!」」


 生徒達が騒ぎだし教師らにも不穏な空気が流れた。


 二曲目が終わりダンスを終えたフィリア達が、立ち止まるとダンは、フィリアを指さし大きな声で叫んだ。


「兄様から離れろ!この魔物め!」


 まるで魔物を追い詰める勇者のように気を大きくしたダンは馬鹿っぷりに磨きをかけたように意気揚々としている。

 ドリッサという仲間を得てまた何か変な方向にいっちゃっている憐れなダンだった。


 皆の視線が一斉にダンとフィリアに集まる。


「結局、お前は兄様狙いなんだよな!今も昔も!次男の俺や子爵家のあいつなんかじゃ、役不足だったって訳か」と叫んだ!


「んまぁ!何て浅ましい!」とドリッサも叫んだ!

 まるで皆に聞かせるように、わざわざ叫んでいるようにしか見えない。


 ダンスを終えた三組は、一様に「「「はあ?」」」と言う顔をした。


(((何言っちゃってるの?この馬鹿達は?)))である。

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