表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/112

フィリアの婚約破棄-10 船旅最後の夜に

「「待たせてごめんね!」」


「う、ううん?でも、すごいわね!”月の石”って…魔物の傷を癒してくれたり、通話が出来たり…蓄音交魔石だと、遠くの人とも会話できるけど、ちょっとしか話せないし、魔石の力もそんなに長く持たないから一回の会話で使えなくなると聞いてるのに月の石は全然平気なのね?」


「うん、便利ですわよ。正直、月の石がないと生きていけない気がしますもの」リミィがそう言うと、リミィの月の石が淡く光った。

 まるで喜んでいるようである。


 するとノックする音とともに精霊のリンとシンが入ってきた。

 フィリアがいるので当然、二人とも人形(ひとがた)をとり従者のフリをしている。


「リミィ様、ジル様、母君からフィリア様にとこちらを預かっております」とリンが言い、シンが、小さな箱をさしだした。


「「母様から?」」


「フィリア様、こちらを…」


 フィリアが箱を受け取り開けてみるとそこには、ジルやリミィとお揃いの可愛い腕輪が入っていた。


「「えっ!これって!」」二人が横から覗き込み驚きの声をあげた。


「「月の石っ!」」


「えっ?えええええっ!」フィリアは驚いた!


「え?でも、フィリアには、使えないでしょう?」


 リミィが、リンに尋ねると、微かにほほえみながら答えた。


「そうですね、この石を使いこなすというのは出来ないかもしれませんが、主の許しを得ていますから通信と御守りくらいには使えますよ」


 そしてシンが付け加えるように言った。


「リゼラ様やフォーリー様など主の信頼を得てらっしゃる方々は、主から月の石を授けられて主に通信に使われていらっしゃるでしょう?」


「「あっ」」二人は思い当たり、納得の声をあげた。


 リゼラとは、今は王太子妃におさまっている人物だがかつては母ルミアーナに仕える女騎士だった。

 そしてフォーリーとは、今は侯爵夫人に納まっているが以前は母ルミアーナの侍女だった人である。

 二人とも綺麗で優しくて双子達も大好きな人達である。


「え?え?え?そ、そんな月の石なんて国外持ち出し禁止のものでしょう?」


 フィリアは訳がわからずプチパニックである。


「大丈夫ですよ。(あるじ)が…許可されていますのでこの月の石をフィリア様が持っても」


「ただ、この石が月の石だという事は内緒にして下さいね?それこそ、どんな悪者に狙われるかもしれません」


「それさえ、守って下されば、あらゆる魔物や穢れからこの石はフィリア様を護り、ジル様やリミィ様といつでも通信会話することが出来ます」


 リンとシンが、交互に説明するとフィリアは自分の思い違いに気づいた。


「えっ!そ、そうなんですか?じゃあ、ジルやリミィも隠してるのは、単に悪者に狙われない為で勝手に持ち出したとかそういう事じゃなくて?」


「「えっ?」」と双子が驚いた声をあげる。


「心外だな!そんな事しないよ」


「そうよそうよ!月の石の事、人に言っちゃいけないって母様や周りの大人たちに言われてたし、怒られちゃうと思って隠してただけだし」


「ご、ごめんなさい」

 フィリアは焦りながらも恥いるように謝るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ