111.ジルは色々、加減する①
誤字訂正ありがとうございます。
優しき読者様に心より感謝申し上げます。
ジルの腕輪に精霊のシンは戻ってきた。
『ジル様。もう、適当に引き上げて参りましたよ。取りあえず不用意に近づいたら制御の出来ない力のとばっちりを受けるぞとは伝えてあります』シンは淡々と報告する。
「っはは。ありがと。取りあえず空洞内の温度をもう少し下げてから外に出るよ。うっかりこの穴に人が堕ちたら大変だからね」
『もう50度くらいまでは下がっていますね…。これなら屈強な亜人や魔人達なら多分、死にはしませんよ。問題ないくらいでしょう』
「え?そうなの?すごい」
『人間よりはかなり強靭な肉体をもっていますからね』
「それでも、あの女性たちや子供の亜人とかが落ちたら危ないからね。もう少し冷やしておくよ。それに大分、力の加減が分かってきたよ」
『それは良かった。では私は月の石に戻ります』
「うん。ありがとう」
そうしてシンはジルの腕輪の月の石に戻った。
シンはあの亜人や魔人達が、ジルを探しに穴に戻って来るであろうと予測は出来たが、敢えて放置した。
一応、忠告はしたのである。
まぁ、人間と比べたら丈夫なあも者達なら死にはしないだろうと、若干、投げやりである。
何といっても本来、月の石の精霊は月の石の主→ジルの母親以外の言う事など聞く気はない。
ジルに仕えているのもジルの母親がジルに仕えるように命じたからである。
本来はジルの言う事をきくよりも、ジルの監視役のようなものである。
言われた以上の事は、よほど気が向かなければしないのが通常運転である。
まぁ、そんな感じだから、ジルとしてもこんな茶番劇につき合ってくれただけでも上等だった。
ちなみに、竜人であるジルは、暑さ寒さも平気みたいだ。
ジルが炎を発射した時、土も岩もとけている。
地中は1000度は軽く超えているはずだ。
温度の爆発的な急上昇は感じるけれど苦しくはない。
体が勝手に周りの環境に対応している感じだ。
炎の中でも大丈夫そうなので、これを機に試してみれて良かった。
蝋燭ほどの小さな火を出してみる。
人差し指の先にぽっと出る灯。
「うん、こんな感じかな…」
ジルは何となく小出しにする感じが分かって気がした。
「うん、何かちょっとわかってきたぞ。以前の大体千分の一位の魔力を意識していこう…予め9割くらいは自分で封印しとくのもアリかな?」
そしてジルは洞窟内に程よく冷気を送った。
「うん。この位かな?いい感じ」
洞窟内の温度は、暑くもなく寒くもなく程よく落ち着いた。




