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81 見張り人はいらないやい!

抱きしめられただけでなく、目も手で覆われた。私が何か言う前に頭の上から珪の声が降ってきた。


「舞、不安になるのも分かるけど、いきなり全開で向かうやつがあるか」

「全開になんかしてないもん」

「だから焦るな。焦ったっていいことはないぞ」

「分かってるよ」

「どうだか」


苦笑を滲ませた声が降ってくる。目を閉じた瞼に珪の手の冷たさがひんやりとして気持ちがいい。


「一度深呼吸をして落ち着けよ」


言われたとおりにするのは癪だけど、息を吸って吐いた。そうしたら目を覆っていた手が外れて、今度は頭の上に置かれて撫ぜられた。


「ムウ。子供扱いすんな」

「子供扱いはしてないだろ」

「どこがよ。というかそろそろ放せ。続きをするんだから」

「はいはい」


そう言いながらも頭の上の手はそのままだった。


「おい」


私の低い声に珪は笑い声を立てた。私は後ろを振り返って睨みつけた。


「出禁にすんぞ」

「それは困る」

「じゃあこんなことするな!」


珪は肩を竦めると私の頭から手を離した。私は前を向いてノートパソコンを開いた。さっきの続きをしようとしたら、珪が話し掛けてきた。


「ところで舞。その闘病記はどこまで投稿するんだ」

「今までの作品と同じで2000文字辺りで切るつもりだよ」

「それなら大体10話分くらいか」

「そうだね」

「その後はどうするんだ」

「えーと、溜まったブクマを読む・・・のは明日以降にして、この後は感想のお返しを書く・・・かな」

「お礼とかしないのか」

「お礼?」

「お前さ、闘病記の中でも今回の入院のことにコメントくれた人たちのことを、凄く気にしていただろう。それならお礼のメッセージくらい送るのかと思ったからさ」


・・・人の思考を読むやな。そうだよ、それは考えていたさ。でも、退院しましただけじゃ、味気ないじゃない。この後この1話目を投稿して、ついでに退院報告をするつもりだったから、それでいいかなと思っていたんだけど。


「そうだな、メッセージを送るのなら、小話でもつけてみたらどうだ」

「小話? 入院中の面白エピソードとか」

「じゃなくて、ちょうどバレンタイン企画で200文字小説に挑戦しただろ。だから200文字でお礼小話を書けないかなと思ったんだよ。もちろんそれは舞が決めることだから、無理に書けとは言えないよ」


思わず珪のことを振り仰いだ。少し・・・ドヤ顔をしてるじゃないか。俺、良い事言ったって顔に書いてある。プッと吹き出したら、珪も笑顔を返してきた。


「それで、舞のことだからそうするんだろ」

「どうしよっかな~。・・・というかさ、珪は仕事に行かなくていいの」

「ああ、それな~。今日の打ち合わせが無くなったことを社長に報告したら、丁度いいからこのまま休めだってさ。溜まった有休を消化しろと言われたよ」

「それならいいけど。おじさんも珪に甘いんだか辛いんだか」

「でも伯父の言う通りだからな。今年度有休は2日しか使ってなかったし」

「じゃあ、帰るの」

「邪魔じゃなきゃいていいか」

「というか、見張るつもりなんでしょう」

「バレたか」

「本当に見張るんかい!」


と言って、私はパソコンの方を向いた。


闘病記の最初に戻り、話しの切れ目を探していく。大体ここかなというところまでを選んで、文字数を見てみた。ほぼ2000文字。切るために3行開けて数字の2を入れておく。切りのいい言葉に書き換えてコピーしようとして、手が止まった。


タイトルがなんか違う気がする。


私は身体を後ろに向けて、隣の部屋に行ってしまった珪に声を掛けた。


「ねえ、この闘病記のタイトルのことなんだけど」


そう言ったら珪がそばに来て、パソコンを覗き込んできた。


「タイトル? 『舞子の入院闘病記 またの名を入院の恥はかき捨て ~ 別名 昔のことを知っている人に会ったらご注意を! ~』か。長いけどいいんじゃないか」

「でもさ、なんか違うのよ」

「違う? どこが」

「う~ん、しっくりこないというか、なんというか・・・」

「・・・しっくりねえ~」

「桂は読んでどう思った?」

「そうだな・・・騒々しいかな。相変わらず舞の周りは賑やかだなとも思ったけど」

「騒々しい・・・。あっ! じゃあ、これはどうかな」


私はタイトルの言葉を一部消して書き直した。


『舞子の入院騒動記 またの名を入院の恥はかき捨て ~ 別名 昔のことを知っている人に会ったらご注意を! ~』


タイトルを見た珪が言った。


「舞子の入院騒動記、ね。いいんじゃないか。ということはもっと騒々しくするということだろ」

「そこはそれよ。だって、入院の恥はかき捨てなんだし、ついでに、昔のことを知っている人に会ったらご注意を! なんだもの」

「まあ、舞がいいのならな」


珪のお墨付き? をもらって1話目をコピーして、なろうにアクセスした。


あれ? メッセージが来ている。・・・とりあえず後にするとして、まずは新規を開いて張り付けて、一度保存。もう一度言葉の間違いや変な言い回しがないか確認して、投稿っと。


えーと、まずは設定しないとね。年齢制限は、なし。連載小説、です、次へ。おすすめキーワード・・・特になし、次へ。ジャンルはコメディー(文芸)、次へ。登録必須キーワード、これもなし。あらすじは、ふっふっふっ、これは遊んでしまえい。・・・こんなもんでいいかな。キーワードかー。これは困った。えーと、コメディーだけど、その前にほぼをつけよう。女主人公で現代で入院話で。あと、幼馴染みと再会、思い違い、聞いてない・・・これってキーワードに入れていいのかな? まあ、いいか。あと、病気の脳梗塞、血栓、扁桃腺肥大。・・・こんなもんか。


では、次、サブタイトル。

えーとえーと、『1 始まりは・・・年明けと見せかけて、もっと前!』でどうだ!

前書きを書いて、後書きはなしにしよう。


投稿確認して、投稿だ!



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