69 気の置けないやつらとの会話はこんなもの
珪の言葉に憮然とした表情を私は浮かべたと思う。
「別にめんどくさくないでしょう。それでさぁ~、片方の話はいなくなった女の子の異世界での1年半の話で、もう片方はその子が消えてから3日後に、同じ異世界に男女7人が跳ばされる話なのよ」
「それで、皆が国を作るのか」
「あー、違う。えーと、これは滅びに向かう世界に呼ばれた人の話なのよ」
「なんか意味がわからなくなってきた。じゃあ、国が興ってから滅ぶまでの話ってのはなんだよ」
「えーと、その話は始まりはアトランティス大陸の伝説からよ。オリハルコンの力の暴走で大陸ごと異世界に飛んでしまうのね。それでその異物のせいで不安定になった世界を、安定させるために力あるものを呼び出して契約するのよ。その契約によって1万年の安定期を手に入れるの。これが始まりの話で、次がある少年から始まる一族がこの世界の謎を解き明かしていくものなの。その過程で国が滅び新しい国が興って、また滅びるまでの話になるのよ。それから第3期が力あるもの達がいなくなった後の世界の話で、世界の境界が不安定になっていて、そこから魔のもの達が現れるという荒れた時代なの。力あるもの達が残したものを使って人類は戦うんだけど、だんだん劣性になって予言の子の誕生に希望を見出していたのよ。紆余曲折があって、境界に開いた穴は塞がるの。で、その後の4期にあたるのがさっき言った話になるの」
珪は呆れた様に私の顔を見てきた。そして溜め息と共に言った。
「よくまあ、そこまで作れるなあ~」
「仕方ないじゃん。歴史を作ろうと思ったらそれくらいになるでしょ」
「えっ? 歴史を作りたかったのか」
「あれ? おかしいかな。でもさ、物語を深くしたかったらそれぐらいのこと考えない?」
「・・・いや、どうだろうな。だけど本当に歴史を作りたいのなら、それくらいは・・・」
と、何やらブツブツ言いだした。その時声を掛けてきた奴がいた。
「何を深刻そうな顔をしてるんだよ、宇津木」
「あっ、高幸。それに皆も~。お見舞いありがとうねえ~」
そこには7人の男女が立っていた。私と目が合うとみんなは笑ってくれた。
「元気そうじゃん、池上」こう言ったのは恰幅が良くなって、頭頂が少し淋しい感じになった高幸。もと野球部のスポーツ少年?
「もう少し早く見舞いに来たかったんだけどな」目元と口元のしわがかなり目立つ英紀がそう言った。彼は中学の時はバスケ部だっけ。
「なんでベッドでおとなしくしてないんだ」お小言口調は恭男君。小学校の教師なんかしているから、尚更かな?
「ごめん、遅れた。駐車場に止められなくなるところだったんだよ」これは宏文君。ある意味一番小学校の頃から変わっていない。
「舞子ちゃん、おひさ~」クールビューティーの見た目なのに、軽い調子は仕様ですね。相変わらず素敵よ、椿姫さん。
「会いたかったよ~、舞ちゃん。本当に年末会えなくて辛かったよ~」そう言って私の隣にちゃっかり座ったのは美那子ちゃん。・・・相変わらず細くて小っちゃくて可愛いの。
「舞子、なんでここにいるの」安定のキャンの発言ね。
「だってさ、病室に8人もいられないじゃない。それならここで話した方がいいかと思ってね」
「それもそうか。それとも下に行く? 昨日みたいに何か飲みながら話す?」
キャンさん、それはお見舞いが無駄に長くなるということよ。
「別にここでいいんじゃないか。スターは席を移動しにくかっただろ」
珪が私の気持ちを察したのかそう言ってくれた。
「そうね。じゃあ、あそこの自販機で飲み物を買ってくるわね。何がいい」
「俺はコーヒーのブラックな」
「俺も同じ物」
「俺は・・・何があるのか見にいくよ」
「俺はお茶がいいな」
「私も見にいく。舞ちゃんも行こう」
「いや、舞子ちゃんは座ってて。何がいい」
「それなら、お水で」
結局キャンと椿姫さんと美那子ちゃんと宏文君が買いにいってくれた。飲み物が皆に行き渡ったところで高幸が訊いてきた。
「それで、宇津木と何の話をしていたんだ、池上」
「えー、普通に考えてよ」
「分からないから聞いているんだよ」
「もちろん作品の話よ」
「あっ、私、読んでるよ」
高幸の問いかけに答えたら美那子ちゃんが・・・。えーと誰が誰だか分からなくなりそうよね。なのでセリフの前に誰か判るように入れることにしよう。
舞「あー、ありがとうね、美那ちゃん」
恭「そういえば昨日から短い話を投稿していただろう」
舞「バレンタイン企画のやつでしょ」
椿「ねえ、活動報告に毎日投稿されると書いていたよね」
舞「そうだよん。15時に投稿されるから、良かったら見てね」
宏「あれってチョコレートに添えたラブレターだっけ?」
舞「うん」
宏「誰か宛に書いたのってあるの?」
舞「モチ! 今回の企画してくれた日下部さんとお気に入りユーザーのたこすさん宛てと、旦那に」
宏「なあ、なんでそこで俺達宛てって発想がないわけ」
舞「・・・なんでって、思い出さなかったし」
英「ひどっ。中学からの付き合いだろ俺達」
舞「だからでしょうが。今更みんな宛てに何を書けと?」
美「舞ちゃんからもらえるなら何でもいいんでしょ」
舞「そっか~。・・・というか、もういいよね。話はしたからさ。もう帰っていいよ」
キ「ちょっと、舞子。わざわざ来てくれたのにそれはないんじゃない」
舞「いや、だってさ、この会話を書くかと思うと、めんどくて。それに本来お見舞いって短い時間で会話して帰るんでしょ。それに人数多すぎ。いくら去年の暮れの飲み会がなかったからって、ここを集まる場にしないでほしかったな」
珪「それは一理あるな」
椿「ほ~ら、言ったとおりでしょ。舞子ちゃんへの迷惑を考えなさいよ」




