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51 旦那のお仕置きについては考えたくないです

今回は旦那のモデルの人ならこれくらいのことをするだろうな~と、思いながら書きました。


のりちゃんがいなくなってから、しばらくボーッとしていた。


おかしいな。なんで熱があるの? 37.5度って何? 別にふらついたりクラクラしたりはしてないけど。


病は気からを体現しているような私だもの。熱があると思ったら、本気でまずい気がしてきた。

ノートを閉じて片付けると、おとなしく横になって布団を引っ張った。気のせいか少し寒気がするような?

イヤイヤ、言葉につられただけ。うん。熱なんてないの。あれはまだ、微熱のうち。


そう思ったのに布団に包まっていたら睡魔が襲ってきたのね。


夢の中で、久し振りに母と会話した。どうも小学生の時のようだ。熱を出した私に母は『そんなに熱は高くないけど寝てなさいね』と言った。それから『そばに居れなくてごめんね』とも。


うん、わかってる。そばに居られないのはいつものことだもの。でも、遠くにいるわけじゃないから、そこにいるのは分かっているから大丈夫。ネコのぬいぐるみと寝ているからね。



額に手を置かれたことで意識が覚醒した。


あー、本当に寝ていたんだ~。


覗き込むように見ていたのは旦那だった。


あれ? なんで、旦那が?


「舞子さん、よく寝ていましたね。尚人が私に知らせてくれたのですよ」

「はっ? えっ? 尚人来たの?」

「ええ、いつものように学校帰りに。よく寝ているようで、起こさずに病室を出ようとしましたが、気配に敏感な舞子さんが起きないのを不審に思って看護師さんに聞いてみたら、少し熱があると言われたそうです」


その言葉に旦那の後ろの窓を見たら、薄暗くなっていた。体を起こそうとしたら旦那が背中に手を添えて起こしてくれた。・・・けど、なぜ? なんでそのまま旦那に抱きしめられてるの? 旦那の息を左耳に感じるんだけど?


「舞子、あまり心配させないでください。私を置いて先にいかないでください」


・・・。しばらく思考が停止しました。えっ? 私は聞かされてないけど、実は命に係わるような状態だったの?


不安を押さえて旦那の顔を見上げたら軽く口づけをされたの。なだめるように背中をポンポンと叩かれて、旦那が離れて椅子に座りました。


「あの・・・旦那。先生に何か言われているの?」


小さな声でそう言ったら、旦那が微笑みました。

・・・ん? なんかだんだん笑みが邪悪なものに変わっていくんだけど。


「いいえ、先生方からは舞子さんが言われた以上のことは言われてませんよ」

「はあ? えっ・・・はあぁ~?」

「舞子さんはこれくらいのことを言わないと堪えてくれないでしょう」


しれっとそう言われました。・・・こんのサドめ~。一応入院中の病人よ、私!

一瞬殊勝なことを考えたのに~。反省しかけたよ、コンニャロー。


「睨んでも駄目ですよ。最近どれだけ私の寿命を縮めていると思っているのですか。少しくらい意趣返しをしてもいいでしょう」

「えーと・・・もしかしなくても、怒っているの?」


そう私が言ったら、笑顔を向けてきたけど・・・これ、アカンやつやん。


「舞子さんは私が怒っていないと思ってましたか」

「それは・・・」


え~え~、前回の最後の言葉で家に帰りたくないと思うくらいに怒っているのかな~、とは思いましたけどね。


「いいかげん、一度本気で怒っておかないと駄目かと思いましたので、家に帰ってきたらお仕置きしますからね」

「い・・・嫌だ。あんな拷問受けたくない」


多分私は顔を引きつらせたことだろう。その私に邪悪(私の主観)な笑みを浮かべた旦那がいいました。


「何を言っているのですか。全然拷問でも何でもないでしょう。別に痛い思いはさせてませんし、疲れさせるようなこともしてませんよね」

「・・・確かに痛い思いはしないし、疲れるようなことはしないけど・・・あれならそうされた方がよっぽどいいもん」

「おかしな人ですね、舞子さんは。痛い思いがしたいだなんて、マゾだったんですか」

「そんなわけあるか!」

「ですよねえ~」


分かってて言うなや、旦那! ・・・分かっているよ、分かっているけどさ~。


「でも、退院したてで寝かせてもらえないのは、マジ辛いと思うの。せめて昼間の説教で勘弁してください」


酷いのよ。私の好きな低めの声で、耳元でずっと囁き続けるのよ。それも一晩中! 寝かせてくれないのよ。これを拷問と言わずになんというのよ~。


「それだと意味がないから、夜通しのお説教にするのではないですか。でもそうですよね。睡眠はたっぷりとっていただきたいですから、逆に野村先生にお願いして睡眠薬を処方していただきますか」


睡眠薬・・・薬もしばらく見たくないよ~。

私はかなりげんなりした顔をしたみたいで、旦那は立ち上がると頭を撫ぜてきた。


「これはすみません。必要がなければ薬は見たくないですよね。そうですね。では、睡眠がよくとれるように、マッサージして血行を良くしてから休んでいただくことにしましょうね」


と、嬉しそうな顔で言ったけど、できることなら遠慮したいです。


「ですがね、舞子さん。本当にこれ以上の隠し事は勘弁してくださいね」


旦那は真面目な顔でそう言って、私の頬を撫ぜてきたのでした。



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