16 息子・・・参戦!あっ、違った
息子は・・・イケメン?
だったらよかったのに・・・。
少し物思いに沈んでいたら、キャンが怪訝そうな顔をして訊いてきた。
「もしかして疲れてるの?休むんだったら帰るわよ」
「疲れてはいないけど、昨日から思ってもいなかった話を聞かされてどうしていいのか、困っている。・・・みたいな?」
「みたいなってねぇ~。というか、なんで体が弱いって部分をスルーしようとするのよ。そこが一番大事でしょ!」
いや、だから、それを認めると寝込むんだってば!
・・・でも言えないから、キャンから顔をそむけました。
「ねえ、この際だからついでに言ってもいい」
「やだ」
「いや、言わせてもらう」
「聞かないもん」
「聞かないもん!じゃないの」
「あのさ~、キャンさん。それくらいで母さんをいじめるのやめてくれないかな」
おお~。救世主!
じゃなくて、いつ来たの?息子よ。
「母さん、今だよ、来たのは。それでキャンさん、一応この人病人だから。少しメンタル弱っているから。言いたいことはあるとは思うけど、退院してからにしてやってよ」
「でもね、尚人君。舞子ってば医者の説明をちゃんと聞いてなくて、このあともう一度説明をされるのよ。野村君達に申し訳ないじゃない。それに自分が身体が弱いと思っていないのよ。このバカは」
「それは・・・仕方がないよ、母さんだもの。周りには無理してるのが、バレバレだってわかってないんだから」
お~い、息子~。君の母に対する評価がおかしくないか~?
「舞子。実の息子の方が分かっているじゃない」
認めたくな~い。若さゆえの過ちとは~。
「な~に、言ってんのよ」
有名な某アニメのセリフですが、何か。
「って、痛いってば!デコピン禁止~」
「キャンさん、気持ちはわかるけど、押さえてください。あ~あ、赤くなってるよ」
そう言って息子は私の額を撫ぜてくれたのさ。
「なんで、舞子からこんなイケメンが産まれたのかしら」
「なんかひどい。素直に育ってくれただけだもん」
「まあ、育て方が良かったのは認めるわよ。夏葉ちゃんもいい子だし。うちの子達の面倒も嫌がらずに見てくれるしね」
「娘は弟や妹が出来たみたいでうれしいみたいよ」
「そう言ってくれてうれしいわ。それにちょっと反省したのよ、私」
ん?反省とな?なんぞなもし?
「だって、うちの旦那のせいとは云え、舞子と近づきすぎていろいろ迷惑かけたじゃない。それが舞子の負担になっていたんじゃないかと思うのよ」
「別に迷惑じゃないよ~、家が近いんだし。キャンは仕事してるじゃん。小学生の子の預かりくらいいつでもするよ~」
「・・・本当にあんたってば」
「キャンさん、これが母ですから」
「まあねえ、分かっていたけどねぇ~。ところで舞子。洗濯する物ってないの。ついでにしてくるわよ」
「キャンさん、それはちゃんとうちでしますから」
「いや、ランドリー使うからいい」
「また~。入院中くらい甘えなさい」
「そうだよ、母さん。家族を頼ってよ。ね」
・・・いつの間にかよく出来た息子に育ってくれたのぉ~。母はうれしいぞ~。
「舞子、ボケはいいから」
「えーとねえ~、そこにタオルと着替えたものが・・・」
「キャンさん、大丈夫です。ちゃんとうちで洗濯しますから」
洗濯する物の取り合いって・・・。いえ、何でもないです。私は何も考えてません!
結局洗濯物は息子が持って帰ることになりましたとさ。
「ところで母さん。どれか読み終わったの」
「えーと、1冊読み終わったけど、余韻に浸りたいからまだ持って帰らないでほしいな」
「そっか。わかった」
頷く息子をキャンが残念そうに見つめていた。なんでそんな目で見るのさ?
「だってね、舞子。こんなにイケメンなのにマザコンだなんて。残念以外の何物でもないでしょう」
思わず息子と顔を見合わせる。私は首を傾けながら言った。
「マザコンだったのかい、息子よ」
「そんなわけあるかよ、母さん」
「だよね」
二人してウンウンと頷きあう。
「いや、十分マザコンでしょ」
「だから違うってば」
「そうです、キャンさん。あのクソ親父をガードするにはこれくらいしないとダメなんです!でないと母さんが可哀そうなことになるんだから」
息子の言葉にキャンが・・・やめれ!その視線は!
言いたいことは分かるけど、地味に痛いぞ。
「仲が良いのはいいけど程ほどにしろと言った方がいいのかしら」
「是非、お願いします。今回の入院の原因の半分はクソ親父にあると思ってますから」
・・・いや、それは違うってば。旦那じゃなくて私が悪かったってば!
って、聞いてない。なんか二人で盛り上がってる。
もう、いいや。ほっとこう。
それよりも・・・ノートを出して、書き書き・・・。
えーと、検査が認知症の・・・書き取りをして、それから眼科の検査。筋力を見る、と。で、耳鼻咽喉科の聴力検査。
本当にこれってなんでやったんだろう?
それにことあるごとに言われる珍しい症例とは?
私そんなに変な病気は持ってないはずだけど?
・・・あっ、違った。変な症状は持っていないはずだけど?
と、いうかさ~。そろそろ家に帰った方がいいんでないの、キャンさんや~!




