11 思い出話はほどほどに!
今話は・・・事実は少々。創作多数。
もとい、どっかで聞いた話多数。
のりちゃんは小さく息を吐くと言ったの。
「謝罪する話が楽しい話っていうのは聞いたことないでしょ」
「はい。・・・もちろんです」
のりちゃんはもうひとくちお茶を飲むと話し始めた。
「小学校の時に舞ちゃんをいじめてごめんね」
のりちゃんの言葉に首を捻る。いじめって?私されてたの?
私の様子にのりちゃんは額に手をあてた。
「まさか・・・本当に気がついてなかったの?」
「えーと、その、ごめん。本当に心当りがないんだけど」
「えー!だってみんなに無視されてたのよ。舞ちゃんは悪くないのに、カンヨのとばっちりだったのよ」
そう言われて私は小4の時のことを思い出した。カンヨこと畑中一代は幼稚園からの友達で私が初めて嫌いになった人。
「でもそれってカンヨが悪いじゃん。分かっていながらそばに居た私も悪かったのよ」
「でも、舞ちゃんが本当は嫌がっているのがわかっていたのに、わたしは助けようとしなかったもの」
「それは仕方ないじゃん。カンヨは意地悪だったし。そんなことをすればのりちゃんが攻撃されてたよ。えーと、小3の時だっけ。男子の・・・」
「青野のこと」
「そう。クラスの中で体が大きかった青野君。彼カンヨのせいで怪我をしたじゃない。左足の骨折」
「・・・待って。それって噂になったけど、カンヨがやったっていう証拠はなかったのよね」
・・・あっ!いらんことまで話してしまったかもしれない・・・。
のりちゃんは困惑した顔で私のことを見ている。私はどうしようかと考えた。
カンヨのことは、はっきり言って思い出したくない思い出だ。いままではそれを話せる友達がいなかったから、封印していただけ。本当なら墓場まで持っていくたぐいの話なのかもしれない。
でも、のりちゃんと話していて思い出してしまったの。
のりちゃんが溜め息をついた。
「舞ちゃんもいろいろ溜め込んでいたのね」
「溜め込んではいないけど、これは思い出したくない思い出だったから」
「それは・・・ごめんなさい」
「ううん。のりちゃんは悪くないもの。嫌いな人のことって忘れたつもりでも忘れてないよね」
「えっ?嫌いだったの。カンヨのこと」
「うん。でもね、カンヨのそばに居るのは楽だったのよね。あの頃って私人見知りが激しかったから、カンヨの陰に隠れていられるのは本当に楽だったのよ」
「えっ、えっ?待って。舞ちゃんは人見知りじゃないでしょ。話し掛ければちゃんと返事を返してくれたし。顔は真っ赤だったけど。でも、それがかわいくて、男子なんて舞ちゃんと話すなって言われていたけど、話し掛けたくてウズウズしていたのよ」
・・・それは誰のこと?
「なんか、記憶に齟齬がある気がするんだけど」
「私も。ねえ、じゃあ、最初からいっていい?」
「最初って?」
「幼稚園の時」
「幼稚園?・・・ごめん、のりちゃん。幼稚園も一緒だったっけ?」
「そこも覚えてないの。そうよ。幼稚園の2年間一緒の組だったわよ」
・・・たしかにこの頃は私達が通った幼稚園か他に2園しか近い所になかったものね。
「それで、この時から私は舞ちゃんのこと気になっていたの!」
「・・・うそ」
「ほんと。小さくてかわいい舞ちゃんと友達になりたかったのに、家が近いってだけでカンヨがそばにいたじゃない。あの子ことごとく舞ちゃんに近づく子を排除していたから」
「・・・そんなことあったっけ?」
「じゃあ、舞ちゃんが幼稚園の時のことで覚えていることは?」
「えーと、発表会で家来の役で私の前で1回戻って、2回目でセリフをいうのと、卒園前の雪見遠足と幼稚園からもらえた画板に先生が名前を書き間違えてピンクじゃなくて黄色の画板になったことかな」
そのことばにのりちゃんはがっくりと肩を落としたの。
「えーと・・・ごめん、のりちゃん」
「・・・ううん、いいの。舞ちゃんの中に嫌な思い出がなければ」
ということはのりちゃんには嫌な思い出があるのね。カンヨとのことが。
そして気を取り直すように顔を上げた。
「じゃあ、小学校の1、2年。一緒のクラスだったけど覚えてる?」
「えーと・・・」
「ここも覚えてないのね」
「うん、ごめん。てっきり3年で初めて一緒のクラスになったと思っていたの」
「まあ、いいわ。この時も舞ちゃんは1人でいることが多かったよね」
「うん。この頃はどうやってみんなと話していいかわからなくて・・・」
「・・・ごめん。理由があったのよ」
「理由?」
「舞ちゃんて、身体が弱かったよね」
「えー、弱くないよ。そんなに休まなかったし」
「・・・休まなかったけど、保健室によく連れていかれたでしょ」
・・・どうしよう、覚えてない。小学校を休んだのは、1年~5年まではその学年と同じ日数だったけど・・・。保健室にそんなに行ったっけ?
「えーと、怪我で?」
「違う。具合が悪くなって!もう、なんで忘れているのよ」
のりちゃんがプンと横を向いた。・・・だけど覚えていないものは覚えてないんだもの!
「のりちゃん。時間がなくなるよ」
私の言葉に時計を見たのりちゃんは、私の顔を見て溜め息をついた。
「たしかに。えーと・・・理由ね。舞ちゃんにはお兄さんがいたよね」
はい、いますとも。奇人変人の兄が。
「そのお兄さんが舞ちゃんが早退した日に乗り込んできたのよ」
「へっ?」
なんですと~!そんな話しらんがなもし。




