ゲームって恐ろしい
「ポーションを売らないってどういうことだよ!」
男の人が、ギルドに向かって叫んでいる。
一体、何が起こっているんだろう。
・・・ポーション?・・・売らないとは?
私が考え事している間にも、男の人は騒ぎ続ける。
というかあの人何でギルドの中に入らないんだろう?
「俺たちは魔物を討伐するんだぞ!分かってんのか?!」
「いい加減に黙れ」
「あ”あ”!?」
中から、アルさんが出てきた。
こめかみに血管が浮いていて、今きた私から見ても怒っていることが丸わかりだ。
あの男の人、一体何したんだろう?
「ギャーギャー、うるせえんだよ。ガキじゃあるまいし、いい加減理解しろ?」
「はあ!?」
「お前たち、異世界からの旅人がポーションを買いまくるからポーションの生産が追い付かねーんだよ。住人達が使う分のポーションすら足りない状況だ。ポーションを作る材料もねぇ。ポーション素材の採取の緊急依頼をかけても、誰もやらない。だったら、一番消費して素材も取ってこないが何度でも生き返るお前達の供給から止めるしか手はないんだよ」
アルさん、かっこいい。
というか、ポーション不足なのか。
それは、まずい状況だね。ワールドクエストの前なのに。
にしても誰も取ってこないのか・・・。
みんな、討伐のクエストしかしないんだなぁ。
今回の事、私はギルドに行かなかったから今まで知らなかったけど、素材を取ってこないでただポーションを欲しがるのは良くないと思うね。
アルさんの対応は間違ってないと思う。
「お姉ちゃん」
「どうしたの?」
「これ、掲示板でも問題になってるよ」
「ポーション?」
「うん。生産職のプレイヤーと戦闘職のプレイヤーが、もめてるよ。結構前からもめてるみたいで、掲示板のスレがあっという間に埋まってるよ」
「へー」
そんな大事になってるんだ。
何で、そんなに買ったのかな。やっぱり、ワールドクエストが原因かな。
だとしたら、私がそもそもの原因かもしれない。
「町の人や生産職のプレイヤーが作ってくれるからポーションがあるのに、それが分からないバカなプレイヤーが全部買い占めた挙句、もっと売れって言ってるんだよ」
「そうなんだ」
「だから、お姉ちゃんのせいじゃないから。そんな不安そうな顔しないでね」
「・・・うん」
「このゲームは流通があるからね。無限に物があるわけじゃない」
分かってても、自分勝手な行動をしてしまうんだろうね・
無限に出てくるものじゃないって分かってても、ゲームという概念があるからそういう行動をとってしまうのかもしれない。
それに、現実世界ではないから自分の欲望に素直なんだよ。きっとね。
迷惑な行動をとっても、現実の世界では関係ないことだから。安心してしまう。
「ゲームって恐ろしいね」
「そうだね」
「気をつけないと」
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。よろしくお願いします。




