アイスを食べるには肌寒い
今回は会話文が多いです。
ふわふわ。
とっても温かくて、ずっとここにいたいな。
「おい」
「・・・う・・ん」
「起きろー」
「ふにゅう・・・」
なんか声が聞こえる。
まだここに居たいから邪魔しないでよお。
ふわふわした世界にいたいのに、誰かの声がそれを邪魔しようとする。
「起きろー、桜」
「ふみゅ!」
誰かに鼻を摘ままれて、目が覚める。
布団に潜り込んでたら、いつの間にか寝ていたらしい。
そして、どうやら私を起こしたのはお兄ちゃんだった。
なんで私の部屋にいるんだろう。寝ぼけた頭で考えてみるけど、わからない。
何かあったのかな。
「やっと起きたか。相変わらずねぼすけだなあ」
「むう」
「というかお前、勉強するんじゃなかったのか?」
「ちょっと休憩してただけだもん・・・」
一個も勉強してないけど。
実際に見てないんだからばれないはず。
なんだけど、お兄ちゃんは勉強机と私を見てにやにやする。
「へー。ふ~ん」
「何?」
「いや、なんでもない。・・・・よだれでてんぞ」
「え!?」
「嘘」
「もう、お兄ちゃん!!」
慌ててほっぺたをぬぐった私を見て、お兄ちゃんは爆笑する。
なんで嘘つくのよ、もう。
こういうところは変わってない。
お兄ちゃんは本当に意地悪なんだから。
「わるいわるい。・・・桜、買い物に行くぞ」
「いきなり何?」
「母さんが、俺の分の食材ないから買ってこいって」
「・・・お兄ちゃん一人で行けばいいじゃん。私、行く必要ないもん」
「お前も一緒に行こうぜ。好きなアイス買ってやっから」
「行く」
アイス。どんなのにしようかな。高いカップのアイスにするか、安めの棒アイスにするか。
迷うなあ。
夏の定番のさっぱり系のアイスもいいけど、濃厚なお高いアイス。どっちも美味しいんだよね。
「・・・変わってねえなあ」
「何か言った?」
「何でもねえよ。・・・ほら、遅くならないうちに行くぞ」
「わかったよ」
兄に急かされ、家を出る。
外はもう夕暮れの時間だった。
私はどれぐらい寝ちゃってたんだ?今日の夜、寝れるかなあ。
兄と無言で歩いて買いに行く。
さっきまで自然に話せたのに、今は何を話したらいいのかわからない。
ただただ静か。車の音が聞こえるだけ。
「アイス、これにする」
「お前、それ」
「迷ったから、両方にする」
「どれか一つにしろよ・・・。まあ、いいよ。両方買ってやるから」
「やった!」
買ってくれるなら遠慮なくね。
アイスを食べながら帰るにはまだ肌寒い気温だけど、アイスはとても美味しかった。
カップのアイスは、明日以降に食べることにする。
お高いアイスはとっておきだからね。
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。
よろしくお願いします。




