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推しの義弟を守りたくて悪役ルートを回避したら、 愛が重すぎる未来ができあがった。
『……あ、壊れた。』
『だねぇ。アレックス、ついに限界突破しちゃったもんね。あの子、好感度ゲージの仕様理解してなかったし。』
『朱里ちゃん……じゃなかった、アメリアか。
推しを守るつもりで逆に攻略しちゃったわけだ。
よりによって“攻略しちゃダメな義弟”を。』
『まぁでもほら。あの子、前世でこのバッドエンド好きだったじゃん?なんか何十回もリセットして見てたやつ。』
『確かに。プレイヤーとして大好きだったスチルを、今は本人として体験しちゃったっていう。……業が深いねぇ。』
(ひょいっと、一方がどこからか本を一冊取り出す。)
『ところでミシェルはどうなってる?』
『ああ、あの子?“恋マジ”の隠しルートで今、監禁スチルなう。』
『おお。あっちはあっちで地獄を楽しんでるね。』
『この世界、もうしばらく直らないかもねぇ。愛が重すぎて。』
(くすっ)
『ま、誰も彼も、自分の選んだ未来に落ちたってことで。』
『じゃある意味、ハッピーエンドだね』




