104.5話 「寒夜の如く」
これはあの施設にいたときの話である
後で文句言われても困るんだけどなぁ…….
……。
団長室に移動すると既に団長がいた。ソファに腰掛けコーヒーを啜っている。
「来たわね」
月見がこちらを見る。
「急に呼び出してすまないわね」
彼女はカップをテーブルに置いた。
「いえ構いませんよ」
自分は向かいの席に腰掛ける。
「単刀直入に聞きますね」
自分は単刀直入に切り出すことにした。
「彼らには真実を告げたほうがいいでしょうか?」
月見さんは一瞬だけ考えるように目を細めたがすぐさま答えた。
「今はまだ秘密にしておくべきでしょうね」
「 そうですか……」
やはりそういう展開になったか……
まあ当然といえば当然かもしれない。
「それにしても……なぜ彼らが?」
「それは私にも分からないことよ」
月見は困ったように肩をすくめる。
「あの子達は確かに同じ世界にいた。」
その言葉に自分は何も言えなかった。ただ黙って肯くしかなかったのだ。
……。
「それでこれからどうするおつもりなんですか?」
「さっきも言ったけど当面の間はあなたには彼らを監視してもらうわ」
月見は思案げに天井を見上げた後こう言った
「まあ任せるわ」
「えっ?それだけなんですか?」
「ええそうよ」
月見さんは平然と言ってのける。
「だって貴方に託したんだから責任もって対応してくれないと困るもの」
「確かにそうですね」
自分は納得して肯いた。
「わかりました監視はしますよ」
そして立ち上がって部屋を後にしようとしたところで声をかけられた。
「あっそうだ一つだけ忠告しておくわね」
振り返ると月見さんが真剣な表情でこちらを見ていた。
「あの子達のことよろしく頼むわよ」
............。
.....。
そして現在。
自分は自分たちの住むこの世界の美香と理人との会話に出くわしてしまった。
「おにいちゃん……」
彼女はゆっくりと理人に抱きついた。温かい感触が理人の胸に広がる。
大丈夫、私が死んでもあなたの『私』がいる。
.............。
ああ......厄介なことになったな........。




