99話 「運命の選択」
「この子も連れていく」
理人が美香の手を強く握る。
「お前を一人にはできない。一緒に行く」
「でも……私はもう...」
美香の目には不安の色が浮かぶ。
隆太は腕を組んで言った。
「まずはアップデートキーを探さないと。あのパソコンをどうにかしないとも島を守ることができない」
もうどうにでもなれだ
一行は美香をエアーダガールに連れていき例のカプセル型の機械に入れ回復システムを使用する
「ごめんね、これで少しは楽になると思うから」
奏花は美香の手をぎゅっと握る
「私は賛成できないわ...。」
ミディールの声は震えていた。カプセル型の機会の中で横たわる美香をみながらそうつぶやいた
「彼女の体は既に歩くことも困難なはずこのまま連れていけば……」
「じゃあどうするんだよこのままこの子をおいて行けってーのかよミディールさんよぉ」
兄ちゃんが決めたことだ仕方がないことだよ
「この中なら大丈夫だから」
理人は優しく美香を見つめ微笑む
カプセルの青白い光が美香を照らす
美香は弱々しく微笑む。唇が震えているのが見て取れる呼吸すら苦しそうだ。
(もっと早くこちらの世界の美香に出会っていれば...)
隆太はタブレットを操作しながら言った。
「あと二時間ほどでスキャン完了予定だ。兄ちゃん」
「いいのか?さっきまではあんなに反対していたのに」
「んなこといっても今ここにいる『美香』を見捨てるってこともできないだろ?」
カプセル内の美香は徐々に体力を回復しているようだった。
「ここなら安全だ」
理人は確信を持って言った。
「理人っち、データ転送率は80%を超えたよ」
理緒がモニターを指差しながら言った。
装置内の美香の肌にほのかな赤みが戻り呼吸も規則的になり始める。それでも理人の表情は晴れない。
「これで容態を安定させても……根本的な解決にはならないかもしれない」
「スキャン終了まであと一時間半だ兄ちゃん」
隆太が表示された数字を確認しながら告げる。全員が息を飲むような沈黙が続いた後、ミディールが口を開いた。
「私の懸念は変わらないわ。今の現代医療技術では彼女を救うことさえできないのに……過酷な旅なんて想像できない」
美香がゆっくりと目を開けると、眩しい光に思わず目を細めた。ぼんやりとした視界が次第に鮮明になっていく。
「見える……?」
美香の声がかすかに震えた。
理人がカプセルに駆け寄り、その顔を覗き込む。
どうやら回復システムが効いたのか彼女の視力が回復したようだ
彼女の目に涙があふれた。
「本当にお兄ちゃんだ」
カプセルのガラス越しに、理人の真剣な表情が見えた。隆太の興奮した顔も。そして初めて見る奏花と理緒、ユウキ、ミナ、ラピズ、ポルコの笑顔も
「信じられない……ずっと見えなかったのに」
美香の指先がガラスに触れる
「治療が効いたみたいだな」
隆太が嬉しそうに言った。
理人の隣に立つ少女を見て美香は驚きに目を見開いた。髪の色は違うもののその顔立ち、体型まで、まるで自分のように似ている
「あなた……誰?」
彼女は不思議そうにそう答える
少女は微かな笑みを浮かべた。それはどこか悲しげで、しかし温かい光を宿していた。
「美亜です。あなたのおばあちゃんの義理の娘です」
その言葉と共に美亜がガラスに手を当てると、美香は反射的に同じ動作をした。冷たいガラスを隔てて二人の掌が重なり合うように見えた。




