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お茶会会場はこちらです

「代表……」


「おう! 話は聞いてたぞ! さーてどうするかなー! 貴族からの誘いは他のやつでも出てくるだろうしそろそろ何か考えるか。 アレンのチャンスだしな。

 ……あっ! いいこと思い付いた! 営業前にこの店を貸してやる! ここでお茶会とやらをやれよ」


「えっ⁉ いいのですか?」


「おう! 魔族の管理下なら安全だからいいぞ。 どうせラウンツとか昼間はダンジョンで鍛えてんだ、誰か店に置いといてやる。 あ、場所代は取るぞ?」


「ありがとうございます! でもクラリゼッタ様はここまでお友達を連れて来ることに難色を示していますが……」


「アレンならうまく言えるだろ?」


「…………はい! できます!」


「さすがだな! じゃあ時間と金額は────」


 そして魔王様と話をつめたアレンさんは席へ戻って行った。




「魔王様ぁ……また新しい商売を……」


「あ! 金を管理するやつが必要だからニーナでいっか! 仕事ができてよかったな!」


 私のお仕事があんまりないのがバレてるっ⁉


「魔王様失礼なっ! ちゃんと恋物語の勉強会をやってますぅ!」


「でもみんなわからない単語と意味を書きこんだ紙を本に挟んで回し読みしてるからそろそろニーナのお仕事なくなりそうだよね!」


「ぎゃぴっ! アーニャなんでそれを!」


 私が失業寸前なのバレてるっ!


「ははは! じゃあ勉強会が一通り終わったらまたダンスの練習に戻すか! ってことでニーナよろしくな!」


「はひぃ……」


 ぐぅのねも出ないっ!




「クラリゼッタ様お待たせしました。 代表の取り計らいで、クラリゼッタ様に特別にこの城をお茶会会場としてお貸しするそうです」


「この店を? ……だから先ほども申しましたけれど、なぜわたくしたち貴族がわざわざここまで足を運ばなければならなくって? 茶器などはどうするつもりかしら?」


 アレンさんはニコニコしてるけどクラリゼッタさんの顔はうんざりしている。


「クラリゼッタ様、プレオープンでおっしゃっていましたよね。 この店は気に入ったからクラリゼッタ様達だけで、と」


「……なるほど? 続けて?」


 クラリゼッタさんは目を細めて扇子で口元を隠している。 その下ではニヤリと笑ってるのかな……?


「この城を初めて貸し切りにするという事は、クラリゼッタ様が魔王ですら動かしたという事になります。 お友達からはきっと羨望(せんぼう)のまなざしを送られるでしょう。

 茶器や使用人は屋敷から用意していただかなくてはなりませんが、それだけの価値はあるかと」


「……オホホ! わたくしが魔王を! 悪くないわね!」


 アレンさん、またクラリゼッタさんの自己顕示(けんじ)欲の強さを上手く利用してるっ!


「よかったです。 では代表から提示された時間と会場代ですが、11時から14時までで10万ディルとの事です。 その後は店の準備がありますから」


 実は先々週、お店の営業開始時間を早めた。 今では15時に開店だ。

 「アタシ達は仕事前にしか来れないからちょっとしか遊べないわっ!」というモモさんの声は無視されたけど、ミミリンさんが同じことを言ったら魔王様が即、営業時間を前倒しにした。 現金すぎる……。 


 勉強会は13時から1時間、その後ご飯を食べて営業、という流れだ。

 もはや晩ご飯では無く昼食だ。 日付が変わる前には営業が終わるから、私たちは営業後に晩ご飯をとるようになった。

 お茶会の日は勉強会は無しかな。


「まったく、商売根性たくましい魔王ですこと……」


 同感です! クラリゼッタさんと初めて心が通じ合った。 なんともいえない気分……。


「鍵の管理や照明魔道具の作動に必要な人件費も含まれているそうですよ、ご理解ください」


「わかったわ。 わたくしがこの店を自由に使えるのなら安くってよ!」


 おお! クラリゼッタさんが乗った! アレンさんさすが!


「楽しみですね! 他のナイトも呼びますか?」


 えっ⁉ アレンさんせっかくのチャンスなんだから独り占めしていいんだよぅ!


「……いえ、一応貴族のお茶会ですもの、貴方だけにするわ」


「わかりました」


 どうしてダメなんだろう? ……まぁいっか! これでアレンさんが一気にナンバーワンになっちゃうかも!




──────────────


 そして次の日、3週目6日目の営業前にお茶会は開始された。

 元々クラリゼッタさんのお屋敷で予定されていたお茶会だったので、場所だけを変更したらしい。 次の日なんて思ってもなかったよぅ!


 ちなみにコールの音楽とあだ名付けしかしていないアーニャも道連れにしようとしたけど、「私は一応魔王軍だからダンジョンでの訓練は欠かせないんだよね!」と言われてまたぐうのねが出なかった。


 でもガクリとうなだれている私を見て、ルルさんとメイリアさんが一緒に来てくれることになったので一緒に1階へと降りる。 私の味方はこの2人だけだっ!


「ルルさんメイリアさんありがとうございます!」


 いつもより明るめに照明の魔道具を調整していたルルさんが振り返った。


「うふふ……魔王様ったらニーナちゃんの事が大好きね」


「いつも便利屋扱いされてるだけですぅ……」


「……キッチンの使い方は私が教える……ニーナはアレンさんの心配だけしてあげて……」


「メイリアさんありがとうございます。 クラリゼッタさんの使用人さんから聞かれても私じゃ分からないから助かりました」


 そんな話をしていたらアレンさんがお店に来た。 初めて面接に来た時とは違って私服がオシャレになっている……。 日当が出てるから今日のために買ったのかな?


「こんにちは。 皆さん僕のためにわざわざありがとうございます。 よろしくお願いします!」


 くっ……! 今日もアレンさんの爽やかイケメンスマイルで私の貞操が危険だっ!




 ピポン!


 あ、魔力感知したらクラリゼッタさんだ!


「クラリゼッタさんです、扉開けますね」


 ついにお茶会が始まるよぅ……何事もありませんように!




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