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レイスター:Welcome to Underground

 正式オープンはおおむね大成功だった。 俺は魔王様に指名されて、この後どこかに飲みに連れて行かれる。 みんなの親睦会かな?

 ラウンツさん、アッシュと、そのほかにお調子者のヴァンたち数人も来た。 他のナイトはもう今日は飲みたくないらしい。


「魔王様、親睦会ですか?」


「ん? ああ、そんなもんだ! レイスターはこの辺の酒場知らないよな?」


「全く知りません」


「アタシが見つけたとっておきの酒場を紹介するわよっ☆」


「悪い予感しかしないな……。 アッシュ! 女と酒が飲める酒場知らないか?」


「えっ⁉ 僕は行ったことないですけど、友達が言ってたお店なら知ってます」


「よし! そこに行くぞ! 案内しろ」


「? はい」




 着いた酒場は裏通りにあった。 結構大きな建物だけど薄暗い雰囲気だ、周りに街灯の魔道具が無い。

 店の看板には「リ・ブロン」という文字と百合の花だけ書いてあった。


「いらっしゃい。 ……おや噂の魔族さんとイケメンの坊や達だね」


 店のドアを開けると、露出の高い服を着た熟女がカウンターの奥にいた。 化粧と控えめな照明でごまかしてるけど40歳くらいかな……。

 テーブル席では他にも若い女の子がいて男性客を接客している。 ここはお姉さんのいる酒場か、魔界にもあるな。 父さんが仕事の付き合いで行くとよく母さんがプリプリ怒っていた。


「おう! 近くでやってるホストクラブの代表でハイドだ、よろしくな! 挨拶に来たぜ!」


「ホストクラブ? 例の恋物語の酒場かい?」


「そそ! まぁ今日は俺たち客で来たんだ、飲んでもいいか?」


「ちょうど客がはけてきたころだからね、いいよ座りな。 あたしはオリヴィアだよ、この店のママだ」


「俺はママと飲みたいぜ! お前らはあっちで若い女と飲んでろ」


 魔王様は熟女好きなのかな? いや、営業って言っていたから……客で来たフリをしてこの店の女性に宣伝に来たんだ! さすが魔王様!

 そういう事ならさりげなくうちの店の話をしよう。




「みんなイケメンだね! 名前は?」


 若い女の子たちがエールを持って話しかけてきた。


「レイスターです」


「ラウンツよっ☆ んもう! アナタ服の肩紐が落ちてるわよっ!」


「あーいいんだよー、だらしない方が客が喜ぶんだよね! 女は(スキ)を見せろってママがさ!」


「あらそうなのぉ? 他の店のやり方に文句は言わないケド……。 アタシもベビードールを買おうかしら?」


 やめてくれっ‼ ネグリジェだけでも瀕死なのに‼


「あはは! お兄さん、お兄さんじゃなくておネエなの? ウケる! とりあえず飲も飲も!」


 早速お調子者のヴァンがバカ騒ぎし始めた。 「ちんちん魔法! 硬質化!」とかガキみたいに叫んでいる。 こんなバカみたいな話をして遊ぶのは久しぶりだな。


 そしてアッシュはヴァン達に童貞をいじられ始めた。 俺も人のこと言えないけど……。 アイツは今はまだ封印や魔物と戦ってる方が楽しそうだからな、俺の春は遠いぜ。


「マジ⁉ アッシュ君イケメンなのにまだ童貞なの⁉ あたしが食べていい⁉」


「ミミリンだめ。 わたしが教えてあげる……」


「ぇえっ⁉」


「アッシュ、いくら何でも仲良くなってからがいいだろ? 成り行きで童貞を捨てるなよ?」


 助け舟を出してやった。 このまま上手くうちの店に呼べよ!


「そ、そうですね。 ミミリンちゃんマリンちゃん、またお店に来るね!」


 あああ! なんでそうなる! アッシュが常連になってどうすんだ!


「あんがと! ところで恋物語のお店は1000ディルで飲めるってホント? 冒険者に聞いたんだ!」


 ミミリンが俺に向かって聞いた。


「ああ、本当だよ。 初めてのお客様だけだけどな。 冷やかしでもオッケーだぞ!」


「えー! 行きたーい!」


「わたしも……」


 よし! ミミマリン、他の女の子と一緒に来てくれ! 上手くディメンションの話になってよかったぜ! 魔王様、ミッションコンプリートしましたよ!




 みんな酒が回ってきたので、俺はカウンターにいる魔王様の隣に座った。 実はずっと聞きたかったことがある。


「あん? レイスターどうした?」


「魔王様、お聞きしたいことがありまして」


「……なんだ?」


 俺の真剣な顔を見て魔王様の空気が変わった。


「ニーナの事です。 昔偶然、魔王様が父さんへ送った手紙を見つけてしまって……ニーナには見られていないけどあれは……?」


 ニーナは父さんの本をコッソリ読むのが好きだったから、俺は見張り役でよく付いて行ってやっていた。 ドジなニーナが本棚から盛大に本をぶちまけた時、本に挟まっていた手紙を偶然見つけた。

 そこにはこう書かれていた。 「あの子に力をつけさせろ」  他にはよく分からない地図みたいなものが描かれていた。


 孤児だったニーナの事だとピンときた俺は、本棚の件であえてニーナの代わりに父さんに怒られに行って、手紙のことを聞いた。

 父さんは俺が誰にも喋ってない事、ニーナに見られていない事を確認してから、諦めたようにため息をついて話し始めた。 手紙は魔王様からで、あの子とはやっぱりニーナの事だった。

 父さんが魔王様に詳細を聞いたらしいけど、魔王様は「その時になればわかる、何もない事を願ってるから言いたくない」と(おっしゃ)ったそうだ。


 父さんと俺は約束した。 この手紙の件は父さんと俺だけの胸に閉まっておく事。 そしてもし「その時」ってのが来たら俺と父さんがニーナを守ればいい、と。


「あー……それな。 ニーナは女の子だからさ、俺が昔ちょっと過保護だっだんだよ。 気にすんな!」


「……わかりました」


 魔王様はニーナについて何かを知っている。 でも教えてくれる気はなさそうだ。 何かお考えがあるのかな? でもいいや、俺がニーナを守れば済む話だ!




「ママ、この店は2階があるのか?」


 男性客が女の子と2階に上がって行ったのを見て魔王様が言った。


「ああそうだよ。 アンタなら意味が分かるだろう?」


 魔王様にアンタって言えるこのママは(キモ)()わってるな……!


「なるほどな……。 よし! そろそろ帰るぜ、ご馳走様!」


「またおいで」




 みんなで店を出た。


「魔王様っ! 次はアタシのオススメのお店に行きましょっ☆」


「…………営業のためだ、行くか……」


 ぎゃあ! いくら営業のためとはいえやめましょうよ魔王様! 悪い予感しかしないって言ってたじゃないですか!


 そして俺らは地獄へと連行された……。




 俺は今、モモちゃん、リンゴちゃん、チェリーちゃん達に囲まれている。


「いいから飲みなさいよぉ! ブスぅ!」


 モモちゃんがラウンツさんにジョッキを押し付けた。


「何ですって⁉ イクわよっ☆」


「「「オカマとダディダディ! どすこいわっしょいピーポーピーポー! オカマとダディダディ! どすこいわっしょいピーポーピーポー!」」」


「ははははは! いいぞラウンツもっと飲め!」


「んもうっ! レイスターちゃんも飲みなさいよぉ☆」


「「「ゲイゲイゲイゲイゲイゲゲイゲイ! ゲイゲイゲイゲイゲイゲゲイゲイ? ゲイゲイゲイゲイゲイゲゲイゲイ!」」」


「俺はゲイじゃない! ゲイじゃない!」


 無理やりイッキさせられた!


「コールの返しも完璧ネッ!」


 何がっ⁉


「ステキな『ホモい出』作りましょっ♡」


 ぎゃあ! リンゴちゃんからほっぺに呪印(口紅)を付けられたっ‼ 死ぬ‼ 早く帰りたい!

 何でみんなガチムチなのにミニスカートにハイヒールなんだよ! その折れないヒールはアダマンタイト製なのかっ⁉

 しゃべってるのがラウンツさんかおネエかわからない! ぐっちゃぐちゃだ!


 すみません魔王様! 俺はこの店で営業かけられません! おネエ達のペースから逃げられない! 帰らせてくれぇぇぇええええええ!!!!!




レイスター、無事死亡のお知らせ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] やっぱりニーナには何かあるんですねー。 他の人が濃すぎて隠れてるけど能力チートだなあって思ってました。 そして、オカマバーのコールは笑いしかでないwww
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