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仕立て屋パウリーに安寧は訪れない

「魔王様ぁあああーーー!!!!! いらっしゃいますか⁉ 大変ですっ! 事件です!」


 な、何事⁉

 この声は……仕立て屋パウリーの皆さん? とにかく一階入口へ急げ!


 部屋を出ると、ラウンツさんとお兄ちゃん、メイリアさんコーディさんも出てきた! みんなで一階へ駆け下りる!

 ねぼすけアーニャは寝てるんだろうな。……ルルさんはスッピンだから出てこれないとみた。


 ラウンツさんがディメンションのドアを開けると、やはり仕立て屋パウリーの皆さんが勢ぞろいしていた。全員がなだれ込むようにコーディさんにすがりつく。


「コーディさんっ! 魔王様はいらっしゃいませんか⁉」

「どうしたんですか? 落ち着いてください」

「我らの聖像が! 女神像がぁあああああ! 盗まれましたっ! 今日からどうやって生きていけば……ッ!」


 ミアさんのフィギュアが⁉ なんですって! 盗人は即刻処刑だ!


「おや? まさか魔王様の私物を盗む命知らずな人族がいるとは思いませんでしたね」


 コーディさんは一瞬目を見開いた後、ニチャァ……ッと(たの)しそうに笑った。

 ……私では思いつかないほどの残虐無慈悲な仕返しを考えていそうで怖い。


 コーディさんが魔王様に念話してくれるらしく、魔王様がいらっしゃるまでパウリーさん達を店内へ招き入れる。


「ああぁ……欲望のままに人口の増えるベビードールを着せてしまった天罰か……」

「店長ッ……! 私は後悔していませんよ⁉ しかしあれを見たら誰もが理性を失い、盗んでしまうのも仕方ないです……。くっ! 聖像の魅了スキルで私達も冷静でなかった!」

「いや、でもっ! アレを着せたのは正しかっただろう⁉」

「くっそぉ……僕が添い寝していればこんな事には……!」


 ……仕立て屋パウリーの皆さんは聖像が無い方が正気に戻るから、取り返さなくてもいい気がしてきた。


「おはよう! ミアが盗まれたって?」


 あ、魔王様が転移なさって来た。

 すかさずパウリーさん達がズザザザッ! と魔王様の長い脚にすがりつく。

 聖像を取り返してほしいと必死に懇願するパウリーさんのお話を聞くと、どうやら深夜に窓から泥棒が入って来たらしい。


「魔王様、速やかに盗人を見つけ出し魔界の錬金施設に処理させますか?」


 コーディさんの目が本気だ。そして錬金施設は本当に人体実験をしているの⁉ 冗談だよねっ⁉


「いや、見せしめが必要だ! えっと聖像はどこだ……?」


 魔力感知を始めた魔王様を真似、私も聖像の魔力、つまり魔王様の魔力を探してみる。……あぁ、うちのお店の近くの治安の悪い地域にある。


「よし、見つけた。すぐ終わるからみんなで行こうぜ!」

「見つかったのですか⁉ 皆の者、いざ、救出だぁあああああ!!!!!」

「「「うぉおおおおおーーーーー!!!!!」」」


 パウリーさん達は目を血走らせ拳を掲げた。




 そして魔王様が念話でルルさんにお留守番を頼み、ねぼすけアーニャは放置で私達は裏路地へと向かう。

 だんだんと周りの風景が朽ちた建物ばかりになってきたところで魔王様が足を止めた。目の前には平屋の小さなボロ家が。


「ここだ、フィギュアは一階にあるな。……パウリー達はちょっと離れてろ。ラウンツ、レイスター、よろしく」

「アタシに任せてッ☆」

「はいっ!」

「「「女神を冒涜せし(ぞく)に天誅を!!!!!」」」


 パウリーさん達もやる気満々だ!

 魔王様、前にリサさんとブロアさんを助けた時みたいに突っ込んでいくのかな?


 ──ドガンッ!!!!!


 と思った瞬間、建物が爆発⁉

 すぐに中にいた人族が蜘蛛の子を散らすように飛び出してきた! よく生きてたね⁉

 シュッと何かが動いたと思ったら、ラウンツさんとお兄ちゃんが人族を捕まえてる!


「魔王様っ! 逃げたコはいないかしらぁ⁉」


 ……両手で二人の人族の首根っこを掴んでいるラウンツさんがズンズンと戻って来た。

 魔王様の足元にはすでに、ラウンツさんに投げられたであろう人族が一人転がっている。


「うぅ……なんだ……? ……ッ⁉ ぎゃぁあー! 魔王!」

「るせぇ!」


 ガンッ! と魔王様が盗人の横っ面を蹴った。

 ……くっ! どっちが(やから)かわからない構図だけど魔王様カッコイイ!


 お兄ちゃんも盗人を二人縛り上げ戻って来ると、魔王様の有難いお説教、もとい脅しが始まった。


「お前ら……これが俺様のモンだって知ってて盗んだな?」

「しっ! 知ら──」

「っせぇ! ネタは上がってんだ! 次はお前らに防御結界張ってやんねぇからな⁉ 俺様が作った像は一定の場所から移動させると爆発するようになっている! 死にたくなきゃ泥棒仲間にも言っとけ!」

「「「……!」」」


 自動爆発は嘘だろうけど……魔王様、盗人に結界を張ってあげてたんだ……。なんと慈悲深い!

 人族よ! この寛大なる魔王様を(あが)(たてまつ)れよ! ふはははは!


「じゃー帰ろうぜ」

「お待ちください魔王様ッ! 聖像は⁉ 我らは聖像なくしてどう生きればいいのですかッ⁉ 私達に明日を生きる希望を……ッ!!!!!」


 サクッと裁きを終え帰ろうとした魔王様をパウリーさん達が引っ張って離さない。

 彼らは前にも同じような事を言ってたな……。


「あん? ……ったく、めんどくせぇな。次盗まれたら一千万ディル取るからな⁉」

「なんと有難きっ! 魔王様のご慈悲に感謝を!」

「「「魔王様に感謝を!」」」


 ……仕立て屋パウリーは完っ全に魔王様信者だ。盗人もぜひ見習ってほしい。




 そして私達はその場で解散しディメンションへ戻ることに。魔王様だけ仕立て屋パウリーへ行って再びフィギュアを作るらしい。

 私はメイリアさんと、お化粧を終えたルルさんと一緒にキッチンに立ち朝食を作り始めた。


「メイリアさん、私達が行った意味無かったですねぇ」

「……ん……」

「うふふ、朝から楽しそうだったわね。そういえば今日もみんなでキキュー採集へ行くのかしら?」


 ルルさんの言葉にメイリアさんが包丁で指を切った。


「……魔王様と二人で行きます……」

「あらあら。じゃあ私達は何をしようかしら? あ、ニーナちゃん、姿絵本の発売は明日よね?」


 今度は私が危うく指を切りかけた!

 ……ああああっ! ボンドさんに念話してないぃ!


「ちょ、ちょっと私きゅきゅきゅ急用がっ! しゅ、すぐ戻ります! ではっ!」

「……ナイト君たち、もう明日だって宣伝しちゃってるわよ……?」


 ルルさんのとっても有難い情報を背中で受け取り、泣きながら本屋さんへ走った。




2/25(金)、26(土)はお休みします(∩´ω`∩)

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