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四天王戦 ラスボス戦、決着!

 勇者から白いドラゴンがっ⁉ ……あああああっ! 結界張ってないよぉおおおおんんん!!!!!

 ──〈結界〉っ!


 ドスドスドスドスドスドスドスドスドスッ!!!!!


 ぎゃみゅうっ! 魔王様がムリヤリ軌道を反転させたエタフォが私にっ!

 無数の氷刃(ひょうじん)は私の目の前数センチでギリギリ〈結界〉に阻まれた。

 ……あ、危なかった! 私、先端恐怖症なんだようっ! 魔王様めっ! でもここで死なないと! 急げっ!


 エタフォで串刺しにされた感を出すために、急いで亜空間から血糊(ちのり)を取り出し宙にぶちまける。そのまま後方へ飛び、背中で地面に着地する寸前で再び血糊と鶏肉を取り出し、派手に落ちた。

 土煙に紛れて転移石板で転移──はみゅっ⁉ 白い光が迫ってきてる! 勇者の特大ドラゴンだ!

 早く! 石板に魔力を込め──




 ──私は無事、ディメンション二階のダイニングに転移した。

 背中から落ちた姿勢のままだったためちょっと宙に浮いた状態での転移だったが、受け身を取る気も起きずバンッと床に打ち付けられる。


 …………はぁあああ~~~~~! つっ……かれたようっ!

 えと……もうお仕事は終わりだよね? 計画通りエタフォで自滅したし、肉片もバラ()いた。石板は魔王様が空間圧縮で証拠隠滅してくれるし、あとは……。

 ……ねぇ、「ラウンツ作戦」って何だったのっ⁉ 「『破壊の乙女』とラウンツさんは別人ですよ作戦」って事⁉ むしろそっちがメインになってない⁉ 大丈夫なのっ? ねぇっ!!!!!


 ……もういいや、休もう。

 仮面を外し自分に洗浄魔法をかけたところで、やっとお腹の傷を思い出した。……痛いよぅ! あのカスめっ!

 メイリアさん特製ポーションをぐびっと一口飲み、フラフラの足取りで自室のベッドに潜り込む。


 ふぅ……。私、ちゃんと結果を出したよね?

 〈影移動〉とオーガさんで陰形鬼(おんぎょうき)の設定はバッチリだったし、はみゅカッコいいキャラだって完璧だった。エタフォは二回も全詠唱したし、あのエタフォの威力なら四天王のボスとして申し分ないはずだ、うん。

 だからきっと魔王様から直々に勲章を……ふへへ……。




──────────────


 ニーナが転移した直後、勇者の白龍がその地面をえぐった。

 俺はニーナにかけようとしていた結界の発動をキャンセルする。同時にバトルフィールドも解除。

 ……あれじゃあニーナの血糊演出は残っていないかもな。俺が転移石板を砕くまでも無いか? いや、念には念を。製作者、ルルの魔力を辿って石板の欠片を圧縮粉砕。

 オーガ達は……アレイル兵に全滅させられている、問題ない。


 ニーナ……二回目のエタフォのシメの台詞言えなかったな。まぁ()られた状況だから仕方ない。しかしこれは何かに使おう。


「んじゃ、魔王様のオシゴトしてくるわ」


 みんなにそう言い残し、勇者の元へ転移する。




 音もなく地面に着地すると、勇者はラウンツの寝技から抜け出そうとしているところだった。


「よォ」

「あっ、師匠! 助けて⁉ 裏ボスや!」


 あながち間違いじゃねぇ。


「ラウンツ、からかうのはやめろ」


 パチン☆とウィンクしたラウンツが勇者をリリースした。俺もわずかに首を傾けウィンクを避ける。


「もぉお! いっつも遅いでぇ! ボスはとっくに倒してもーたわ! やっぱ俺は選ばれし勇者やったんやな~! えらいこっちゃえらいこっちゃ!」

「魔王様っ! 『刹那の雪月華』は死んだわぁっ! アタシ、少しは姉の贖罪(しょくざい)が出来たかしら……っ?」


 血まみれのラウンツがハラリと涙を流し、健気な瞳で俺を見つめる。

 ……助演女優賞はお前だ。

 ラウンツがニーナのエタフォを生身で耐えてみたいって言いだした時は、マジでブッ飛んでんなって思った。俺が急所にだけ結界を張ってやったから死ななかったものの、ガチだったら逝ってたぞ。


「お前の姉、『破壊の乙女』の罪は重い……。だがよくやった、ラウンツ! お前はいずれ人族との懸け橋になるだろう」

「魔王……様……っ!」


 ラウンツは口元を手で押さえ、その場に崩れ落ちた。よし、次は勇者。


「師匠! この魔族は味方なん⁉ あっ! あとオカマの悪夢の呪いがかかったまんまやねん! 解呪してや⁉」

「アタシは人族と仲良しよっ☆」

「リュー……『破壊の乙女』は女、だ」

「……さっき聞いた。信じられへんけど」

「本当だ。あと『オカマ』じゃなくて『おネエ』って言え。ラウンツは遊びでおネエやってんじゃねぇ」

「え? は、はい……」

「魔王サマ……キャッ♡!」


 潤んだ目で俺を見るなラウンツ。


「ほな、おネエの四天王は実は女で、このおネエの魔族は弟やけどおネエやねんな⁉」


 勇者がチラチラとラウンツを見ながら言った。……俺様が()だと言ったら(おネエ)でも()、だ。


「うむ。だからお前の呪いとやらは解呪できない」

「なっ! なんやてぇ⁉」

「……もう一度言う。『破壊の乙女』は女、だ。だから『おネエの悪夢』はお前が勝手にそう思い込んでるだけだろ? 元々呪いなんかじゃねぇ」

「…………?」


 ポカンとした顔で首を傾ける勇者。

 リュー……さっき自分で頭の整理しただろ。なぜ分からない……。

 でもラウンツがおネエなのは本当だからなぁ、混乱するのも無理はない。うーん……ちょっと可哀そうになってきた。


「とにかく、四天王全員を倒したんだから呪われててももう解けただろ!」

「……せ、せやな! あの痛ピンクもそないな事言うてたし!」

「うむ! よくぞ四天王を倒してくれた! 流石勇者だな! ははは!」

「せや! 俺、勇者やねん! わはははは!」

「つーかお前、本当は魔法の方が得意だろ」

「……せやねん。デュランダルは聖剣っちゅーより聖杖(せいじょう)としてつこてる。でも剣は男のロマンやろ⁉」

「……そう、だな」


 えぇ……勿体ねぇ。勇者も聖剣も。でもアホだからな。


「そないな事より! 師匠にちょこーっと頼みがあんねん! あんな、転移魔法教えてや⁉ それでガッポリ儲けるんや!」


 やだよめんどくせぇ。借金取りから逃げるために使いそうだし。


「俺様の転移魔法はユニークスキルだからお前には使えない」

「げぇっ⁉ (うせ)やん~!」

「要は金が欲しいんだろ?」

「せやせや! 師匠のカバン持ちでもええで!」


 ……さっさと帰ろ。


「今日はアレイル国王の所へ行け、金の話があるぞ」

「えっ?」


 と、軽く追い払ったところでひとつ思い出した。


「なぁリュー……お前、『麻雀』知ってる?」

「はぁ? 麻雀? 知っとるどころか、サマで出禁なりまくってしもてもう遊ばれへんわ!」

「……そうか、今度やるか。デカピンでな」

「ホンマ⁉」

「おう、じゃぁな!」

「あっ! 待ってや師匠! 念話するから出てなーーーーー⁉」




 俺はラウンツを連れ、ルル達も全員回収するとニーナが待機しているディメンション二階へと転移した。


「みんなお疲れ! 俺はまたアレイル国王の所へ行ってくる」

「魔王様、ラウンツさんお疲れ様! 四天戦最高に楽しかったね!」

「俺、勇者に呪いなんかかけてねぇのに……ブフォ!」

「アタシの存在ってば罪ねぇ……ウフッ♡!」


 四天王|(三人)はキャピっている。が……ルルはメイリアみたいに表情が抜け落ちている。


「はあぁ……ついに四天王戦が終わってしまったわ……もう二度と見る事は叶わないの⁉」

「……ルルさん……ごにょごにょ……」

「…………! それよっメイリアちゃん!」


 放っといて大丈夫だな。


「ニーナは自室か?」

「あっ! 私が呼んでくるね!」


 アーニャがシュッとニーナの部屋に向かう。

 そして服だけ普段着に着替えたニーナと共に出て来た。ニーナの後ろにブンブン振り切っている尻尾が見える気がする。


「魔王様……やりましたよ! 私は結果を出しました!」


 ニーナはぷくぷくと鼻の穴を膨らませ、きらきらと目を輝かせた。こういう所はレイスターに似てるな。


「うむ、ご苦労」

「はいっ!」

「お疲れ」

「はい!」

「…………」

「…………。…………?」


 ニーナの眉がへにゃへにゃと下がり始める。


「……褒美を出さなきゃな」

「……! そっ、そんな! 私は魔王様の忠臣として当然の事をしたまででででですね!」


 ブッ! めちゃくちゃ欲しいのが隠せてないぞニーナ! 頬が真っ赤だ。


「いや、ニーナがキャラ作りに苦労したのは知っている。全員、楽しみに待ってろ。それにしてもなぜブヒエルの真似なんかしたんだ?」

「え? それはアーニャが……」

「別にメイリアみたいな無口キャラでもよかったろ、ニーナだってバレなきゃいいんだから。まぁもう終わったし、みんな楽しんでたからいいけど?」

「……え……? え……?」


 ニーナが顔面蒼白でおろおろし出す。

 ……ぶはっ! 悪いなニーナ。




 黙ってたのは、わざとだ!!!!!




ラウンツさん、74話で言っていた希望を叶えましたw

「したまででででですね!」誤字ではなくどもっています(;´∀`)

※賭け麻雀は違法です。良い子のみんなはマネしちゃダメだよ。


2/5(土)はお休みします(∩´ω`∩)

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