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不良債権ゴンゾ

「おいゴンゾォ……俺様のホスクラをパクった詫びに俺の下で働け!」

「ひっ! すすすいませんっ! 魔王様に言われた通り、祭りとやらが終わったらボーイズバーにしますからそれだけはお許しを!」


 ゴンゾさんは何とか魔王様の魔の手から逃れようと、チラチラッと息子のノエルさんに助けを求めた。

 しかしお店の奥にいるノエルさんは俯いてじっとしたままだ。

 ノエルさんの長めの黒髪はその顔を隠しており、見ようによっては「儚い系男子」に見えなくもない……。


「もう祭りは終わった! 借金立て替えてやっから他国で働け!」


 直球ぅ! でも最初からそう言えばよかったのではっ⁉


「い、いえっ! ブノワ商会への恩がありますから! 現状維持で大丈夫です!」

「ぁあん? 経営アドバイスを授けた俺様への恩は無いってか⁉ ボーイズバーも俺の案だろ⁉ コンサル料は金より価値があんだかんな!」

「そっそれはですね!」


 1言うと10返ってくるのが魔王様だ……。

 魔王様にいじめられている時の私って今のゴンゾさんみたいな感じなのかなぁ……。ゴンゾさん! 気持ちは痛いほど分かりますよっ!


「ちょっと国を離れるだけで稼げる仕事まで紹介してやってんだ! 断る理由がねぇだろ!」

「いやそれは! ……はは……」


 ゴンゾさんは魔王様が怖いんだようっ! 恐怖ではなく心で支配下に置くのが人界征服作戦だったのでは無かったのですか⁉

 どうしよう……ちょ、ちょっとなんか別の解決方法を……。


「利息だけで月10万も払っていけねぇだろ⁉ どうすんだ、ぁあ?」


 魔王様はもはやカウンターに乗り上げ、ゴンゾさんの胸ぐらを掴んでガクガク揺さぶっていた。

 やめてぇ! もっと怖がっちゃうよぉ!


「そ、それは(せがれ)と二人三脚で……」

「セガレぇ?」


 魔王様が首を回してゴンゾさんの視線を追う。

 ……あ、そうだ。魔王様はまだノエルさんがゴンゾさんの息子だって知らない……?


「……そうだ! おいノエル! お前、俺の代わりに魔王様の下で働け! なっ⁉」

「…………父さん……マジかよ……」


 ……えええーーー⁉ ゴンゾさんが息子を売った! ヒドイようっ! 借金はゴンゾさんの責任では⁉

 ノエルさんがショックを受けてるよぉおおお!


「ほう……ソイツ息子だったのか」


 魔王様、また良からぬことを考えてるっ⁉

 魔王様に話しかけるため、急いで私もカウンターの高い椅子によいしょよいしょと座る。


「まっ! 魔王様! 親の借金を子供が払う義理はない、ですよねっ⁉」

「それは魔界だけだニーナ。しかも俺様が法整備した最近の話だろ? 人界では違う」


 えぇ……そうなのぉ? ノエルさん、借金のカタに売られちゃうのっ⁉


「ノエル! 後生だ! 親孝行してくれ! 俺はカアちゃんと同じ墓に入りたいんだよ! 分かってくれるよな⁉」


 魔王様に関わりたくないゴンゾさんはノエルさんのいる奥の座席へと走っていき、ノエルさんを揺さぶりながらすがりついた……。

 どうやら奥さんは亡くなっているらしい。でも……同じお墓に入りたいのはノエルさんだって一緒だよね? もちろん魔王様は殺す気など無いけど、人族からしたら魔王様の怪しさ満点のおいしい話は、いつ死ぬか分からない恐怖を感じざるを得ないのだろう。


「……父さんはいつだって自分が一番だな。……あのさ、魔王……様?」

「あん?」

「外国で働くって、その国に永住できるの?」

「ほう……。そうだな、金で永住権は買える。他には現地の女と結婚するのが手っ取り早い」

「じゃあ働くよ。これでいいだろ? ……父さん」

「ノエル! お前は本当にいい息子だ!」


 ゴンゾさんにガシッ! と抱きしめられたノエルさんの表情は……怖い。目はしっかりと開いているのに無表情で、まるで全てに絶望したかのようだ。

 もうオルガに戻らない覚悟まで決めてしまったらしい。

 ゴンゾさんは見当違いな感動をしてるけど……ノエルさんが身勝手な父親を切ったんだ……。


 親に捨てられる前に自分から。


 そんな自己防衛に見えて、私はただただ悲しかった。

 例えこんな親でも、「捨てられたくない」と思っている裏返しなんじゃないかって思った。

 だって……最後に「父さん」って言ったもん。

 ノエルさんはもうゴンゾさんからこれ以上決定的な言葉を聞きたくない、「親孝行」で終わらせたいんだ。そう感じた。


「ノエル、早まんなよ。詳しい話を聞いてから決めてもいいぜ? ちょっとウチの店、見に来るか?」

「……はい」

「よしニーナ、店に帰るぞ」

「ハッ⁉ はい!」


 いつの間にかノエルさんを伴ってディメンションへ帰る事になっていたらしい。

 私はなぜかノエルさんの心の中が嫌というほど見えてしまって、ボーッとしていた。




 そして開店準備中のディメンションのVIPルームで、魔王様とノエルさん、そして私の三人がお話をする事になった。


 ……なんでまた私っ⁉




ゴンゾさん……ダメ親です。


お正月はお休みします。次の更新は1/3(月)です(∩´ω`∩)

まおホス!も1/29で一周年、今年一年間応援ありがとうございました!


ラウンツ「んもうっ! 今年最後の投稿が暗いお話になっちゃったわネッ! アタシがみんなを元気にするわよぉっ☆ また初夢で会いましょっ♡」

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