ニーナ、逃げる
「ニャーーーーー! すごいニャ! カッコイイニャ!」
あ、ミアさんが叫んでる。どうしたのかな?
「うふふふふっ! ミアくんに相応しいように奮発しちゃった!」
「くっ……! しかしこれでまた今月もお店で使える額が……ッ!」
「でも止められなかったの! 『己の欲望に逆らえない卑しい豚め!』ってなじって! ミアくんっ!」
アルディナさん何事⁉
アルディナさんの方へ目を向けると……あああっ⁉ そっ! それは! ドルムさんリサさん特製キラッキラ☆ミアさん名刺ぃいいいいい!!!!!
首から伸びたチェーンの先にある豪華なミアさん名刺を三人が見せちゃってる!
でもそうだよね⁉ 作ったら見せるよね⁉ マズイ! 魔王様にバレ──
「ニーナ、なんだあれ? ミアが知らないって事はアンナ達が作ったのか?」
ギギギ……と恐る恐る魔王様へ振り向く。
……よかった、普通の顔で首を傾げてる。魔王様名刺はバレてない。でも心なしか私の首のチェーンを見てる⁉ 逃げよう!
「ささささ、さぁ? ななっ何でしょうね? ちょっと私もアーニャと遊んできます!」
ぴゃっ! とバックヤードを出て〈影移動〉でルルさんの隣に座った。
「かくまってくださいルル様!」
「あら? ニーナちゃんどうしたの?」
「あっ! ニーナも逆ハーレムがしたくなったんだね⁉ 割り勘だよ!」
「違うよう! ちょっと事情があって……少なくともラウンツさんの最強装備よりまともな理由です! 割り勘でいいから沢山のナイトさんで隠してぇ!」
「ニーナちゃん、アレがバレそうなのね。ふふっ」
ルルさんには魔王様名刺の話をしたことがあるから気付いたようだ。
アーニャは割り勘になって嬉しいみたいで、お兄ちゃんに逆ハーレムオーダーをしていた。
お兄ちゃんは呆れてたけど分かっていたのか笑ってオーダーを受けた。
どうかこのままやり過ごせますように……。メイリアさんが魔王様にきっとうまく言ってくれるはず!
そして、すでに席へ着いていたナイトさんの他にも、アレンさんネフィスさんセシルさんナンバー陣が私達の席に来てくれた。
イケメンパラダイスだ! でもそんな事より私は隠れたい!
〈影移動〉と〈結界〉どっち使おう……。この二つは重ね掛けが出来ない。
なぜか影の中では結界を張れないんだよね、もちろん結界を張ってから影に入っても結界が解除される。魔法を撃つ時も、影から手を出さないと撃てない。まるで影の中だけ世界が分断されているようだ。ユニークスキルだからかな?
結局、前面に〈結界〉を張った。対・魔王様用なら最高強度の盾形にせねば!
〈影移動〉で頭だけ出そうかとも思ったけど、魔王様に頭を鷲掴みにされる未来しか見えない。他のお客様もいるので生首状態は自重する。
「アーニャちゃんニーナちゃんとこうしてお話しするのは何だか緊張するね」
……くっ! アレンさんが照れながら笑った! 結界を張ってるのに私の全身にキラキラが浴びせられるっ! ここも違う意味で危ないっ!
アーニャが率先しておしゃべりしてるから、会話はアーニャに任せよう。私はひっそりと縮こまる。
「ところでサシャさんはどこでウチの店を知ったの?」
「ん? ああ、今朝あの子達と仲良くなってね」
あ、私の右隣がサシャさんの席だった。ヴァンさんフィルさんとの会話が聞こえてくる。
サシャさんの視線の先を追うと、アルディナさんの席があった。
「ミアのお客さん?」
「うん。今朝ダンジョンへ向かう前にドワーフのお店に寄ったの。そしたらあの子達がいて、あのめーし? っていうのを見せてもらったのよ」
「ああ! なんかミアの名刺を作ったみたいだな。ここまで会話が聞こえてきたぜ」
「ドワーフと獣人がオーダーメイドで受注生産してくれるんだって! それで私は展示品を見て……その……」
ひぃ! サシャさんー! その話はダメェ!
しかし私の心の叫びも虚しく、サシャさんが亜空間からものすっっっご~く見覚えのあるキンキラ名刺を取り出した。
「魔王に……一目惚れしちゃって……。はぁあ~ん! カッコイイ~!」
「亜空間魔法使えんの⁉ ってかなにこれ⁉ 代表⁉」
「我慢できなくて展示品を買い取っちゃった!」
サシャさんーーー! ウソでしょおーーー⁉
「おお……代表がスゲーキラキラしてる……」
「ヴァン! 僕にも見せて!」
私の視界が何かで遮られたと思ったその瞬間。
「俺様にも見せろ」
……顔をあげるとニヤニヤ笑顔の魔王様と目が合った。バッチリ合った。
なぜ私を見ているのっ⁉
サクッとメイリアを見捨てたニーナw でも二人が仲良しだからこそです(∩´ω`∩)
11/20(土)はお休みします。




