2回目の決戦日 後半戦開始!
「……来たね。 じゃあルフランのナンバーワンをお祝いしてモエリ紅白持ってこーい!」
カリンさんの高らかな開戦宣言によりついに戦争が始まる……ッ!
「「「アーザーッス!」」」
「ジルさん、モエリこーはくってわかりますか?」
内勤さんから念話を受けたであろうコーディさんがキッチンのジルさんに聞いた。 私も分からない。
「モエリ赤と白ですね!」
「お? 人界も紅白ってめでたい色なのか? 魔界は金と赤だけど」
魔王様が、急いでシャンパンを用意しているジルさんを見て言った。 人界も?
「はい! 太陽の神と月の女神の色なのでめでたい席で使用します!」
「ふ~ん、なんかこの世界って既視感があるんだよな……絶対作者いるだろ」
「作者とは何の事かしら?」
「……何でもねぇ」
魔王様とルルさんのお話はよく分からないけど、魔王様が転生前の世界の事を考えているのは分かった。
魔王様、転生者って事を隠したいと言う割にはポロポロよく分からない言葉を発するんだよなぁ。
「モエリ取りに来たぜ!」
この時を待ち望んでいたお兄ちゃんがシュバッ! と〈縮地〉でやって来てシュバッ! と〈縮地〉で去って行った。 極めれば転移もどきまで技を高められるかもしれない。
「「「それでは! 『それでは!』 素敵な! 『素敵な!』 姫から! 『姫から!』 一言! 『一言!』 頂きまっしょい! 『オーイ!』」」」
あっ! いつの間にか姫の一言! カリンさんお願いだから暴走しないでぇ!
「モエリ紅白だけで終わらないからね? 今日、確実に、息の根を、止めるッ‼」
カリンさんが低くよく通る声でそう言った後、喉の前で親指を横切らせ「コッ」っと舌を鳴らした。
……魔族の私ですら「死」「ごめんなさい」「許して」という文字が一瞬で頭に浮かび上がった。
カリンさんの挑発スキルは強い……恐るべし。 人族を侮ってはいけないかもしれない。
キキマリンさんは楽しそうにパチパチ拍手してる。 ああ……ルフランさんとネフィスさんはすでにゲッソリ……シャンパンが注がれたグラスを配っているアッシュさんの手は震えている。
「ぶはは! カリンの煽りはベタだけど俺は好きだぜ!」
「私も真似しよっと!」
魔王様もアーニャもカリンさん大好きだな……。
「「「ア、アーリガッザーイ! 『アリガッザイ!』 それでは! 『それでは!』 ビンダの! 『ビンダの!』 ご指名は? 『ご指名はっ!』」」」
「ミア! ミアも今月キてるからね!」
「ニャ? ビンダしていいニャ? ありがとニャ!」
カリンさん抜かりないっ! 確かにミアさんはアルディナさんが仕掛けるっ! ……ミアさんは純粋にビンダ指名されて喜んでるけど。 お祭り好きだから。
「「「ご指名! 『ご指名!』 ミア! 『ミア!』 グイグイ! 『グイグイ!』 グイグイググイの! 『グイグイググイの!』 感謝の! 『感謝の!』 気持ちを! 『気持ちを!』 込めまして! 『込めまして!』 『ごっつぁんでーーーす!』」」」
そしてミアさんはモエリ白と赤を連続ビンダさせられた。 多分ミアさんの性格からして本当に飲んだと思う。
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「むぅ! アレンきゅんっ! ユニコーンとペガサス入れりゅっ!」
「しゅりちゃん、もうすぐネフィス戻って来るから待ってて?」
「うにゅぅ~~~! ムカツクのだぁ!」
「なんでらしゅとおーだーなのぉ? 早く飾りボトル欲しいよぉアレンきゅん!」
みゅうが組んだ両手を右頬に当て、首をかしげながら僕に聞いてきた。
「うんあのね、決戦日のラストオーダーは特別なんだ。 ラストオーダーで勝負が決まるからね。 だから今入れたらラストオーダーでは何も出来ないよ? そっちの方が悔しくないかな?」
「みゅ……それはいやぁ」
「みゅうはプリンセスらしく優雅にワインを飲んでいたらいいよ。 ユニコーンとペガサス本当にありがとう、嬉しいよ。 これなら勝てるね!」
「うんっ! アレンきゅんだぁいしゅきっ☆」
「可愛いね、みゅうは」
エースになってくれた事と作った声だけは。
みゅうのラストオーダーは確定しているからもう他の席に行きたい。 決戦日はどうしても1人に着く時間が短いから、お客様の気分を損ねずなるべく高いお酒を入れてもらわないと。
内勤に念話して抜けさせてもらおう、みゅうは嫉妬が激しいから。 ナイトは自分の判断で抜けてもいいけど、内勤に抜かれた方が「しょうがない感」が出る。
しかし……やっぱり連続ナンバーワンは難しいな。 僕の先月の売り上げはほとんどクラリゼッタ様だ、つまり運が良かっただけ。 そもそもルフランの方が実力は上なんだ。
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「ぎゃぴっ⁉ はみゅエルさんユニコーンとペガサス両方入れるのっ⁉」
「2人とも2本ずつ入れるのかな⁉ これはついにアレンくんも枕⁉」
「やめてアーニャ! アレンさんは枕しないって私信じてるんだから!」
「えー? ニーナもしかしてアレンくんお気に入り?」
「ち、ちが! 何となくアレンさんはそういう事しない気がするのっ!」
「なんだニーナ、アレンがお気に入りなら指名してやれよ。 まだ一般席が1つ空いてるぞ?」
「魔王様までっ! ……ハッ⁉ ルルさんもっ! みんなニヤニヤしないでくださいいい!」
そしてカリンさんのシャンパンに続く人はいなかった。 もう後半戦だからみんなラストオーダーに賭けているんだ……。 ホールでダンスをしたり各々嵐の前の静けさを満喫しているように見えた。
あ、ヴァンさんはなんとか休憩卓のお客様を呼べたみたい。 入口の方から声が聞こえる。
「マジで最低料金でいいんだよね? もう化粧落としたのに来てあげたんだから感謝してよっ⁉」
「うん! マジ! 俺ビンダばっかりさせられるから死ぬほど助かる! ありがとぉ~~~! 俺の月の女神よ!」
「キモッ!」
「ヒデェ!」
ヴァンさん……お茶回避できてよかったね。 「死ぬほど助かる」ってのは死ぬの? 助かるの? どっちなんだろう。
ラストオーダーが始まる前に今の売り上げを確認してみる。
ルフランさん321万8千、セシルさん282万3千、ヴァンさん256万9千、ミアさん250万4千、ネフィスさん153万、アレンさん143万8千……16位にアッシュさん42万3千、次いでバレットさん40万4千。
ナイトさんがみんな頑張ってくれたからとりあえずバレットさんの指名手配看板は免れた。
アッシュさん……未だにマリンさんしかお客様がいないんだよね。
ヴァンさんは昨日たくさんお客様が来たからかなり売り上げたけど、残念ながら後は抜かされるだけ。
セシルさんもエースのララさんがいない、なんとかナンバー5は維持したいところだ。
今月のナンバーワンはルフランさんが濃厚かなぁ。 セリーヌさんとカリンさんという最終兵器を2発も残してるもん。
ピポン!
売上表を見ていたら来店が! 誰っ⁉ また休憩卓要員⁉
魔王様ごめんね! 主人公じゃないよ!
ルフラン「俺は変身の度にパワーが遥かに増す。俺はその変身を後2回残してる」
ここからが長いのでまだまだ決戦日をお楽しみ下さいませ!




