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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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76話 人気のGクエスト

ある日の事。


ギルドロビーの掲示板にGランクのクエストが張り出されていた。


ランク外のそれもGランクと言えば、素人冒険者向けの別名「お使いクエスト」またの名をギルドルール違反者の為の「罰則クエスト」と呼ばれているので目を通す冒険者はほとんどいないが、この日のGランククエストには人だかりが出来ていた。


タウロは何事かと見てみると、


「ギルド運営の酒場を出すので空き家のリフォーム」


と書いてあった。


これには、


「俺、器用だからやろうかな。酒場は早く出して貰いたいからな!」


「おお!今まで宿屋で、決まった時間しか飲めなかったから、出来たら最高だな!」


「このギルドの修復したやつら誰だ?最近だろここ修復したの?酒場も頼む!」


と、昼間からお酒を飲みたい連中が騒いでいた。


タウロはギルド運営の酒場は大歓迎なので、このクエストを受ける事にした。

このギルドでも有名になりつつあった子供冒険者が引き受けたので、器用さに自信がある冒険者が奮い立って依頼を受けだした。


シンとルメヤはタウロが受けるなら自分も!と付き従う。


こうして定員はすぐ集まり、あっという間に、酒場オープンプロジェクトが立ち上がった。


木材は豊富な村なので、良い木材も安価で入手できて材料には事欠かない。

支部長であるクロエの指示の元、というか裏ではタウロが指示していたのだが、リフォーム作業が始まった。


場所はギルドの向かいの大きい平屋の廃酒場跡。

それをタウロの設計で2階建てにする計画だ。


一階は酒場で2階は冒険者向け宿泊施設にして、宿屋とは違ってもう少し広めの部屋の間取りにする、その分宿泊費は割高だが、十分需要はあるはずだ。

宿屋は寝る為だけの狭さなので長期滞在するには厳しいのだ。


実際、長期滞在の冒険者達は、お金を出し合って、一軒家を借りたり、倉庫を借りて荷物を置いたりしていた。

タウロもそろそろ、一軒家を借りようか迷っていたところだ。

タウロは別にマジック収納があるから、荷物には困らないのだが、宿屋の壁は薄いので音が響く、なので何かと作業をするには、迷惑がかかる。

宿屋の庭でやる事にしても時間帯を気にしながらだった。


なので、個人的な想いも含めて防音面を配慮した作りに設計してある。


それに、酒場だけでは収益率が全然違う、上のスペースを利用しない手はないのだ。


腕に覚えがある冒険者達は設計図を見て驚いた。


2階建てにも驚いたが2階が宿泊施設だからだ。


「「「絶対こっちに引っ越す…!」」」


異様な雰囲気に『気配察知』を使わずとも冒険者達の心の声が聞こえてくるようだった。



作業をする冒険者達は器用さに自信があったが、タウロの作業をみてると自信喪失しそうだった。

ミリ単位で木を切り出し、削り、ピッタリ設計図通りに木材を渡してくる。

支部長の指示で組み立て作業は自分達がやるのだが、組み立てると本当にピッタリで木の継ぎ目も複雑で釘がいらないのだから驚きだ。


全員が、この子は大工の息子か、スキルに熟練度が高い『木工』を持ってると確信するのに時間はかからなかった。


1日目の作業を終え、作業をしていた冒険者達が支部長にタウロは何者かと聞いてくるが、個人の情報は話せないと当然の主張をしてクロエは断った。

が、正直、クロエ本人が知りたいくらいだった。


魔道具での検査ではタウロが文字化けスキルの1つしか持ってない事は確認している。

あの、役立たずスキル代表と言われる文字化けだ。


つまりタウロは人一倍努力をしてスキル無しで今の技術を身に付けた可能性が大きい。

文字化けスキルはそれほど、どんなスキルかわからないので努力のしようがないものだ。

この子はその悪条件で結果を出している。

クロエはタウロに脱帽だった。


一緒に仕事した冒険者達にスキルを聞かれたタウロは素直に文字化けスキルの一つだけと答えた。


嘘をついても『鑑定』されても『鑑定阻害(極)』があるのでバレないが、不可解な能力の説明をしなくて済むのが文字化けスキルの良いところだった。


冒険者達はそれを知ると、クロエと同じ想像をしたのか一様に、タウロの肩を叩くと頑張ってるな、お前凄いな、など励ましの声をかけるのであった。

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