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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第553話 古代遺跡に到着

 A-チーム『青の雷獣』を中心としたタウロ一行は、暗い洞窟内を魔法で照らしながら、地下に降り続けていた。


 途中、ダークワームという巨大ミミズのような魔物の集団と遭遇し、B-チーム『銀の双魔士』とタウロ達『黒金の翼』が活躍する場面が何度かあったが、それ以外ではもうオログ=ハイの集団と出会う事は無かった。


「足元が悪いところが多いとはいえ、降り続けてもう数時間という事は結構深くまで来ていますよね……」


 タウロは自分達が降りてきた方角を振り返りながら、『青の雷獣』のリーダージャックに確認するように話しかけた。


「そうだな……。確か目的地にはもうすぐ到着するから安心してくれ。──本番はそこからだからな」


 ジャック達『青の雷獣』は、目的地である古代遺跡の守護者と思われる守護岩人形ゴーレムの討伐が主な目標だ。


 もちろん、冒険者として古代遺跡を調査する事も目的に含まれるが、それをする為にはその遺跡を守護している岩人形を討伐しないといけない。


 ジャック達の話ではその岩人形は四メートル級の大きさというから、討伐するのが大変なのは容易に想像がつくところである。


「そこまでの露払いと本命との戦闘での支援は僕達がしっかりやりますから、安心してください」


 古代遺跡の発見で歴史に名を遺す事になるであろうジャック達の為にもタウロ達は契約は守り通すところだ。


「ああ、期待しているさ」


 ジャックがニヤリと笑みを浮かべて応じると、長剣使いのロンガが、


「ジャック、到着だ。あの門を潜れば目的地の古代遺跡だ」


 と、この冒険の旅の終着点である事を知らせた。


 長剣使いのロンガが言う通り、暗闇の中に人工物とわかる門のような造形物が現れた。


「長い年月で風化しているっぽいけど、確かに人工物だわ……」


『銀の双魔士』のリーダー・ジェマが息を飲んでその門を眺める。


「こんな地下にこんな人工物だなんて、まるでダンジョンの跡に作ったみたい……」


 エアリスが門を潜りながら一目見ての感想を漏らした。


「言われてみれば、その可能性があるかも……」


 タウロもエアリスの感想に理解を示す。


『青の雷獣』を先頭にタウロ達一行がその門を開いて潜り抜けた洞窟の先に光が見える。


 そして、その光の方に進んで行くと視界が一気に開けた。


 そこは、何十メートルあるかわからない高い天井が光っており、地下全体を照らしていた。


 その地下空間は一つの街のように沢山の建物が建っており、タウロ達一行は明らかな人工物の数々に目を見張った。


 これは確かに大発見だろう。


 こんな地下深くに人が住んでいた痕跡があるのだから。


「……こいつはたまげたな」


 アンクが、スケールの大きな遺跡に驚いてそう漏らした。


「……タウロ様。何か奥から音が聞こえます」


 半獣半人で耳の良いシオンがフード隠れた耳を動かしてタウロに知らせる。


「『真眼』。……ジャックさん、どうやら先客がいるみたいです。それも沢山」


 タウロは能力の『真眼』で数百メートル先まで見通して、わずかに映るシルエットを見て伝えた。


「!……そいつらはどちらの方角にいる?」


「そのシルエットは今のところ何かを取り囲むように展開していますが、ここからあちらの方角三百メートル程先だと思います」


 タウロはジャックの質問に方向を指差して答えた。


「……あっちは俺達が『守護岩人形』に遭遇した方向だ。……どうやらうちと目的が同じ連中がいるみたいだな」


 ジャックはタウロの報告に舌打ちすると仲間達と視線を交わして続けた。


「──ここからはみんな極力気配を消してその場に急行しよう。『気配遮断』系能力を持っている奴はどのくらいいる?」


 ジャックが自ら手を上げながら、全員に確認した。


『青の雷獣』のメンバーは全員挙手し、タウロ達『黒金の翼』も全員挙手。


『銀の双魔士』のメンバーは双子の姉でリーダーのジェマと妹のジェミス以外の二人が挙手した。


「……『銀の双魔士』は、俺達の背後を距離を取って付いて来てくれ。合図を送るから見逃さずにいてくれよ」


 ジャックが、ジェマ達に伝えた。


 リーダーのジェマは悔しそうにしているが、今は緊急事態である。


 渋々頷くと先行する『青の雷獣』と『黒金の翼』と距離を取ってついて行くのであった。



『青の雷獣』と『黒金の翼』の面々は建物の影を利用して古代遺跡の中心部分に進んで行くと自ずと音も近づいて来た。


 シオンで無くても聞こえる距離になってきたところで、一旦止まる。


「……どうやら『守護岩人形』と戦っているようだな」


 ジャックは『気配遮断』を使用したまま、その戦闘が繰り広げられている場所を微かに見える場所に移動してそう口にした。


 その視線の先には大きな巨体を動かして足下に群がる敵を迎え撃つ『守護岩人形』の姿があった。


 そして、足元に群がって戦っているのが、あのオログ=ハイの集団であった。


 全部で六十体くらいはいるだろうか?


 その半数は『守護岩人形』に倒されたのか足元で動かなくなっている。


「あんな手強い魔物にあの数で襲われたら、さすがにこっちが全滅するな……」


 ジャックがオログ=ハイの集団にぞっとした。


 それはタウロ達も一緒である。


 あの数で徒党を組まれたら、苦戦どころでは済まないだろう。


 だが、それを相手に『守護岩人形』は怯むことなく、返り討ちにしている。


「これは不幸中の幸いだ。人じゃないから助ける必要もないし、先を越されたわけでもない。相手は魔物だからな。そして、お互いで潰し合いをしてくれている。どちらかが負けるまで戦い方を観察しておこう」


 ジャックは漁夫の利を提案した。


 タウロもその提案に賛成する。


 ここで割って入ったらただの馬鹿だ。


 それに見たところではオログ=ハイには打開策はなさそうであったから、こちらは当初の予定通り、勝敗が決した後『守護岩人形』討伐に全力を注げばいいだろう。


 ジャックはタウロの同意を得ると、後方で待機している『銀の双魔士』を手招きして呼び、状況を説明する。


「……わかりました。──みんな、それまでに万全の態勢で待機よ」


 ジェマはジャックの説明に納得すると、仲間に命令する。


 タウロ達も同じように武器のチェックをしつつ、この両者の潰し合いを静かに観戦するのであった。

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