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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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22話 禁断の手

数日後行われたタウロの大盤振る舞いパーティー、そして、孤児院への全額寄付は関係者各位には好意的に受け止められた。

ただ、それがわずか10歳の子供冒険者の行為である事で、街では関心事になり、たちまちタウロはその名が知られる事になった。

だが、タウロ本人を知っている者は関係者以外では少なかった。

何しろ、街を歩く時は気配遮断を使っているので街の人に気づかれる事がほとんどなかったのだ。

なので、タウロの名だけは街中で広まり、人物像は少ない関係者の情報と、想像によって尾ひれがつき、一人歩きする事になった。


「サトゥー、お前、夜な夜な悪党を懲らしめているんだって?」


「俺は、一度死んだ爺さんを生き返らせたって聞いたぞ。」


大人の冒険者達が街の噂を面白がってタウロを茶化した。


「そんなわけないじゃないですか。」


困るタウロ。


「そうだと思って、否定しといたぜ。」


冒険者達は笑ってそう言った。

ギルドの仲間として、ちゃんと訂正してくれてたようだ。


「みなさん、ありがとうございます。」


タウロがお礼を言うと


「酒を奢って貰った借りもあるしな。ギルドの仲間だ、当然だろ。」


と、他の冒険者の間から声が上がった。

言葉の主は、ベテラン冒険者のモーブだった。


「お前は立派な事をしたんだ、胸を張ってろ。噂も少し経てば収まるさ。」


「はい!」


孤児院への寄付は、自分の元の境遇が理由でもあったが、何かとお世話になっていたモーブの事もあった。

受付嬢のネイの話で、モーブが元孤児である事はギルドに来た時に聞いていたのだが、モーブは冒険者として稼いだ報酬の一部をよく孤児院に寄付しているらしい。

ランクがC+になって、一流冒険者の目安、Bランク入りが近いにもかかわらず、この街を離れない理由はその辺りにあるのだろう。


モーブさん、相変わらず、イケメンです…!


モーブに改めて感謝するのであった。




この出来事から数日後、買い物の為、普段通り気配遮断を使用して街を歩いていると、道端で何組かの人形劇をみかけた。

以前よりかなり増えた気がする。

増えた事自体はどうでもいいのだが、その人形劇の物語の主役が自分になってる事に気づいた。

普段、話題が乏しいこの街である。

人形師にとって、タウロを主人公にした物語は今、最も街人がよく知っている話題でありウケがよく、稼ぎ時だった。

噂が本当かどうかは関係なく面白ければいいのだ、人形師は面白おかしく、それでいて英雄的に物語を誇張して演じていた。


「これは…。噂が立ち消えになる前に、人形劇で、より一層広まる可能性が…」


人形劇はその土地の伝承や物語を後世に伝える為の道具の一つという側面もある。

遡ると呪術的な意味合いもあったらしいが今は娯楽の様相が強いだろう。


タウロの噂話は、地元の娯楽の一部になる物語になりつつあるという事だ。

人の口には戸が立てられないと前世では言ってたが、まさにそれだった。


「仕方ない…、危険な賭けだし、使い古された禁じ手だけど、奥の手を使うしかないか…。」


タウロには切り札があるようだった。


「人形師さん達には悪いけど、目には目をだ。娯楽には新たな娯楽をぶつけて、有耶無耶にする!そうと決まれば、早速、制作だ!」


勝算を秘めてタウロはギルドに足早に戻るのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白いです。最初の大学生の頃の性格からしてもっと怪しい性格になってるかと思えば、ビックリ!先が楽しみです。
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