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VRゲームで鳥をもふもふしたいだけ!  作者: 音夢


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番外編:トリック・オア・トリート

 今日は待ちに待った公式ハロウィンイベントの日。ファウストの街は朝から夜の帳が下りたまま、幻想的な雰囲気に包まれている。

 街中には様々なハロウィンデコレーションが施されていて、みぃと待ち合わせした中央の噴水にはユニコーンが元々飾られていたが、今は手にカボチャモチーフが付いた杖を持ったジャック・オ・ランタンが跨っていた。


「うわー!雰囲気あるねー!」


「ほんとね、楽しみ」


 みぃは季節物のイベント好きだもんねぇ、発表された時から楽しみにしてたし。

 露店やお店には骸骨やお化け、かぼちゃのランタンなど様々な置物が置かれていて、ついつい浮かれてしまう。


「とりっく・おあ・とりーと!お菓子をくれないといたずらしちゃうぞ!」


 あちこちの人に声をかけながら、そこら中を走り回る子供達(NPC)。いやはや、元気があっていいねー!なんか体の色が薄っすらとしているけど。って……今、目の前の人を通り抜けた……よね?


「……みぃ、今の視た?」


「え……?何かいた……?」


 オーマイガー。うち視えるようになったの……?え、塩か日本酒をぶっかければいいの?いや、でも西洋のお化けに通用する?あ、十字架か!って、それ吸血鬼だわ!西洋のお酒にしたらいいのか?テキーラなら効くかな?


「ぷっ、あはは!ウソウソ、私も見えてるよ」


「演技うますぎか!本気でお祓い方法考えちゃったじゃん!」


「ふふっ、イタズラ成功。ほら、イベント始まるわよ」


 軽やかなアナウンス音が響き、広場に集まっているみんなが一斉に空を見上げる。空から吸血鬼――ではなく、吸血鬼のコスプレをしたシーちゃんが舞い降りてきた。


 ……今すぐうちの血を吸って同族にしてくださいお願いします。(土下寝)

 何なら全身の血を一滴も余らずに吸い尽くしていいです!君に取られるならこの命は惜しくもない!

 あ、命の前にスクショ撮らなきゃ。とりあえず100枚くらい色んなアングルから撮っておこう。あー!それいいねー!キャー!こっち向いてー!


『【公式アナウンス】は以上ですッピ!!それでは、新世界人(ニュービー)の皆様ハロウィンを楽しんでくださいッピ!』


「かなり盛りだくさんな内容だったね」


「ハッ!可愛すぎて何も聞いてなかった……」


「だろうと思ったわ……」


 どうやら、街周辺のフィールドのみイベントモンスターが出現するらしく、倒すと限定アイテムが手に入るとのこと。それを集めてイベントNPCに渡すとハロウィン衣装が貰えるんだって!そりゃ集めにいかないとね!いざ、フィールドへ出発!


 早速、出てきたゾンビスライム。緑色でいつものスライムよりデロッとしているが、お馴染みのコアを抜くとすぐにポリゴンと化した。いつものアイテムではなく、渦巻きのぺろぺろキャンディーを落としていった。

 このお菓子を集めていけばいいんだね!よーし、じゃんじゃん集めるぞー!


 みぃと一緒に、オレンジのツタになったアイビーラビッツも倒していき、アイテムを順調に手に入れていく。2人して納品できる数になったので、そろそろ街に戻ろうかという時にガサガサと草陰から出てきたのは、愛しのエッグケッコーちゃん。しかも、ハロウィンバージョンで頭にはカボチャを被っている。

 エッグのアイデンティティー消えてない?これだとパンプキンケッコーでは?そんな事はとりあえず、置いといて。


「【反転 AGI(素早さ)】!エッグケッコーちゅぁんんんんっ!!突然もふもふありがとうございます!」


 スライディングハグして顔をそっと埋める。んはぁー!この肌感たまらない!奥までもきゅっとしているし、お日様の香りがするぅ。やっぱこれだよねぇ、んふー。(※現実は鳥獣保護法により禁止されています)


「すごい間の文章省いたわね……」


 みぃが呆れたように言った。

 だってさ、突然で申し訳ございません!もふもふを堪能させていただきます!誠にありがとうございます!っていうと長いじゃん?気持ち的には全文言ってるから、きっと大丈夫。Not鳥ハラ。


 存分にもふもふを楽しんでからお菓子(ポリゴン化)になってもらった。どうやらイベントNPCは衣裳店に居るみたいなので、みぃの案内でそこへ向かう。

 街の北側にある店内へ入ると、ハロウィンらしい装飾がそこかしこに施されていて、お菓子のような甘い香りもする。


「あれがイベントNPCよ」


 お店の奥に沢山のプレイヤーが群がっており、その中心に立っていたのは、先ほど噴水で見たジャック・オ・ランタンだった。タキシードの様な服を身に纏っているから、まるで貴族のように見える。


「こんばんは、可愛い人間のお嬢さん方。お召し物をお探しかい?」


「うん、お菓子と交換できる衣装を見せてくださいな!」


「お菓子と交換できるのは1つだけだよ、素敵なのが見つかりますように」


 結構、イケボだね。まぁ、シーちゃんのエンジェルボイスには敵わないけどね!さて、表示されたパネルを見てみると衣装は全部で3つある。子悪魔風衣装、吸血鬼のタキシードと女王様風サキュバス衣装だった。

 ほかの2つにはスカート/パンツバージョンがあるのに、女王様は1つしかなかった。まぁ、3つ目は際どいのでナシ!

 小悪魔のパンツ版もカワイイなぁ、みぃはこっち選びそうだし、うちはシーちゃんとお揃いで吸血鬼にしようっと!ぽちっ。


「ルーイ選んだ?」


「うん!せーので見せ合おう!」


「おっけー」


「「せーの」」


 お互いに装備欄の衣装に新しいアイテムをセットすると、一瞬にしていつもの剣士服から吸血鬼衣装に早変わりした。みぃを見ると予想した通り、小悪魔風衣装を選んだようだ。背中には小さめのコウモリ翼、赤と黒のコルセットドレスでカボチャボタンがついている。


「うわー可愛い!そっちのパンツバージョンとも迷ったんだよね」


「(お揃いがよかった……)どうせ、ルーイがそっちにしたのシーちゃんと同じだからでしょ」


 ジト目でこちらを呆れたように見るみぃ。しっかり、選んだ動機までお見通しだった。みぃとお揃いも頭をよぎったけど、こっちの衣装の方がエスコートできそうだなって思ったんだよね。さて、ちょっと紳士的な吸血鬼スタイルで行ってみようかな!


「お嬢様、この後スイーツでも食べにいきませんか?」


「(――っ!この、人たらし……!)もう……早く行くわよ」


 差し出した腕に、彼女の腕が絡む。

 向かうのは《かふぇ ふくろうの木》である。ハロウィン限定スイーツがあるって看板に書いてあったんだよね。木製の扉を開けると、そこには頭にネジを刺したフランケンシュタイン風のモリフクロウさんがいた。思わず扉をそっと閉じる。

 落ち着こう。さぁ、深呼吸して。ひっひっふー。邪心ちゃんいらっしゃーい。


「何してるの……ほら、入るよ」


「あぁ!待って!邪心の準備が!」


「邪心はハウス!ルーイはお手!」


 わん!って、だから犬じゃないわい!でも、みぃが手を繋いでくれたお陰で鳥ハラは免れました。だけど、可能ならば。今すぐ、あの頭のネジに生まれ変わって羽毛に埋まりたい。ダメだ!想像したらニヤケが!

 案内された席で机に頭を打ち付けて煩悩を取り払う。


「はぁ……せめて、鳥ちゃんにイタズラされたいよぉ……」


「相変わらずね……トリートあげるから。こっちで癒されなさい」


 みぃは呆れた顔でパネルを操作し、アイテムを送ってきた。

 なんだろ?届いたものを見るとシーちゃんのぬいぐるみ(吸血鬼Ver)だった。


「ほわ?!ギャンカワ!!これ、どうしたの?!」


「錬金術と掛け合わせて作ったの。インテリアだから部屋に飾れるわよ」


 飾っておくと、安眠バフが付くらしい。もはや、神。もう、部屋に神棚を作って信仰しようかな。しかし、みぃは本当にすごい。うちは料理くらいしかできないからなぁ。ちょっと豪華にしたから、喜んでくれるといいな。


「じゃ、うちからはこれ!」


 インベントリから取り出して、彼女に差し出す。

 みぃはネコが好きだからね、ねこお化けとねこカボチャのアイシングクッキーをハロウィンモチーフの缶にたっぷり詰めた。


「カワイイ……大事に食べるね。そろそろ注文しよっか」


 羊皮紙のメニューをタップして2人分の限定スイーツを注文すると、程なくして香ばしい香りがふわりと漂いモリさんが念力を使いふわり、ふわりと品物を運んできてくれた。

 目の前の空中にはカボチャのスパイスラテとカボチャのチーズケーキが浮かんでいる。


「ホッホゥ」


 モリさんが首を傾げて、短く鳴いた。首には看板がかけられていて、こう書かれている。


『トリック・オア・トリート?』


 それを見た2人の声が重なった。


「トリック!」


「トリート」


「「え?」」

本日は特別更新!ちなみに、他のメンバーの衣装はこんな感じでした。


ギルマスとツバキさんは小悪魔(パンツ版)

ジョンさん、クマ師匠、神父は吸血鬼。

まりんさんは女王様を選んだとか、かんとか。


スタンプ、ブクマ、★をポチっとしないとイタズラしちゃうぞ⭐︎


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