表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRゲームで鳥をもふもふしたいだけ!  作者: 音夢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/77

49羽目:地下溶鉱都市《マグマの街ダンジョン》④

すいません、20時にあがってたの次の話でした!間の話抜けてない?と思った方正解!中身すり替えましたので、今度は話が繋がってます!

地下3階へと続く階段を降り切った瞬間、空気が一変した。先ほどまでの熱気はまだ残っているものの、それ以上に重く、何百年も前の燃え残った煤と灰がこの空間に積もっているかのような、沈んだ空気が漂っていた。


 広大な空間には、冷え切って固まった溶岩の痕跡が残り、かつて宮殿か神殿だったであろう、石柱や焼け焦げた建材が無造作に転がっている。すべてが灰色に染まり、時間が止まったように静寂が支配していた。


「この階はアンデッド系のモンスターが出る。ここを抜ければボス部屋だ。まりん、聖属性を……っと、噂をすれば……」

 

 三影さんが目を細めて、双剣を構えた。

 地面に積もる灰の中から、ゆっくりと何かが立ち上がる。


【アッシュボーン】


 それは、骨だけとなった兵士たち。だがその骨は、ただの白い骨ではない。焼け焦げ、煤け、灰にまみれたそれは、まるで燃え尽きた意志そのものに見えた。アッシュボーンたちは空虚な眼窩でこちらを見つめ、カタカタと歯を鳴らし無言のまま剣を構えている。


「まるで、何かを守っているみたいだね……」


 その数、8体。うちは盾を前に構えながら呟いた。


「ここの神殿を守るために、多くの兵士がここで散ったみたいやで。その魂が未だに囚われてるんやろな」


 ジョンさんがマラカスを握りしめ、表情を引き締めた。


「来るわよ!【聖水(ホーリーウォーター)】!」

 

 まりんさんがスキルを唱えるたび、1人1人の頭上に黄金の盃が現れ、武器へと吸い込まれていき、淡く白い光に包まれた。

 

 1体のアッシュボーンが剣を構えて走ると、まるでかつての戦場の記憶が蘇ったかのように、残りの兵士たちが応えるように広がって走り寄ってきた。


「べろべろばー!【挑発】!」


 だが、空洞の目はこちらを捉えることはなく、散らばっていく。

 しまった、範囲から外れていた!?


「【神楽の舞】!」


 ツバキ先輩が鈴を振ると、鈴の音がまとわりついた重さを払拭するように響き、足元から白い光が広がって身体がふわりと軽くなった。


 「【律動加速(テンポブースト)】!【音律連撃(リズムストライク)】!」


 加速したジョンさんが、マラカスを左右に振り、2体のアッシュボーンの頭蓋骨を粉砕する。


「【瞬裂乱舞(しゅんれつらんぶ)】」


 前に三影さんの刃が地面をなぞるように走り、紫の衝撃波が円を描いて広がる。3体のアッシュボーンが何かに引っ張られるようにのけぞり、手前の2体はポリゴンとなって散った。奥の1体は目標を見失ったかのように、空洞の目で周囲を見渡している。


「【幻歩(げんぽ)】」


 三影さんが見えない階段を踏むように、空中へ駆け上がり、一回転してアッシュボーンの背後に降り立つ。双剣を外から内へクロスするように、頸椎へ一閃を加えてトドメを刺した。しかし、残る3体が2人の間をすり抜けてくる。


「やーい、犬のおやつ!べろべろばー!【挑発】!」


 今度は空洞の目がこちらを捉え、3体の骨が剣を振りかざす。盾ですべての攻撃を受け止めると、ピコン――と通知が表示された。


 

 《スキル【シールドガード】を獲得しました》



 【シールドガード】アクティブ

 獲得条件:盾で一定量以上のダメージを受け止めることで習得。

 効果:敵の攻撃をガード中、タイミングよくスキルを発動することで、受けるダメージを完全に無効化する。

 



「【転写罠インスクリプト・トラップ】!」


 みぃが地面に雷のマークがついたカードのようなものを投げると、アッシュボーン達に電流が走り、頭上に星がくるくると舞って動きが止まった。


「ナイス足止めきの!【氷河の嵐(ブリザードストーム)】きの!」


 きの子さんの詠唱が完了すると、冷風が灰と共に渦を巻き上げ、アッシュボーンたちはカタカタと音を立てながら、ポリゴンとなって空中へと散っていった。


 「終わった……のかな?」


 そう呟いた瞬間、奥の崩れた神殿の階段の上に、宙に浮かぶもう1つの影が現れた。その姿はアッシュボーンのような骸骨だが、纏っているローブは黒い炎に包まれ、手にした杖からは灼熱の魔力が滲み出ていた。

 

 「……フレイムリッチか。こいつは魔法系だ、遠距離攻撃に気をつけろ」


 カタカタと歯を鳴らし、両腕を広げるその様子は、声を失った者が笑っているかのようだった。


 「きの子ん!やって!【神楽共鳴】!」

 「【セッション】!」


 その瞬間、フレイムリッチが杖を頭上に掲げ、振り下ろすと、炎の玉が唸りを上げて飛来した。

 うちは2人を守るように盾を構え、火球を受け止める。しかし、直撃の衝撃は凄まじく、片膝をついてしまう。


「【シールドガード】!ぐっ……!あっつ!!あっつぁい!?」


 火の玉は防いだはずなのに、HPバーが赤く点滅し、じりじりと削られていく。集中回復でも追いつかない。


「【地の嵐(ジオ・ストーム)】きの!」


 詠唱が完了すると、地面から竜巻のような岩が巻き上がり、波のようにフレイムリッチを押し潰す。黒炎の骸骨はポリゴンの灰となって空中に散った。


 「ルーイ!」


 駆け寄ってきたみぃが、素早くポーションを取り出して割ると、点滅が止まり、HPが回復し始める。


「【ヒール】」


 まりんさんの祈りで、HPが元に戻った。


「防いだと思ったのになんでぇ?」


「火傷状態よ。魔法は盾で防げないから、気を付けなさい。2人のバフが続いてたからラッキーだったわね」


 魔法は盾で防げないのか……。みぃの火耐性のスタンプと、【鈴火の舞】の異常状態軽減が効いていたから、火傷のダメージが抑えられていたのね。もしなかったら、もっとHPが削られていたかもしれない。


 みぃが手を差し出してくれたので、その手を掴んで立ち上がる。

 さっきの挑発の失敗に、今回の火傷。かっこ悪いところばかり見せてしまっているし、足を引っ張っているなとも思う。

 だけど――みんなで何かを成し遂げているこの状況が、知らなかった世界がすごく楽しい。

 

 みぃがアウトドアを始めた頃、「知らなかった楽しいを教えてくれてありがとう」って言っていたのを思い出した。

 次に会った時、うちも同じことを伝えよう。


 その後も、アッシュボーンの群れが何度か襲いかかってきたが、難なく撃退することができた。

 なんとなく、挑発の成功率が上がってきた気がする?アッシュボーンは目がないから、挑発が効きにくいのかなぁ。銀司師匠なら、こんな時どう動くんだろう……?


 思考を巡らせながら、崩れた神殿の奥へと進むと、巨大な柱の向こう側に、天井まで届く木製の扉が現れた。


「ここがボス部屋だ。みんな、もう一度装備とアイテムの確認をしてくれ」


 三影さんが全員に声をかける。


 インベントリを開いてみると、みぃからもらったアイテムはほとんど使っていなかった。というより、使う暇がなかったのだ。盾と剣で攻撃を防いでいると、インベントリに触れるタイミングがなかなか掴めない。


 うーん……登山のときに使うハイドレーションバッグのような、飲みたいときに背中のリュックからいつでも吸えます!みたいな、仕組みがあればいいのになぁ。


「さて、ギルドで話した通り、ボスは物理無効だが、何かしらのギミックがあると思う。俺とルーイちゃんでタンクを担当する。残りのメンバーはバフとサポートをしながら、物理が通りそうなら声を掛け合って攻撃しよう。きの子ちゃんは攻撃に集中してくれ」


 全員が装備とアイテムの確認を終えると、三影さんが一歩前に出て、扉の前に立った。


「準備はいいな?……行くぞ」


 重厚な木製の扉が、ギィィ……と音を立ててゆっくりと開いていく。中からは、まるで空気そのものが燃えているかのような熱気が流れ出てきた。


 「うわ……なんか、空気が熱重いきのぉ……」


 きの子さんが顔をしかめる。

 中は薄暗く、天井の高い広間。中央に巨大な魔法陣が刻まれていて、その中心に異様な存在が浮かんでいた。

師匠はどうやって守るんだろと考えている一方で。


銀司:「ぶへーくしゅくまぁ!」

神父:「そこでも”くま”って使うんだ……」

銀司:「口癖くま!そして、誰かがくまくまパトロール隊に入りたい!って噂をきっとしているくま!入隊希望者はスタンプ、ブクマ、★をポチっとするくま~!コメントに自己アピールも歓迎くま!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ