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VRゲームで鳥をもふもふしたいだけ!  作者: 音夢


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44羽目:それは遅効性?それとも即効性?

 きの子さんと目が合い、何かシンパシーを感じた。


「きの子さん、初めまして!みぃの友達でルーイです!人間族(ヒューマン)の剣士で、鳥のすべてを受け止めるために、タンク目指してます!」


「君が新しいギルメンきのね~!きの子は妖精族(フェアリー)のダークエルフで、魔導士ウィザードきの!きのこラブなのきの~!」


 きの子さんはぱっと目を輝かせ、そして嬉しそうに語り始める。


「菌糸類って種類が多すぎるけど、きのこは特に見た目のフォルムとか色がたまらないきの!傘の形とか、ひだの模様とか、もう自然の芸術きの!」


 うちも目を輝かせて頷いた。


「気持ちわかる!鳥類も種類が多いけど、羽の形や色合い、生息域によって全然違って、それがたまらないんだよね!」


 きの子さんは、ぱちぱちと手を叩いた。


「それって、きのこと同じきの!見た目も生態も、奥深いきの~!」


 お互いの推しは違えど、語る熱量と愛は同じ!

 その場に、ちょっとした推し活同盟が誕生した瞬間だった。


 みぃは「やれやれ……」とため息をつきながらジト目で見ている。

 その隣でまりんさんは「ふふっ」と優しく見守り、三影さんは……ちょっとだけ壁と同化していた。


 ジョンさんとツバキ先輩がログインするまでには、まだ少し時間があるらしい。その間に、ゼフィさんを森まで送り届けることにした。


 * * * 


「はい、みんな!これ、お土産にどうぞ」


 アルカナジャムを使ったパウンドケーキを手渡す。

 すると、ケーキの周りに3つの光が集まり、まるで神輿のようにケーキを担ぎながら「ワッショイ!」と舞い始めた。


「……妖精は甘い物好きが多いね?」


 ルミさんに新作のレシピ本を今回は借りられたし、次は食事系のレシピでも試してみようかな?ちなみに、新しい本のタイトルは『恋する薬膳ごはん~癒し&ときめきの一皿をあなたに~』だった。


 * * * 


 ギルドホームに戻ると、三影さんがこちらを見て、みんなに声をかけた。


「全員揃ったな」


 ……と言われたものの、どうにもジョンさんの姿が見当たらない。

 首をかしげながら辺りを見渡すと、壁際でジョンさんが口から紫色のきのこを 半分出したまま、床に倒れて泡を吹いていた。


 ツバキ先輩が、回復っぽい液体をかけているので……まぁ、大丈夫かな?

 ギルドの日常は、今日も平和(?)だった。


「さて、俺たちがこれから向かうのは、地下3階層になっている、地下溶鉱都市(ちかようこうとし) 《マグマの街ダンジョン》だ」

 三影さんが説明を始める。


「それと、さっき伝えたが、みぃちゃんたちの進めている精霊クエストにも、関係している可能性がある」

 どうやら、うちらが留守にしている間に、三影さんが精霊クエストの話を広めてくれていたらしい。


 火山の入口から地底深くに繋がっているそのダンジョンは、かつて火の精霊たちと人々が協力して、武具や魔道具を生み出していた都市だったという。

 ジョンさんとツバキ先輩が吟遊詩人系のクエストで歌を聞き、気になって図書館で文献を調べたところ、該当する場所を発見できたらしい。


 文献によると、地底深くに築かれたその都市は、かつて火の精霊たちと人々が協力し、武具や魔道具を生み出す職人の都だった。しかし、冥界王の侵攻によって都市は封鎖され、精霊炉も封印された。

 今では、精霊たちの気配も途絶え、危険地帯に指定されているため、隠されていたんだとか。


「確かに、この話だと炎の精霊がいそうな気がする」


「そして前回、4名で挑戦したけど……ボスが火属性の《フレイムグラット》で、物理がほとんど通らなかったのよ……」


 まりんさんが困った顔で応える。

 そのとき、壁際でうずくまっていたジョンさんが小さく手を挙げた。

 どうやら、生き返ったらしい。


「……あれはぁ、アカンかった。触れるだけで熱でHPがじわじわ削られてくし……あと、きのこも食べたらアカンかった……こっちはワンパンやったわ……」


 うん、口から見えてたの、明らかに「私、毒です!」って主張してたもんね。


「だから今回は、魔法火力が要になるきのね!」


 きの子さんが胸を張って宣言する。


「火属性には水か氷属性きの!きの子の【氷河の嵐(ブリザードストーム)】でカチンコチンにするきの!」


 きの子さんの宣言でみながやる気で漲っていたのを、三影さんとまりんさんが事前準備をしっかりするように場をまとめる。さすが、ギルマスとサブマス!

 パーティーを組む前に、それぞれが必要な物を確認していると、ツバキ先輩がジョンさんの背中をぽんぽんと叩きながら、回復薬を手渡していた。


「次は勝てるよ。きの子んの超火力があれば、ボスも怖くない」


「おう、リベンジしよな。あと……きのこはもう、食べへん……絶対に……」


 ジョンさんは、きのこ帽子を見て一瞬震えたが、すぐに気を取り直して立ち上がっていた。そんな、2人の微笑ましい瞬間を見ていると、みぃからの視線を感じたので、素朴な疑問を投げかける。


「みぃ、パーティーって5人までだけど、7人だとこの間みたいな同盟でやるの?」


「ギルドメンバーじゃない場合は同盟で複数組むけど、同じギルドならギルドパーティーっていうのを使えばみんなで組めるのよ。ギルマスが編成できるからもう組んでくれてるよ」


 そう言われてパーティー欄を見る。


 1パーティー目:三影(Lv40) みぃ(Lv35) ルーイ(Lv27) きの子(Lv40)

 2パーティー目:まりん(Lv40) ジョン・M・イヌリウス(Lv40) ツバキ(Lv40)


「あれ?みぃレベル上がってるじゃん!おめ!」


「あり~、さっき調合してあがったんだ。お礼にこれあげるね、1日1割だから♪」


 はい、と渡されたのは大量の回復薬と状態異常薬だった。

 トイチならぬイチイチ……その借金が、きのこの毒のようにじわじわと広がっていく。っていうか、これ、押し売りじゃない?

スタンプ、ブクマ、★をポチっとしていただくときのこが浮かび上がるかも?


きの子:「きのこ?!どこきの?!!!」

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