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VRゲームで鳥をもふもふしたいだけ!  作者: 音夢


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3羽目:初ログイン

 「さて、箱はかさばってたけど、VRゴーグルって結構軽いんだなぁ。澪が全部設定やってくれたから安心だね! とりあえずシャワーに入っている内に充電はしてあるから、あとは入るだけか」


 ベットに横たわってからゴーグルを被り起動する。

 フォンと音を立て目を閉じると意識に滑り込むように黒い画面から青いデジタル空間に切り替わる。


「おお、すっごいスムーズ?! とりあえず、ゲームのタイトルを押してと」

 昔、澪のやつで少し体験したことあったけどその頃のやつと全然違うわぁ。


 『箱庭あるてぃめっとオンライン』

 あらすじが流れた後に丸くてカワイイポップな字体のタイトルがふわりと浮かびあがり、ワクワクが止まらない!すると、目の前に小さな影が舞い降りた。


「初めましてっピ! ボクはこのゲームシステムAIのシスクロウっピ! システムの事から、イベントの司会進行までなんでもござれっピ! よろしくっピ!」


 海外で卒業の時に被る帽子のような形をした冠羽があり、サイズは両手に収まるくらいのシマエナガ+フクロウ×可愛さ100倍のカワイイが目の前に出てきた。(語彙力錯乱)これはもう、犯罪レベルですね? あれよ、可愛すぎる罪。


 刑法第250条・無自覚可憐窃盗罪むじかくかれんせっとうざいあたりだよ、これ。

 被告人は、自身の愛らしさを無自覚のまま行使し、周囲の心を盗んだ疑いがある。目撃者の証言によると、「可愛さにより、正常な判断力を奪われた」との被害届が多数(1名)提出されており、容疑は濃厚である。



 スタート画面でこれねー、はいはい。もうタイトルという名の牢獄に閉じ込めてもらっていいですか?

 何この罪深い可愛い生き物、脳が可愛さの処理に追いつかなくてショート寸前ですね? まず落ち着こう深呼吸だ。ひっひっふー。あ、邪心が産まれそう。


「大丈夫っピ? 息切れと動悸が検知されているっピ」


「だ、大丈夫デスゥ……ちょっとビックバンの衝撃のより強い可愛さに脳みそがびっくりしまして……というか、そういうのも検知できるんだね」


「災害・身体・精神異常等があった時はシステムから警告が出て強制終了されますっピ! 今の所、異常検知ではないのでこのまま続けますっピ?」


 もふもふの球体が首を傾げる。

 はぅわぁ……可愛さで丼ご飯3杯いけるわ。


「ヤリマス、イケマス、ゴハンオイシイ」


「ごはん……? えっと、わかりましたっピ!では、お名前と性別をまず教えてくださいっピ!」


 ピコンと音がして《プレイヤーネーム:》と《性別:》が表示されたネオンブルーのキーパネルが目の前に展開される。


「名前かぁ、ルイだと名前まんまだし……ルーイでいいか!性別は女にして……」


「ルーイさんっピね! 素敵なお名前ですっピ!」


 シーちゃん(シスクロウだから)に褒められた! また動悸が……はっ! もしや、これが恋……?


「お次はキャラクターメイキングですっピ! 1から作るもよし、リアルスキャンして調整するもよしですっピ! 外見はゲーム内の町で後から変更することも可能ですっピ!」


 ついにうちのアバター作りか!澪にゼロから作り上げると時間がいくらあっても足りないからそこに気をつけろ!と力説されたので、アドバイスに従ってリアルスキャンをしてそこから調整していくことにしよう。

 ある程度の美化補正はされているらしいけど、リアルに似すぎているとなんか恥ずかしいからね、とりあえず髪色はこげ茶で、瞳の色はブルー!なんか碧眼って憧れるよね!肌色は褐色にしておくか。まぁ後から変えられるので細かい事はどうとでもなる!


 体つきもそこまでは……と思ったがアウトドアができなくなってからの腹周りを思い出してみる。

 ……うん、腹周り。お前だけはダメだ!ちょっとウェスト絞っておこう。きゅっとね。


「素敵ですっピ! お次は種族を選択してくださいっピ!」


 あぁん2回も褒められたぁん、もうこれはプロポーズと捉えてもいいのでは?


 さて、シーちゃん曰く、

 人間族(ヒューマン)

 獣人族(アニマリア)

 妖精族(フェアリー)


 この大まかな3系統からさらに派生するらしい。うちとシーちゃんが結婚するための種族はありますか? あ、ないですか……。

 若干顔が引きつっているような気がするシーちゃんの説明によると合計値は同じになるけど、ヒューマンは全てが均一のバランス型、アニマリアは身体能力値が高く、フェアリー系は知能値などが高く後衛や製造などに向いているとのこと。


 無難にヒューマンでいいかな? 鳥人とかないか聞いてみたけど、今はないが、今後のアップデートで増えるかもしれないと付け足してくれた。


 全ての設定が終わり、これでOKっピ? と可愛く聞かれたので、興奮気味に決定ボタンを押すと、「いってらっしゃいっピ!ボクの事は設定からいつでも呼び出しできるっピ!」と最後に告げられてタイトル画面の部屋からどこかの広場に転送された。


「シーちゃんかわいかった……定期的に呼び出そうぐふふ。って、ほわー! なんかすごい中世ファンタジーの城門って感じ!」


「ようこそ! 新世界人(ニュービー)の方ですね、こちらへどうぞ!」


「あ、ご丁寧にありがとうございます!」


 ペコリと頭を下げて爽やか青年兵士の後ろをついていくと、ピコンと音を立てて目の前にウィンドウが展開された。


 ――《チュートリアルをはじめよう!》

 と表示されている。


 テクテクついて行きながら周りを見ると風に揺られる草木がリアルさながらでハイキングしていた時の事をふと思い出し、澪がおすすめしてくれた理由が少しわかった気もした。


 お、あそこの木に鳥っぽい子が!? ちょっとそっち行ってもいいですか?! あっ、目の前に立ち塞がれてあちらですって言われた。

 右と見せかけてひだりぃぃ! はい、ダメですね、ごめんなさい。さすが鍛えられれた兵士だ、フェイントに引っかからないなんて。


 カバディカバディと横に動きながら、何度もあお君(青年兵士のあおで)にあちらですぅ! あちらにぃ! って相手もディフェンスっぽい動きでうちをガードしながら、門の横にある案内所へたどり着いた。

 先ほど、案内してくれたあお君とは別の強面でちょび髭の兵士さんとバトンタッチして、一通りの操作方法、地図の見方、カカシを使って模擬戦をしてみたり、モンスターの特性などを教えてくれた。


 担当部署が違うだけで、あお君がうちの事、嫌になって変わったわけじゃないよね? 最後ちょっとゲッソリしていたような気がしないでもない?

 必死に止められているのが面白くなっちゃって、何度も道外れようとしたことは反省してるけどさぁ。鳥に引き寄せられちゃうんだから仕方がないと思うの。


 ちょびさん(ちょび髭兵士さんだから)曰くここは、地上世界始りの町がこの『ファウスト』ですべての新世界人(ニュービー)はこの町から始まるんだって。

 レベルを上げるとステータスを振り分けられるので目指す職業により必要値や道具が異なるから、気になる職業があればそれぞれの訓練所ギルドで教えてもらえるとのこと。へぇ、いろいろ見てから決められるのは楽しそう!


 そしてヒューマンである自分はSTR()AGI(素早さ)INT(魔力)VIT(防御)DEX(器用)すべてのステータスの初期値が10で均一セットされている、違う種族だと初期ステータスのバランスが違うってこういうことね。

 ちなみに種族もレベルが高い先の町に行くとゲーム内通貨のR(アール)を支払えば転生可能らしいが感覚が色々変わるみたい。


「では、新世界人(ニュービー)よ!新たな世界の開拓と発展に尽力を願う!」


「はい!頑張ります!」


 敬礼をされたので、なんとなく背筋をピンと伸ばし敬礼返しをする。

 シーちゃんもそうだけど、兵士(NPC)も本物の人間みたいだし、まるで映画の中の世界に飛び込んだみたいだ。


 ――《チュートリアル完了》

 ――《報酬として500Rを入手しました》


 視界の端にシステムメッセージが浮かび上がり獲得したアイテムも続いて表示される。

 【初心者の短剣】――誰でも簡単に使える短剣。物理攻撃+10

 【インベントリアの腕輪】――アクセサリー欄を消費しない。なんでも収納できる。

 【マジックウォレット】――いくらでも収納できる財布。


 システム画面を開いて見ると鞄と巾着のアイコンが増えていたので、鞄をタップしてみると《重量:1/100》と表示され短剣が中に入っており、次に巾着のアイコンをタップしてみると《500R》と表示されていた。


 次なる冒険への準備は万端だ! さて、澪にキャラクター名は教えといたし、ログインしたら連絡くれるって言ってたが、もうしばらくかかるだろうなぁ。あちこち見て回ろうかな?

 高鳴る鼓動に合わせて半年ぶりに自分の足でスキップできる嬉しさと共に木々が生い茂るフィールドにまず行ってみる。


 とりあえず、さっきの鳥ちゃんみにいくぞー!

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― 新着の感想 ―
ついにVRゲーム来た!! しかも鳥、可愛い! この鳥なら飼ってもいいかも、、、と思うほどです。 本当にあったらいいですね、このVRゲーム。 でも私は鳥より犬が好きなので♡ 音夢さんはどうですか? いや…
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