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VRゲームで鳥をもふもふしたいだけ!  作者: 音夢


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10羽目:さぁ、埋もれに行こう

  「まぁ、他にもギルドメンバーはまだいるが、またタイミングが合えばってところだな。なりたい職も見つかった事だし、まずはギルドに説明を聞きに行ってみるといいぞ。お前らもいつまでもルーイちゃんを足止めさせるなー」


 「ほらほら、みんなは行きたいダンジョンがあるって言っていたでしょ?早く準備しちゃいましょうねぇ。みぃちゃんはルーイちゃんと騎士団ギルドに行ってらっしゃいね」


 「「「「はーい」」」」

 

 幼稚園の園児みたいに、みんな手をあげていいお返事をする。

 鶴の一声ならぬ、ギルマスとサブマスの一声で、バチバチしていた空気が一掃された。

 

 「それじゃ、説明と装備とかも整えるのに騎士団ギルドにまずは行きましょ」

 

 隣に座っていたみぃが椅子から立ち上がったので、うちも立ち上がってみんなに行ってきますと、軽く手を振ってギルドハウスをあとにした。

 はー、ゲームとは言えども、沢山の人に合うとちょっと緊張するねぇ。最初はどうなることかと思ったけど、全体的に問題なく終わってよかったよかった。

 

 「そういえば、さっき聞こうと思ったんだけど、盾職ってやっぱり騎士系なんだね?」


 「盾職って本来の名前じゃなくて、どちらかと言うと、戦い方のスタンスみたいなものね。主に防御に特化してパーティーを守る人達の事を、総称して盾職(タンク)って呼んでるのよ」

 

 ほぉほぉ、ダメージを受け持ったり、モンスターを自分以外の人に行かせないよう、ヘイト管理をしたりするらしい。

 つまり、私だけを見ろよ(イケボで壁ドンからの顎くいっ)ってすればいいんだね!

 うち知ってるよ、そして最後は「そんな都合のいい女じゃないわよ!」って平手打ちされるんでしょ?

 打たれるなら翼がいいな。

 

 他にも避け(タンク)でダメージを負わずに、避けまくってやる人もいるらしい。三影さんとかそういう事もやれたりするんだって、さすがギルマス!え?まりんさんも?!やっぱサブマスで美女だから?イケメンと美女は、文武両道で何でもできる説。

 どの職業もタンクは可能だけど、うちのやりたい事を考えると騎士系統のが合っているとのこと。

 

 職業ギルドに登録するプロセスはどれも同じらしくと、初期装備やアイテムがもらえて、講習を受けるといろんなスキルが獲得できるらしい。スキル獲得は講習、スクロール等、あとはスキルを使用していくと、レベルが上がって上位スキルだったりに、派生していくらしい。

 お勉強して覚えるか、データインストールして覚えるか、筋肉を育てて覚えればいいのね。おっけ!覚えた!


 「内容は合っているけど、相変わらず、覚え方がざっくりね」


 「覚えるの苦手だから、どうしてもこうやって、自分でわかりやすくしていかないとダメなんだよねぇ。学校の暗記系テストなんて、下から数えた方が早かったくらいだし」


 「やり方の問題なだけな気がするけど……?世界一美しいオウムは?」


 何か急にクイズショーが始まった!そんな簡単なクイズなんて朝飯前よ!クルマサカオウム!

 

 クルマサカオウムはね、オーストラリア内陸の乾燥地域に生息しているオウムなんだよ。体長約40センチだから大型に分類されていて、つがいか少数の群れを作って生活しているんだよね。

 顔から腹部にかけては淡いピンク色、背中と翼は白が基調の体色になっているの。

 頭の冠羽を広げると、目を引く美しい色をしていて、それが世界一美しいと言われている由来なんだけどね。先端から白、赤、黄色、赤の順番に色が付いているんだー。


 って、あれ?みぃが眉間を摘まんで空を仰いでる。ちょっと説明が長すぎたか?なるべく私情を挟まず、適格に情報だけを、説明できたと思ったんだけどなぁ。

 

 「まさにそれ、暗記系だと思うんだけど……?」


 「鳥はー、ホラ、あれですよ?デザートは別腹ならぬ、鳥は別ブレイン?ちょっと海馬が違うんだよ」


 「そういうことにしておいてあげるわ……はぁ」


 何やかんやと話しているうちに、気がつけば騎士団ギルドの前に立っていた。

 それは三階建ての石造りの建物で、まるで小さな宮殿のような作りをしている。重厚な扉の上には、剣と盾を模した深紅の旗が掲げられていて、煌びやかさはないが、そこに立つだけで背筋が伸びるような、静かなる威厳が漂っていた。


 扉をくぐると、そこはまるで冒険者たちの拠点にふさわしい、荘厳で活気に満ちた空間だった。重厚なダークウッドのテーブルが整然と並び、それぞれが役所のように部門ごとに分かれているようだ。

 壁際には巨大な掲示板が設置されており、そこにはランク別に色分けされた依頼書が所狭しと貼られている。中には、掲示板の前で真剣に腕を組む騎士や、仲間と相談しながら指を差す魔導士の姿もあった。


 受付には、整った制服を着た受付嬢が数名。そのうちのひとりは、笑顔で冒険者に説明をしており、もうひとりは書類を手際よく仕分けながら、刺すような鋭い目でホール全体を見渡している。

 

 「ギルドって、結構役所みたいな雰囲気なんだね。何となく映画のバイキングとかで見る、お祭り騒ぎみたいに、ゴチャついているのを想像してた」


 「それぞれのギルドで、特徴や雰囲気の違いはあるけど、確かに役所っぽい所はあるわね」


 「今更ながらだけど、みぃってなんの職業なの?」


 「そういえば言ってなかったわね、私は錬金術師(アルケミスト)よ、調薬とか物質を作り出すのが得意なの」


 アルケミスト!赤いコート着て両手地面につけて呼び出すやつ!!英語でも日本語でも、字面がどちらもかっこよすぎるのだが。


 「とりあえず、あそこの人が登録窓口だから行ってらっしゃい。大体1時間ぐらいで終わるから、完了したら連絡頂戴ね。その間に、のんびり買い出しとかしてくるわ」


 みぃが示した窓口は、先ほどとてつもなく素早い手際で、書類を分けながらホールにガン飛ばしている受付嬢だった。

 

 あ、話しかけていく人がいる、あの男の子も初心者かな?受付の人はテーブルで見えないだろうけど、あの人、すごい両足が産まれたての小鹿みたいに震えてるわ。小鹿君と名付けよう。

 受付嬢の目つきが、獲物を狙っている猛禽類みたいで、威圧を感じているのかもしれない。

 

 小鹿君も終わったみたいだし、うちも行きますかね!世界の羽毛を受け止めるための第一歩を今踏み出す!

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