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40 アサシンアナグマ


「アキヒコさんの仕事に活躍しそうですね」

「で、二人はどこで登録して移動時間を短縮したいんだ?」

「そ、そうですね。では街の近くで登録してくださると助かります。帰るときに使って頂けると助かりますので、ルナティックムーンも近いですしアキヒコさん達のLvを重点的に上げたい所です」


 俺のLvを上げたい……か。

 まあ少しでも強くなりたいから断る理由は全くない。


「んじゃ次の仕事と行こうか」

「きゅー!」


 という訳で俺達は街に戻り、ギルドで新しい依頼を受けることになった。


「次の依頼は?」

「えーっとタンプ村近隣にある水源の洞窟で巨大なカタツムリらしき魔物が住み着いてしまい、水が濁って困っているそうです。何人もの冒険者が戦いを挑んで帰ってこなかったと報告されていますね」

「なんか難易度高そうな依頼だな」

「ル・カルコル辺りかしら?」


 ファナがここで小首をかしげながら訪ねる。

 やっぱり詳しいな、こいつ等。先輩冒険者って感じ?


「偵察した冒険者の話でも、そのような報告が来てます。それとアサシンアナグマが近隣で大量出現してしまっていて、挑んだ冒険者はどちらかにやられたのでしょうとなっています」


 なんだか面倒そうな依頼だけど魔物退治となれば経験値が稼げるから条件は悪くない。


「早速出発ね」

「アキヒコさん。帰りの準備は出来ていらっしゃいますか?」

「ポータルゲートの登録なら済んでるぞ」

「じゃあ行きましょう。時間がもったいないのでアキヒコさんはルリルさんに乗って私たちは小走りで行きましょうか。そっちの方が早いでしょう」

「キュ!」


 ルリルがカモンカモンと座って耳で手招きをしてくる。

 なーんか再会してからこいつのテンションがおかしいんだよな……。


「……わかった。じゃあルリルの背に乗るか」


 首に腕輪を巻いて……握って、ルリルの背に乗る。

 ……魔物使いとしての力、ライディングサポートってスキル、自動発動のパッシヴって類のスキルが作動しているのが分かる。

 不思議なくらい、ルリルの背中に体が吸い付く感じがする。相当暴れ無い限りは落ちはしない気がする。


「出発ー」


 そんな訳で俺達は足早に次の依頼へと向かった。




 えーっと地図で見るとそこそこ距離はあるけど急げば日暮には件の村に到着できそうだ。


「ガアアア!」


 そんな所でアサシンアナグマと言う動きの速い魔物の群れがこっちに近づいてくる。


「大量に出現してるってのは本当みたいだな。まだ村にすら着いて無いってのにさ」

「そのようですね」


 アサシンアナグマ……前に戦った事があるな。急所狙いの爪による一撃を放ってくる奴だ。

 戦い方はわかってる。

 俺はルリルから降りて腕輪をジャマダハルモードに変化させる。


「キュー!」


 戦うのを理解したのかルリルが跳躍して近づいてくるアサシンアナグマにスタンピングを行い踏み荒らす。


「ガアア!?」


 ボンと跳ね飛ばされてアサシンアナグマ達は一斉にルリルへと顔を向けた。


「んじゃ行こうか」


 ファナがアサシンアナグマの群れに向かって腰を低くして素早く飛び掛かって行く。

 バッとファナの猛攻をアサシンアナグマは散開して距離を取りつつ一匹が一直線に後衛の俺達に向かってくる。


「アキヒコ」

「キュー!」

「気にせずそっちは各々の敵を処理しててくれ、この程度で遅れは取らない」

「アキヒコさん!」

「前に出なくて良い。この程度俺が処理する。ロネットとルアトルはファナとルリルの方の群れへと援護をしてくれ」


 と、俺は近づいてくるアサシンアナグマに牽制の魔弾を放ちつつ、アサシンアナグマに向かって腕輪を振り上げて爪を弾く。


「ガア!」


 アサシンアナグマを始めて倒したのはLv10の時、毛皮を冒険者ギルドに持って行った時は一人だと新人は必要Lv20は必要だとか買い取り商人が感心していた。

 とても素早く急所狙いの攻撃をしてくる面倒な魔物だけど動き自体は単調だ。

 あの時と変わらないな。

 突き刺さんとする爪を腕輪で弾いて流れるように腹に向けて一文字。

 ザシュっと手ごたえがあったけれど、毛皮を切り裂くには足らない。

 手が少しばかり痺れる。やはりLv差は無慈悲に広いか……けど。

 サッともう片方の手に腕輪を付け替えてアサシンアナグマの腹に至近距離から魔弾をぶつけてやる。


「ふっとべ」

「ギャ――」


 ピューンとアサシンアナグマは吹き飛び木に激突した。

 ドスっと地面に転がりながら受け身を取るアサシンアナグマが血走った怒りの眼で先ほどより更に足に力を込めて飛び掛かってくる。


「これで……トドメ!」

「ガ――」


 ザシュっと二度目の腹への一撃で毛皮は裂け、血が飛び散りアサシンアナグマの一匹は絶命した。


「次!」


 と、ファナの方を見ると既に決着が付いていた。

 アサシンアナグマの群れは俺が一匹仕留めるより早く殲滅されてしまっていたようだ。

 現に手に着いた血をファナは拭っている所だ。足枷に付けた鉄球にも血がこびり付いている。


「キュウウウ!」


 ルリルの方も周囲のアサシンアナグマが潰れて絶命している。

 いや……一匹、首が一文字に吹っ飛んで生首として転がっているけど、これは味方の会心の一撃でも誤射で当たったって所かな。


「おー雄々しいね。ファナはともかくアキヒコやルリルはLvが低いって言うのに」

「別に……」


 手に入った経験値を確認……制限が緩和されたのか思ったより入るな。

 次のLvアップもこの調子ならすぐだ。


「で、こいつらの処理はするのか?」


 依頼の場合は尻尾とかを切って提出、もしくは毛皮目当てだと毛皮の提出だったっけ。


「討伐対象の一部ではあるので尻尾を切ってもっていきましょう」

「あいよ」


 腕輪をジャマダハル状態にして尾骨の合間に入れて切る。

 切った尻尾をロネットに提出してと……。


「アキヒコさんはアサシンアナグマを特殊武器に登録してますか?」

「してたけど、無くなった」

「キュウウウ!」


 ライムに腕輪を食われた際に殆ど登録していたものが無くなって新たに取得しなくちゃいけなくなった。

 確かアサシンアナグマは15匹特殊武器 に入れると素早さが3上がって攻撃が2増えるだったはず。

 そこそこ効率が良い。


「毛皮とかにする訳でも無いならアキヒコが全部登録したら良いんじゃない?」


 どうやら俺以外の三人はアサシンアナグマを登録済みの様だ。


「……そうですね。アキヒコさん。許可します」 

「んじゃ貰っとく」


 腕輪にアサシンアナグマの死体を収納して登録を行う。

 あと何匹か必要だけど、この遭遇率なら直ぐ登録できるだろう。


「件の村までアサシンアナグマを探しながら行く感じで良いんだよな?」

「はい。しかし……随分と数が増えてしまっているようですね」

「そうだね。地味に危険な魔物だから倒しておかないとね」

「ロネットとルアトル、ファナならそこまで苦戦しないようだし、今日だけでもそこそこ減らせそうだな」

「まあね」

「ですが……魔物側からしたら私たちは酷い虐殺者……なのかもしれませんね」

「増えすぎて周辺地域の生態系や人に迷惑をかける魔物なんて奴らの方を気にする必要なんてないだろ」


 そもそもこの世界って絶滅って事は無いんだし。

 一定数減ると何処からともかく現れるんだろ?

 動物愛護の精神は立派だけどそれで被害が出た奴に責任を取れるのか? 人間側は耐えなきゃいけないなんてそれこそエゴだ。


「……そうですね。確かに、このあたりのアサシンアナグマは増えすぎているようです。増えすぎた魔物は他の魔物にも襲い掛かり、上位種へと変質して周囲に被害を出す可能性も増えますので減らしていきましょう」


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