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魔導書はかく語りき  作者: 絢野悠
《魔法少女と狂った聖母》
105/225

十六話

【14ターン目】




 盾を引き、鎚を出した。スクラップにあった円匙を得点に加え、イズミの点数は16点に。ビオスフティスの8点とはダブルスコアになった。


 頬が緩みそうになるのを抑え、短く息を吐いて表情を固める。


 相手がカードを出したのを見て、イズミは即座に盾を出した。手札は剣と盾の二枚しかないが、この勢いを崩したくなかったのだ。


 ビオスフティスのカードは銃だった。本当ならば円匙や杖を阻止したかったところだが、これも仕方がない。


 盾のせいで、手札がどんどんと消えていく。盾を使えば使うほど自由度が下がっていくのを実感していた。


 より、運による左右が大きいことがわかる。


 引く盾の数を最小限に抑え、かつ鎚を引くことがポイントとなる。しかしながら中央の山札を崩し、自分のスクラップとしなければポイントにはつながらない。


 唯一の救いは、鎚というカードが盾に妨害されないこと。相手の出方がわからない場合、とりあえず鎚を出してポイントを増やすというのが楽な選択肢だろうと悟った。


 その前に鎚を引けなければ意味がない。攻撃用のカードで山札を崩すという特性上、そのスクラップの中に鎚がたくさん紛れ、後半にはすでに鎚がないという状況もありえる。鎚がきたのなら、その時にまた使い方を考えなければいけない。



 山札:196

 イズミの手札2  スクラップ16  得点16

 ビオスフティスの手札3  スクラップ19 得点8






【15ターン目】




 盾を引き、剣を出した。これで手札が盾2枚になってしまった。次のターンでも盾が来るようなら、しばらく動くことができなくなるだろう。


 イズミは奥歯をぐっと噛んだ。


 たかがゲームされどゲーム。このゲームに勝てなければ、自分は魔導書に飲み込まれる。その恐ろしさは式守だからこそ理解していた。


 ビオスフティスがカードを出したところで、すかさず盾を出してそれを阻止。まだ勢いは自分にあると言い聞かせていた。


 出されたカードは銃だった。当然のように、ビオスフティスの笑顔を見ることになる。


 これが本当に自分の勢いを守ることなのかと、若干の不安を抱えながら次のターンを迎えることになる。




 山札:192

 イズミの手札2  スクラップ18  得点16

 ビオスフティスの手札3  スクラップ19 得点8





【16ターン目】




 そして、悪夢がやってくる。


 3枚連続で盾を引いた。


 深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。


「パスします」

「手札が二枚あって両方盾か。なかなか運がいいね、なかなかないよそういう状況」

「そんなこと言ってると、アナタにも返ってきますよ」

「言霊というやつか? まあ、楽しみにしているよ」


 ビオスフティスが出したカードは、当然盾で止めた。カードは剣だった。


 おそらく彼女は盾で防御してくることを見越して剣を出したのだろう。彼女のカードは三枚ある。こちらの盾が尽きるまで、そうやってやり過ごす手段を持っているのかもしれない。


 わからなくなる。


 次は盾を出した方がいいのか、悪いのか。


 ビオスフティスの策にはまっていることには気がついている。それでも、疑心暗鬼にならざるを得ない状況だった。



 山札:190

 イズミの手札2  スクラップ18  得点16

 ビオスフティスの手札3  スクラップ19 得点8





【17ターン目】





 4回目の盾を引いてしまうと、さすがに気が滅入ってくる。なにもできずパスをするしかない。


 ビオスフティスは悠々とカードを出してきたので、それにつられて盾を出してしまった。ビオスフティスのカードが鎚をであったため、盾は無効のまま宙に消えていった。


 それでもイズミが16点、ビオスフティスが12点。まだこちらに分がある。


 点数としては分があっても、運の向きだけはどうやっても自分では変えられない。それが歯がゆく、怒りのやりどころに困っていた。


 自分でなんとかできないことならば「自分が悪いのだ」と納得もできるし、目標まで努力できる。しかし、その努力の方向性がないのだから、その腹立たしさを体外へ放出することができない。

 それでも山札は半分以上残っている。十分やれると、拳を握った。



 山札:188

 イズミの手札1   スクラップ18  得点16

 ビオスフティスの手札3  スクラップ17 得点12






【18ターン目】





 剣を引き、そのまま剣を出した。


 ビオスフティスがカードを出す。やや迷いつつも、引き離されたくないイズミは盾を出すことにした。ビオスフティスのカードは銃だった。


 ここでイズミの手札が尽きた。思った以上に早く手札がなくなってしまい、どうするべきかと思考する。


 手札がないということは自由度が極端に下るということ。予想していたことではあるが、盾しか手札にないと、相手の攻撃を止めにいきたくなってしまう。


 盾が手元に来てしまった以上は出してしまうしかないことは理解していた。だから、相手がどんな手で来ようとも、とりあえず盾を出しておけばその場を誤魔化すことはできる。


 盾を溜めることも考えた。が、それで相手が杖などを出し続けられては後手に回るだけになる。


 本来それを見極めて盾を出すのだが、見極めをするだけの情報がない。それならばと、自分の手札を空にしたのだ。

 これが凶と出るか吉と出るかは、今のイズミにはわからない。



 山札:184

 イズミの手札0   スクラップ20  得点16

 ビオスフティスの手札3  スクラップ17  得点12




【19ターン目】




 杖を引き、そのまま杖を出した。手札がないこの状況では、引いたカードが出せるのならば出すしか方法がない。逆にパスができるのは、引いたカードが盾であった時だけ。逆を言えばパスをした場合、それが盾であることが相手にバレてしまう。相手はリスクを回避するために、強いカードを出すことを控える可能性が高い。もしくは鎚のカードで盾を無効化してくるだろう。


 ビオスフティスは杖を出してきた。これで双方が杖を出し、自分のスクラップを増やしたことになる。


 まだ山札はたくさんある。得点を重ねておきたい気持ちもあるが、点数を開きすぎて追いかけられるのも好ましくない。


 顎に親指を当てて、ビオスフティスの顔を見た。


 心の中で「憎たらしい」と僅かに思ってしまった。


 ビオスフティスが、それはそれは楽しそうに笑っていたからだ。



 山札:170

 イズミの手札0   スクラップ26  得点16

 ビオスフティスの手札3  スクラップ23  得点12


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