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エロゲ転生 運命に抗う金豚貴族の奮闘記  作者: 名無しの権兵衛


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「レオルド様。こちらの書類に判をお願いします」


「ああ、わかった」


「レオルド様。こちらが今月分の税収になります。確認の方、お願いします」


「うむ」


「レオルド様。住民から魔物駆除の依頼が届いております。急ぎの案件を纏めましたので、ご確認願います」


「ご苦労」


「レオルド様。私へのご褒美は?」


「どさくさに紛れて強請ねだるな!」


 先日、レオルドは騎士団の雑用係となっていた五人に試験を行い、三人採用した。能力は高くはないが、やる気はあるし、何よりもレオルドに忠実であった。


 不採用になった二人は落ち込んでいたが、レオルドにはどうする事も出来なかった。剣の才能も無ければ文官としての才能も無かったのだから、二人の落ち込み具合は相当なものだ。

 レオルドは何とかしてやりたかったが、ゲームの時のように数値パラメータが見える訳では無い。だから、不採用の二人が何が得意か不得意かも分からない。故にレオルドは結局、不採用にした二人を救う事は出来なかった。


 慰めようとしたが、二人から向けられる視線にレオルドは耐え切れなかった。不採用になった二人も自分達が悪いと知りながらも、僅かにでも希望を見せてくれたレオルドが憎らしかった。

 どうせ落ちるなら、最初から希望を持たせて欲しくなかったと。頭では理解していても二人の感情がレオルドを拒んだ。


 最後に向けられた目がレオルドは忘れる事が出来なかった。

 ちなみに不採用になった二人は雑用係ではなくイザベルが育成した使用人と同じ扱いになり、給金は騎士団にいた頃よりは上がっていた。


 現在、騎士団には元々の雑用係の二人とイザベルが育成した使用人を合わせて二十人が雑用をこなしていた。そんなに必要なのかと思われたが、交代制にしており何人かは休日を得ることが出来ており、思っている以上に改善された。


 レオルドが持つ真人の記憶から抽出した成果だ。人は毎日働く事など出来はしない。いや、出来たとしても効率は落ちていくだけで、最終的には損する。

 だから、休息を挟んで肉体的な疲労を癒す必要があるのだ。運命48は無駄に中世ヨーロッパ風なので、毎日働くのが当たり前になっている。日本人が作った中途半端な中世ヨーロッパ風なくせに、変な所は史実を再現してるのだから困りものだ。

 だからこそ、レオルドの改善策は劇的なものであった。一週間のうち三日も休みを作ったのだ。そんなに休んだら、仕事にならないだろうと思われたが、意外にも上手くいった。


 最大の理由はイザベルの指導のおかげであった。イザベルがいなければ破綻していたと言ってもいいくらいだ。

 イザベルはたった四日で最高のパフォーマンスを維持して仕事を終わらせる技術を新人達に叩き込んだのだ。適度に肩の力を抜く時と、ここぞと言う時には本気を出して働く事を覚えさせた。


 そして、もう一つ意外な出来事もあった。それは、騎士団に雑用の為に派遣していた使用人と騎士が婚約を結んだのだ。

 それを聞いたレオルドは最初こそ驚いたが、よくよく考えてみれば騎士団は基本男所帯だ。仕事は治安維持、魔物駆除と言ったもので出会いの場などない。

 そこに使用人である女性が騎士団に出入りするようになったのだ。飢えた狼の群れに羊を投げ込むようなものだった。仕事中の使用人を口説いたりする様子が見られたそうだ。


 基本的に貴族は貴族と結婚する。だが、家督を継がない三男や四男は家を出る事が多い。だから、平民と結婚することもある。

 これが本物の中世ヨーロッパなら有り得ないだろうが、この運命48の世界は日本人が考えた、なんちゃって中世ヨーロッパ風な世界だ。細かい事は気にしなくていいのだ。


 こういう所は中途半端に真人の記憶が邪魔をする。真人の記憶では中世ヨーロッパがどのようなものかを中途半端に記憶しているからだ。

 逆にレオルドの記憶だとこういうものなんだと認識している。そのおかげで偶に混乱してしまうことがある。レオルドに真人の記憶が宿り新たな人格になったはいいが、こういう時に二つの記憶があると不便である。


「ふむ。キリがいいから今日はこの辺でお終いにしよう」


「分かりました!」


 元気な返事を耳にしながらレオルドは机の上を片付ける。他の三人も机の上を整理して午前の作業を終えた。

 レオルドは執務室を出て食堂に向かい昼食をとる。昼食を取り終わると、レオルドは午後の日課になっている鍛錬ダイエットへと取り組む。


 ちなみに文官の三人も書類仕事ばかりでは身体がなまっていけないだろうと参加しているが、レオルドと比べたら可愛いものだ。レオルドがギルバート、バルバロトにしばかれてる横で軽く運動をしているだけなのだから。

 勿論、強制しているわけではない。三人がレオルドを見習って自主的にやっているだけだ。ただ、レオルドがギルバートとバルバロトから罵詈雑言を浴びながら鍛錬に励んでいる姿に、三人はちょっとした恐怖を感じていた。


 レオルドがゼアトにやってきて初めての冬がもうすぐやってくる。レオルドは本格的に冬が来る前に、とある計画を実行に移そうと考えながら、いつものように宙を舞った。

 頭から地面に落ちて意識を失う寸前、レオルドは運命48にあったイベントを自分の手で起こすのだと決めて意識を手放した。

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[一言] イザベラとのノリが寒い
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