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エロゲ転生 運命に抗う金豚貴族の奮闘記  作者: 名無しの権兵衛


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 モンスターパニックが終息を迎えて、やっと平穏な日々が訪れるかと思ったが、レオルドは事後処理に追われていた。


 ゼアトの周辺に散乱している魔物の死体を集め、使える部位を解体し、残りは焼却処分。魔物の体内には大なり小なり魔石というものが存在する。

 魔石はエネルギー源にもなるので運命48の世界で重宝されている。


 レオルドが手伝う必要は無いのだが、自分が放った魔法のせいで土地が荒れているのを指摘され、せっせと事後処理に励んでいた。


 ちなみにその様子を見守っていたベイナードはレオルドの魔法に感心していた。


「レオルドよ。俺と一戦どうだ?」


「とんでもない。王国屈指の剣士となんて戦えませんって」


「安心しろ。手加減してやるし、魔法を使ってもいいぞ」


「いや、無理ですから」


「そうかたいことを言うんじゃない。俺と戦えるなんて滅多にないことなんだぞ?」


「そうかもしれませんが、特に魅力はないのでお断りします」


 諦め切れないベイナードはレオルドにしつこく食い下がる。しかし、レオルドは一向に首を縦に振らない。そこへ、天の助けと呼べるギルバートがベイナードとレオルドの間に割り込む。


「その辺で良いでしょう。ベイナード殿。あまり、無理を言わないで下さい」


「むう……では、ギルバート殿はいかがです?」


「ご冗談を。この老い先短い老人を殺すおつもりですか?」


「はっはっはっは。それこそご冗談を。ギルバート殿からは歴戦の猛者が持つ匂いを感じますよ。それこそ、俺などよりよっぽど……」


 二人とも笑っているが、側にいるレオルドは気が気じゃなかった。二人から陽炎のようなオーラが立ち上がるのを見たレオルドは股間がヒュンッと縮こまる。

 そんなレオルドの様子を察したのか、二人から立ち上がっていたオーラは霧散してレオルドは解放されて一息つく。


(び、ビビったー!

 なんだよ、さっきの!

 アレが王国内最強に近い男か……)


 言うまでもないが、ギルバートは伝説の暗殺者として大陸に名を轟かせた程の猛者であり、今はレオルドの執事だ。

 対してベイナードは、アルガベイン王国の騎士団の団長と言う肩書きを持つ剣士である。実力は王国では二番目とされている。そう、最強ではない。王国最強は他にいるのだから。


 しかし、二番目と称されても実力は確かなもので、実際にバジリスクを一刀の下に両断している。勿論、ギルバートとレオルドがバジリスクを弱らせたからというのもあるが、例えそれが無くとも、ベイナードであればバジリスクを一撃で殺せる実力は持っているだろう。


 ただ、団長という立場の人間なので前線には滅多に出てこないのだが、今回はモンスターパニックという災害だった為、国王アルベリオンが王命を出してベイナードを現地投入したのだ。


 ベイナードは騎士団の団長なのだから、王都の守りはどうなるのだという疑問が生まれるのだが、王都には王族を守護する、騎士団とは違う騎士が存在する。

 王国騎士団が王国の守護者なら、彼等は王族の守護者である。


 ちなみに、ゲームだとベイナード団長と戦うことが出来る。ジークフリートがとあるヒロインとのルートに突入するとイベントで戦うことになる。

 王国で二番目に強いとされるベイナードはゲームでも強い。魔法は身体強化しか使わないのだが、剣術による攻撃が馬鹿みたいに強い。そんなベイナードが持つスキルは、剣士ならば大半は持っている斬撃強化というありふれたスキルである。


 斬撃強化は刀剣類によるダメージを1.2倍、クリティカル率を10%上げる能力だ。クリティカルは相手に倍のダメージを与える事が出来る。背後からならば確定で決まる。


 簡単に計算すると100のダメージが1.2倍で120になり、クリティカルが決まると240になるという代物。

 ただし、これはあくまで斬撃強化が未熟な場合であり、斬撃強化は熟練度が上がるスキルとなっているので、最高値はダメージ3倍とクリティカル率100%である。つまり、最大六倍ものダメージを与えることが出来る仕様だ。


 ただ、この最高値を叩き出せる人間は一人しかいない。これはジークフリートではない。運命48に存在する最強の一角である剣士だ。

 ここでは名前を明かすことはないが、近接戦闘ならば最強と、運命48を作った制作陣が断言している。

 公式が認める強さで、ユーザーからはチートキャラとして認識されている。


「うーむ……俺としてはもう少し骨のある奴とやってみたかったのだがな」


 恐らくベイナードは、モンスターパニックでは満足することができなかったのだろう。普段は王都に押し込められて書類仕事に追われている為、ベイナードは久しぶりの戦闘で昂っていた。

 だからこそ、今回のモンスターパニックで満足出来なかった分の埋め合わせとして、レオルドやギルバートにしつこく戦いを求めてしまった。


「そんなに戦いたいんです?」


「むっ!? もしかして、やる気が出たのか?」


「いえ、違います」


「なんだ……つまらない」


「どんだけ戦いたいんですか……」


 呆れるレオルドは、よくこんなので騎士団を纏めれるなと思ったが、基本的に纏め役を担っているのは副団長の方である。

 残念ながら今回副団長は同行しておらず、ベイナードを制御出来る者がいない。

  おかげでレオルドやギルバートはいい迷惑なのだが、レオルドは命を救われている手前、無下には扱えないので結構困っていた。


(一度だけ稽古っていう形で戦ってあげるか?

 いや、でも、怖そうだしな〜

 バルバロトやギルバートとは違った怖さあるし……

 でも、王国騎士団の団長と戦える機会は滅多にないから、本人の言う通りではあるんだよね〜

 どうしたもんかなー)


 ほんのちょっぴりレオルドは模擬戦くらいならと、思い始めてしまった。

 この後、どうなるかも知らないで。 



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