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エロゲ転生 運命に抗う金豚貴族の奮闘記  作者: 名無しの権兵衛


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 空に悠然といるレッドワイバーンを睨み付けるバルバロトは剣を強く握り締めた。

 そして、次の瞬間には駆け出した。レッドワイバーンを叩き落としてやろうという強い思いで。


「バルバロト!!」


 一人の騎士が自ら踏み台になるように構えて、走るバルバロトに声を掛ける。バルバロトは騎士の意図を把握すると騎士を踏み台にして高く跳び上がる。

 しかし、それでもまだレッドワイバーンがいる高さには届かない。


「魔法班! 風を!」


 宙に浮かんでいるバルバロトが下にいる魔法使い達に指示を下す。魔法使い達はバルバロトが欲している風の魔法をバルバロト目掛けて放った。

 下からの突風によりバルバロトがさらに上へと打ち上げられる。あまりの威力にバルバロトの姿勢が大きく崩れるがレッドワイバーンに剣が届く高さまで昇った。


 だが、レッドワイバーンもただ見ているだけではない。自身の命を刈り取ろうとしている愚か者を返り討ちにしてやろうと大きく息を吸い込んでいた。

 そして、バルバロトが眼前に迫った瞬間を狙って最大火力のブレスをお見舞した。


 鉄すら容易に溶かすレッドワイバーンの灼熱の咆哮ブレスはバルバロトをあっという間に飲み込んだ。下で見守っていた騎士達は、その光景に絶望するかと思われていた。

 だが、騎士達は誰も悲嘆には暮れていなかった。何故ならば、バルバロトがどれほどの男かを誰もが知っているからだ。


「おおおおおおおおおおおお!!!」


 騎士達の期待通り、レッドワイバーンのブレスに飲み込まれたバルバロトが雄叫びを上げながら炎を纏っていた。

 螺旋を描くようにバルバロトは剣を振るう。


 刮目せよ。

 これが貴様を殺す男だ。

 後悔しながら死んでゆけ。


 バルバロトの瞳にレッドワイバーンの瞳が映る。綺麗に剣はレッドワイバーンの首へと向かう。これで決着だと、確かな感触をバルバロトは感じた。


 対するレッドワイバーンの瞳にも同様にバルバロトの瞳が映る。剣が首に迫り、刎ね飛ばされるまでの一瞬がスローモーションのように長く感じられ、レッドワイバーンは後悔が止まらなかった。


 何故、自分は逃げなかったのか。

 何故、自分は勝てると思ったのか。

 どこで間違えた――


 バルバロトが振るった剣がレッドワイバーンの首を刎ねた。最期にレッドワイバーンが映したものは自分を殺した相手であった。


 ああ……この男を見誤っていたか――


 レッドワイバーンの首と身体が落下していく。ドシンッと地響きを起こしてレッドワイバーンは完全に絶命した。

 レッドワイバーンの死体の近くにバルバロトも着地をするが、片膝を着いて苦悶の表情を見せる。


(ぐっ……流石に魔法をモロに受けたのは堪えるな)


 レッドワイバーンがいる高さまで届かなかったから、魔法使い達に風の魔法で後押しをしてもらったが反動がなかった訳ではない。

 突風により背中を押された形だが、大の大人であるバルバロトを上に押し上げなければならないのだから相当な威力を出さなければいけなかった。

 それに加えて、バルバロトは鎧を纏っており重さは増している。

 ならば、魔法使い達も加減をしている場合ではないと判断した結果が今のバルバロトの状況である。


 魔法を受けた際はアドレナリンが出ており、所謂興奮状態であった為に痛みは感じなかった。だが、今はレッドワイバーンを倒したおかげで気が緩んでしまい、一気に反動が出てしまったのだ。


 しかし、バルバロトの活躍のおかげで騎士達も奮い立ち、ワイバーン討伐も大詰めとなっていた。残るは五頭のワイバーンとなっており、バルバロト抜きでも勝てる戦いだ。


 だが、ここで思わぬ誤算が生まれた。巣のボスであったレッドワイバーンが死んだことだ。ボスが死んだ事により、ワイバーン達はボスの命令に従う必要が無くなり、逃げる事を決めた。


 騎士達の猛攻を必死に凌いだワイバーン五頭は一斉に逃げ出した。弓矢で追撃を仕掛けるもワイバーンが本気で逃げる速さには追いつかない。

 結果、五頭ものワイバーンを取り逃してしまうという失態を犯してしまった騎士団。


 さらに不幸は続き、ワイバーンが逃げた方向はゼアトだった。このままではワイバーンがゼアトを襲撃する事は間違いない。

 傷付いたワイバーンは体力を回復させようと餌を探し求める。ワイバーンにより周辺の生態系が変わった為に餌となる魔物や動物は住処を変えている。なら、一番簡単に餌が手に入る場所は一つしかない。


 人が住んでいる街や村だ。そして、ワイバーン達はそれを知った上でゼアトに向かった訳ではない。たまたま逃げ出した方向にゼアトがあるというだけで、ワイバーン達にとっては運が良かったという話だ。


 五頭ものワイバーンがゼアトへ向かう。


 騎士達はワイバーンを追いかけようにも先の戦闘で負傷した者が多く、既に追い掛ける体力すら残ってはいない者ばかりだ。

 だからと言ってこのままゼアトへ行かせるわけにはいかないと、隊長は軽傷の騎士を集めてワイバーンを追い掛ける判断をする。


「急いでゼアトへと戻る! 軽傷の者のみ着いてこい。残りは周囲に警戒しつつ回復に努めよ!」


 軽傷の騎士達を引き連れて隊長はゼアトへと急ぐ。ゼアトへと向かって飛んでいくワイバーンを視界に映しながら。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ただでさえ王都の援軍が必要と言われていた上に、想定外のレッドワイバーンの存在。 にもかかわらず死者数ゼロ。 ちょっとありえないかな…。 展開がヌルすぎます。 世界観がR18で、小説と…
[一言] 騎士団つえぇな、熊並のおおきさで飛んでる蜥蜴をバルサンは規格外としても一般団員だって殴り合うことはできてる。 これじゃ、首都の騎士団はパなそうそんな中で神童とうたわれた主人公の成長が楽しみで…
[気になる点] 主人公出さないでこんなにワイバーンの話いる?
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