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エロゲ転生 運命に抗う金豚貴族の奮闘記  作者: 名無しの権兵衛


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 跳躍してレッドワイバーンに迫るバルバロトは剣を振るうがレッドワイバーンには届かなかった。

 先程と同じ結果にバルバロトは歯噛みするが、諦めることはない。剣さえ届けば首を断ち切れると確信しているからだ。


 レッドワイバーンはバルバロトが振るう剣を警戒しているようで上空から降りてこようとはしない。安全圏から火を吐いて騎士を燃やし尽くそうとしているが、魔法使い達に阻害されて苛立ち始めていた。

 しかし、魔法使い達に近付こうものならバルバロトが脅威になる。たかだか餌である人間だと思っているが、中には自身の命を脅かす存在もいるとレッドワイバーンは知っている。

 だからこそ、バルバロトには最大の警戒を持って相手している。


(ちっ……どうにかしてレッドワイバーンに一撃を入れなければ……数の上ではこちらが勝っているが負傷者が増え始めている。

 このままだとジリ貧で負ける……なら、戦況を覆すにはレッドワイバーンに一撃を入れることだ)


 バルバロトはレッドワイバーンから目を逸らさずに戦場を分析していた。

 時折、襲い掛かってくるワイバーンを軽くあしらっている。騎士の中でも頭一つ抜けているバルバロトだからこそ出来る芸当だ。他の騎士なら、あっさりとワイバーンに倒されてしまうだろう。


 そんなバルバロトも上空にいるレッドワイバーンには手を焼いていた。跳べても空を自在に動き回れる訳ではないので決定打に欠けているのだ。

 バルバロトが攻めあぐねていたら、戦況は大きく傾き始める。


「うわぁぁっ!!」


 今まで持ち堪えていた騎士がワイバーンに押し倒されてしまったのだ。他の騎士が駆け付けて助けようとするものの、ワイバーンも一人でも多く殺そうと邪魔をして騎士を助ける事が出来ないようにしている。


 死者を出す訳にはいかない、とバルバロトがレッドワイバーンから騎士を押し倒しているワイバーンへと向かう。

 レッドワイバーンはここが好機だと判断して、邪魔ばかりしていた魔法使い達へと襲い掛かる。


「怯むな! 撃てえ!」


 レッドワイバーンを撃ち落とそうと魔法が放たれる。しかし、レッドワイバーンは器用に魔法を避けて魔法使い達を襲った。


「うぐぁぁっ!」


 レッドワイバーンにより魔法使い達は一気に数を減らす。死者こそ出てはいないが、戦闘が可能な魔法使いは片手で数える程までに減ってしまった。


 戦線は一気に崩れてワイバーン側が有利となってしまった。これには騎士達も冷静ではいられなくなり、無謀な攻撃を仕掛けてしまう。

 結果、更なる負傷者を出してしまい騎士側の敗北が決まってしまう。


 かと思われたが、バルバロトが三頭ものワイバーンを一撃で斬り伏せた。


「まだだ!!! 我々はまだ負けてはいない! 立ち上がれ、騎士達よ! 我等が敗北すれば民達はどうなる! 我らの勝利を信じて帰りを待っている民達のためにも我等は負けてはならぬのだ!」


『おぉ……ぉぉぉおおおおおおお!!!』


 ワイバーンの勢いに敗北を免れないと思われていた騎士達は、バルバロトに発破を掛けられて闘志を燃やす。ここで負けてはならないのだと。ここで負ければ自分達を信じてくれた民達に顔向けが出来ないのだと。


 そして、何より守るべき大切な人達がワイバーンに傷つけられてはならないと。


 ならば、立ち上がるのは至極当然の事。

 最早、我等に敗北はない。

 これより先は死してなお剣を振るうのだ。


「俺に続けぇぇぇえええええええええ!!!」


 襲い掛かるワイバーンを斬り伏せて、血濡れになりながら鬼気迫る表情でレッドワイバーンに向かって駆けるバルバロト。

 バルバロトに触発された騎士達も勢いを取り戻して、ワイバーンと戦う。ワイバーンは突然強さを増した騎士達に困惑していた。


 先程までは自分達が勝っていたのに、と。

 なのに、今はなんだ。

 どこにこのような力があるのだ。


 そう思いながら、必死に抵抗していたワイバーンも首を刎ねられる。切り離された首が最期に見た光景は次々と仲間達が殺されてゆく光景であった。


「おおおおおおおおおおお!!!」


 ワイバーンに負けず劣らずの咆哮を上げるバルバロトにワイバーンは怖気付く。

 ワイバーンがアレは手を出してはいけない相手なのだと本能で理解してしまう。もうここにはいられない、と逃げ出したい気持ちが出てくるが逆らう事の出来ない存在は他にもいる。


 レッドワイバーンだ。


 巣のボスをしているレッドワイバーンにはワイバーンは逆らえない。レッドワイバーンが逃げ出すか殺されない限りはワイバーンは死に物狂いで騎士達と戦わねばならない。


 故に両者とも決死の覚悟で戦うことになる。雌のワイバーンは幼体を見捨てて生き残る事を決めた。子はまた作ればいいのだ、と本能が告げたのだから。


「ここが正念場だ!!!」


 戦線に加わっていた隊長の一言で騎士達は残りの気力を振り絞る。既にワイバーンはレッドワイバーンを含めて六頭にまで減らした。


 唯一の問題は未だに無傷のレッドワイバーンだ。だが、しかし騎士達にも希望はある。ゼアト一の騎士バルバロトがレッドワイバーンに剣先を向けている。


「叩き落としてやるぞ……!」


 鎧を返り血で真っ赤に染めながら、上空にいるレッドワイバーンを烈火の如く燃え盛る闘志が宿った瞳で睨み付けていた。

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