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エロゲ転生 運命に抗う金豚貴族の奮闘記  作者: 名無しの権兵衛


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 先日、ギルバートにワイバーン討伐に参加しないようにと釘を刺されたが、レオルドはどうしても我慢が出来なかった。


 なにせ本物のワイバーンを見られるのだから。


 しかし、やはりここは現実なので危険な真似は出来ない。騎士団に混じってワイバーンを見物けんぶつすると言う事は死地に赴く事と同義だ。


 流石にワイバーン見たさに死地へと行く勇気はレオルドには無い。だから、レオルドは諦める以外無かった。


「ふんむ……ワイバーンは見たいけど、ギルバートの言うとおり大人しくしておくか」


 魔法書を片手にレオルドはベッドに寝転ぶ。いつもならば、ギルバートと組み手を行っているのだが今日はギルバートが出かけており、やる事がない。


 自堕落にベッドでゴロゴロと転がりたい所だが、こんな姿を見られたらギルバートに何て言われるか分かったものではないとレオルドはベッドから起き上がる。


 自室を出て、廊下を歩くレオルドの視界にシェリアが映る。シェリアは初日に顔を合わせた以降は交流はない。ギルバートが仕組んだ事ではなく、シェリアがレオルドを避けていた。


 シェリアは完全に油断していたらしく、レオルドの顔を見るとあからさまに嫌そうな顔をした。


(う……キモがられてる……仲良くしたいんだけど無理だよな~)



 遠目からでもはっきりと分かるシェリアの態度にレオルドは心の中で溜息を吐く。進行方向にシェリアがいるのですれ違うのだが、レオルドは特に何も言わずシェリアも頭を下げるのみだった。


「はあ~よかった。思わず顔に出ちゃったけど、何も言われなかったから気がつかなかったようね。次も気を付けなくちゃね!」


 悲しい事にシェリアの態度はバレバレであった。真人の記憶が宿っていなければレオルドに何をされていたかは分からないが、以前までのレオルドならば容易に想像がつく。


 レオルドに遭遇した事は運が悪かったと思うシェリアだったが、失敗を悟られなかったのは幸運だったと上機嫌になって仕事に励んだ。


 レオルドはいつもギルバートと組み手を行っている庭に出ると、魔法の練習を始めた。最初は土属性の魔法で、穴を掘っては埋めるといった作業を繰り返している。もっと、派手な魔法をと最初の頃は考えていたが、ギルバート、バルバロト、二人と戦っている内に考えが変わった。


 勝つ為なら手段は選んでいられないと。だから、ギルバートやバルバロトと鍛錬を行う時、小さな窪みや突起を地面に発生させて体勢を崩そうと試みた。


 しかし、ギルバートは伝説の暗殺者でバルバロトはゼアト一の騎士。そう簡単に引っかかるような相手ではない。


 ただ、発想については二人とも称賛してくれたのでレオルドは無詠唱かつギルバートやバルバロトに通用するだけの技術を身に着けようと必死なのだ。


 しばらく続けていたが、レオルドは切り替えて水属性の魔法を発動させる。水の球、水の矢、水の針といった三つの形だ。


 ゲームではアクアボール、ウォーターアロー、ウォータースピアと安直な名前で呼ばれている魔法だ。どれも基本的に敵へ撃ち放つ魔法だが、ゲームだと序盤以降は使わなくなる。消費魔力は少ないから便利ではあるが威力は高くない。


 なので、序盤のみで役目を終える。中盤以降はさらに強力な魔法を覚えるからだ。


「ふう……ふう……」


 されど、現実ともなれば話は違ってくる。三つも違う魔法を発動させて維持しているレオルドは額に汗を滲ませていた。


 簡単な魔法だから、そこまで苦労はしないはずだと思うだろうが現実はそう甘くはない。


 そもそも、一つならば可能かもしれないが三つも制御するというのは相当に難しい。仮にシェリアが試したとすれば、たちまち制御が出来ずに暴発させてしまう。


 レオルドの才があって成せる技だ。


 ただし、上には上がいる。ゲームでは全ての属性を操る存在がいたので、当然この世界にもいるわけだ。


 しかし、レオルドも天才の部類には入っている。ただ、今は誰も評価は出来ていない。まだ、未完成な技術なのでレオルドは隠している。


「ぶはぁーっ!」


 集中が切れたレオルドは大きく息を吐いて、その場に座り込む。維持していた魔法は霧散して地面が濡れた。


 汗だくになったレオルドは、しばらくの間休憩を取った。十分に休憩を取ったレオルドは立ち上がると手を空に向けた。


「ライトニング」


 詠唱を破棄して魔法名を紡いだレオルドの視界に雷が落ちる。勿論、十分な距離をとっているのでレオルドに危険はない。


「いつ見ても雷はすごいな~」


 呑気な事を言ってはいるが、今の一撃が普通の人に直撃すれば感電死は免れない。レオルドが先程唱えた魔法はゲームであれば中盤で習得できる魔法であった。


 ちなみにレオルドはこの魔法をギルバートに使ったことがある。最初は躊躇っていたのだが、落雷を簡単に避けるギルバートの規格外っぷりに躊躇う気持ちは薄れていったが。流石は伝説の暗殺者である。


 だけど、レオルドはそれ以降の組み手では雷属性の魔法は使っていない。やはり、ゲームでレオルドが多用していたからか雷属性の魔法は今の時点でも他二つの属性よりも得意なのだ。


 ならば、優先するのは他二つとなっている。ただ、やむを得ない場合は雷属性の魔法を使うようにしている。その機会が訪れなければいいのだが、ゲームでは語られない場所にいるレオルドは近い内にその機会が訪れるとは思いもしなかった。 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ただ、今のレオルドなら普通に断る。生き残る事に必死なのでワイバーンの駆除など騎士団に任せておけばいいと判断するに違いない。 って書いてるのにギルバートに加勢に行くように言おうとしたり…
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