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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
シーサイド・ファイヤー《下》
98/1088

英雄譚は誰の為に 5

 魔王と呼ぶべきなのか、死竜と呼ぶべきなのか、それとも闇竜と呼びべきなのかを悩むべきところだが、ここは大人しく魔王と呼ぶべきなのだろう。

 魔王デルスロードはある意味完成してしまったといっていいだろう。


()()()()()()()()()()


 それが烈火の英雄が救われる道なのだと信じよう、彼だってある意味被害者なのだから。

 目の前に立ちふさがる魔王を倒し、彼の妹を救う事で俺はこの争いに終止符を打ちたい。


 嘘だられの国を、烈火の英雄を救う最後のチャンス。


 禍々しい姿の魔王。

 竜と人を掛け合わせたような姿であり、左右にデザインの違う竜の羽と手足は竜の鱗が生えており、強靭の爪とある意味妖艶という言葉がふさわしい女性像。


「ここは手狭い」


 右手を振り払うようなそぶりを見せたその瞬間、壁がぶつかってきたような衝撃が前方からやってきたと思うと、そのまま俺の体が崩壊した建物ごと外へと吹き飛んでいく。

 一瞬だけの事だが意識が途絶え、目を覚ましたその瞬間には建物の外、俺はとっさに太陽の鏡を召喚し、足場にしつつ同じく外に弾き落とされただろう烈火の英雄を探した。

 すると落下している最中の烈火の英雄を急いで回収し、そのまま一旦下まで降りようとするのだが、魔王は左を真上に掲げると黒い球体を作り出す。


 あれがやばいという事ぐらいは見ているだけでもわかる。

 黒い球体からは圧倒的な圧を感じ、その圧は明らかに俺や烈火の英雄の方を向いているのは確かで、今すぐにでもここから離れるべきなのは分かるのだが、出来る事なら避難民がまだいるかもしれない状況ではここで止めるのが俺が取るべく方法だろう。


 そう思いどうするかを刹那の思考で考えていると、横から誰かが飛び出てくるとそのまま黒い球体に襲い掛かっていく。

 それがガーランドなのだとはっきり分かると同時、ガーランドがちらりと俺の方を見た。


 今のうちに烈火の英雄を避難させろという意味なのだろうが、ガーランド一人で勝てる相手だとは思わない。

 いや、それが自惚れなんだ。


 俺は急いで下まで降りていき、物陰に烈火の英雄を隠すとそのまま元の場所まで戻っていく。

 再び上空まで戻っていくと、ガーランドが右腕を負傷しながら魔王と戦っている最中だった。


 俺は横から割って入り、魔王に斬りかかるのだが魔王の周りに見えないバリアのようなモノを感じた。


「他の避難民をお願いします! 俺は足場がありますから大丈夫です」


 ガーランドは黙って頷く下まで降りていくと近くで隠れている避難民を外へと逃がしていく。

 俺は避難民に被害を出さないように魔王の下から緑星剣を振り上げる。


「風竜の一撃! 攻撃の型! 時津風(ときつかぜ)!」


 バリアのような壁を破壊しようと試みるのだが、しかし、見えない壁を簡単には打ち壊すことは出来ない。

 弾かれそうになる中、俺は緑星剣をねじ込もうとすると微かにだがバリアにヒビが入り始める。


 異能殺し。


 竜の欠片と竜の旅団を持つ俺の最大の力であり、その詳細はあらゆる異能にまつわる力に対する最大の対抗手段。


「なるほど………だがこれなら?」


 魔王は両手を左右に振ると、魔王の周囲の空間に黒いサッカーボールほどの大きさの球体が姿を現し、俺に向かって突っ込んでくる。

 俺は時津風を止めて鏡をもう一つ姿を召喚し、足場を移動させる。

 連続で突っこんでくる球体がある限り無暗に突っ込んでバリアを破壊するわけにもいかない。


「風竜の一撃! 攻撃の型! 風見鶏!」


 横なぎの一撃攻撃をギリギリまで引き付けた状態で性格に狙いを定めてようとする。


闇雷(やみいかずち)


 俺の頭上から襲い掛かってくる黒い雷を回避するため風見鶏を解除し、いったん魔王から距離を取るが、技全てを解除する必要はない。

 この形からでも出せる技ぐらいは想定済みだ。


「切り返し! 追い風!」


 体を全力で後ろに飛ばし、黒い雷が地面を黒く焦がすと視界の先に黒い球体と魔王の姿が一直線に並んだタイミング、バネのような要領で一気に前方へと突っ込んでいく。

 両手で剣を握りしめ横なぎの一撃を球体と魔王を守るバリアをまとめて叩く。


 黒い球体は弾けて消え、俺の一撃はそのまま魔王へと届きそうになるのだが、バリアに当たるその瞬間に魔王の姿が消えてしまった。

 俺の一撃が空を切り、足場に両足と左手を付けて体勢を整える。


獅子黒雷(ししくろいかづち)


 声のした遥か頭上を見ると黒い雷と言ってもいい存在が大きな口を開いており、遥か頭上で俺に向かって突っ込んでいく。

 足元にはまだ民間人がいる場所も多く、あんな大きな一撃が地面に叩き込まれたらひとたまりもない。

 雷の一撃を叩き込もうにも俺には『無』から『有』を作り出す術は存在しない。

 しかし、あのレベルの雷を受け止める手段も存在しない。


 こうしている間にも接近してくる攻撃を逸らす手段も思いつかない。


「敵の雷を利用しろ!雷が無いのなら敵が作った雷を利用するんだ」


 ガーランドの一声が俺元に届いたその瞬間にはもう目前に迫る雷の獅子に対して俺は思いっきり突っ込んでいた。


「雷竜の一撃! 攻撃の型! (さか)(いかづち)!」


 一旦緑星剣で攻撃を受け取り、それが俺の体に辿り着く前に前方方向へと跳ね返そうとする。

 勿論全ての攻撃を受け止められるわけでも、跳ね返せるわけでもないが攻撃の半分を跳ね返す事でバリアを破壊することに成功した。

 全身に痛みが走り、その痛みに耐えながら俺は一気に魔王へと突っ込んでいくが、魔王は俺からの攻撃を紙一重で回避する。

 無理に体を移動させた反動で魔王の体が空中で制止する。

 俺は素早く鏡を召喚して足場にした状態で、体で受けた雷を緑星剣まで逆流させ纏わせながら突っ込んでいく。


「雷竜の一撃! 攻撃の型! 放電(ほうでん)!」


 雷を纏わせた一撃を横なぎに切りつける。

 無理に回避しようとした反動で回避することもできず、まともに攻撃を全身で受けてしまった魔王の体に横傷が出来てしまう。

 これ以上ダメージを与えると烈火の英雄の妹の方にもダメージを与えかねない。


「これ以上ダメージを与えれば彼女の方にもダメージがいく。君はそれが出来るかな?」

「俺には出来ないよ。でも……それだけのダメージで俺は彼女を救う事が出来る」


 俺には救う術があるんだ。


「ラウンズ!」


 俺は十六枚の鏡を召喚し、三十九体の騎士人形を召喚すると魔王の周りを囲むように集まる。


「傷の治りが遅いだろ? 異能で回復しようとすると邪魔をする力だ。その程度ならすぐに回復できるけど。今ここで動くことは出来ない」


 この瞬間だけで充分なんだ。


 異能の中に入るにはこの状態だけで十分だ。


「俺達三十九人が揃って初めて『星屑の英雄』なんだ! これまでの時間を取り戻すことも、今まで死んだ人をよみがえらせる手段も無い! だけど………お前が認識を捻じ曲げて嘘に変えた少女だけは救う事が出来るんだ! 行くぞ皆!」


 俺と一緒に三十九人は魔王に向かって剣を向け、俺の合図と共に鏡と一緒に襲い掛かっていく。


「ラウンズコンビネーション!」


 連続で、突き刺すのと同時に魔王の中へと入っていく。


 俺は迫りくる闇の意識の中一人の少女を探す為に潜っていく。



 ジュリはすっかり慣れてしまったヴァルーチャを抱えながら車で送ってもらいながら第一島へと近づいていく。

 今頃第一島ではソラが戦っているはずだと。

 そう思いながらジュリはふと車の窓からソラが三十九人の騎士人形を召喚している瞬間を見てしまった。


「運転手さん! 止めてください!」


 ジュリは急いで車から出ていくとソラが魔王に突っ込んでいくその瞬間を目撃してしまった。

 魔王の体は鏡の球体に閉じ込められたまま制止する。


 ソラが何をしようとしているのか、ジュリを含めて分かっているモノは誰にもいなかった。


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