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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
シーサイド・ファイヤー《下》
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薬品管理センター攻防戦 13

 青髪の男の瞳が大きく開かれ、俺は男が作った隙を見逃さないように鏡を使って一旦俺の姿を消す。

 俺はそのまま鏡と共に真上の照明を破壊する。

 天井からガラスの破片が床に落ちていくと同時に周囲が少しだけ暗くなっていく。

 俺がそのまま次の照明を目指して突き進もうとするが、その間に影の鎌が俺に向かって襲い掛かってくる。


「ラウンズ!」


 俺が召喚した騎士人形は緑星剣をシールドに形を変え、攻撃から俺を守ってくれている間に照明を更に二つほど破壊する。

 俺はそのまま騎士人形を更に二つ召喚し、俺の護衛をさせながら一気に照明を落としていく。

 次第に大広間が暗く閉ざされていく中、最後の1つを破壊すると大広間は廊下の遥か後方にある炎の明かりだけが頼りになっていた。


「アンタが照明をすべて消さないのはあいての距離をきちんと測る必要性があるからだ。あんたは影を使って攻撃できるというだけで、距離感や相手の居場所までを探れるわけじゃない。だから最低限相手の位置を確認しなくては戦えない」

「それは君も同じだろう?」

「俺は違う。俺は空気の流れや振動で相手の位置が把握できる」


 俺は青髪の男から大きく距離を取った場所で立ち尽くし、鏡を使って攻撃を仕掛ける。

 男は四方八方から襲い掛かってくる鏡の攻撃をかすり傷程度で済ませながら、それでも攻撃を的確に回避する。


 やはり鏡を使った攻撃は炎の光を反射してしまう為に致命打にはならない。

 俺の方向へと少しずつ誘導し、俺に近づてきたタイミングで俺は剣を突き刺そう一気に近づいた。

 剣を男の背中目掛けて一気に突き出すのだが、男は振り返り俺の剣を片手で受け止めながらダメージをなるべく軽減させる。


「鏡は光を反射する。だから致命打を与えようとするのなら必ず近づいてくるだろうと思っていた。確実に攻撃を仕掛けるなら少しずつ誘導するだろうという事もな」

「だからあえて誘導に乗り、俺が攻撃してくる瞬間を狙ったわけだ」

「この至近距離なら距離感なんて関係ない」

「それは俺も同じだ。この距離ならさすがに鏡の攻撃を躱し切れないだろう?」


 ラウンズは既に解除済み、しかしこの距離ならもう相手を逃がすことも無い。

 俺は全力で鏡による質量攻撃を叩き込もうとし、青髪の男も俺の体目掛けて影による攻撃を繰り出す。

 もう相手に当たるまで幾ばくも無い一瞬の時間、俺達の頭上に閃光弾の眩い光が明るく照らし、同時に俺達は本能的に距離を取る。


「ご苦労だったね。しかし、君が捨て身の攻撃なんて………ギル以来の苦戦かい?」


 青髪が振り返るとそこには細めのオールバックの男事フォードが拍手しながら立っていた。


「ボルノ………ここは私に任せて逃げなさい。ジャンも撤退したようだし……私はこのまま水鏡で第一島まで移動するよ」

「だが………早く移動しなさい。私と違って君達は直接移動しなくてはいけないのだから。何、彼と直接争うわけじゃないよ。少し話をしてみたくてね」


 ボルノという男性は黙って身を引くことにしたらしく、俺となりを通って黙って大広間から逃げていく。


「さて………君とはアクア・レイン要塞でも会ったね。改めて、反政府組織のリーダーをしているフォードという者だ」

「………竜達の旅団。人間側の団長『ソラ・ウルベクト』」

「竜側の団長『シャドウバイヤ』」

「フム………二千年前に活躍した旅団。その二代目が復活していたというのは本当だったようだな」


 フォードは口元を抑えながら考え込む。


「そうなってくると君達がどうしてこの争いに関わっているのかを尋ねた方が良いだろうな」

「……この国を変えたい。この国に変わって欲しいという願いがある。俺達はその代弁者だ。あくまでも国を変えるのはこの国の国民だ」

「そうか。しかし、この国の嘘が嘘をつき続けてきたことも真実。それを今更変えた厭うのは自分勝手な意見じゃないかな?」

「国を動かすこと自体が自分勝手じゃないのか?国にとって自分勝手な考えがいつだって国を動かしてきたはずだ」


 いつだって国を動かした来たのは間違いなく自分勝手な意見。

 国のトップが他国の事だけを考えていたら国を動かせないだろう。

 国の消滅の危機を迎えるはずだ。


「そうだな。なら結局で英雄を殺した人間は正しかったということだ。なら我々の考えは真っ向から否定されるわけだ」

「それとこれとは全くの別だ。嘘をつき続け、それが国民を傷つけているのも事実」

「それを言えば我々は正しいという事になるが?」

「多くの人を傷つけて、多くの人を巻き込むやり方が?」

「一長一短はいつだってバランスを取るものだろ?革命に犠牲はつきものだ。例えばフランス革命だって多くの犠牲をもってなされている」


 西暦世界の歴史を持ち出してほしくは無い。


「あれは国民の総意をもってなされていたはずだ。あんた達のように少数が起こしているモノと同じにされたくはない」

「………なるほど。君と私がどこかで分かり合えるのではとは思っていたし、その為に口説き落とす方法をいくつか考えていたのだが、君は確固たる意志があるようだ。それこそ頑固と言ってもいい」


 フォードはどこか諦めたような表情をし、俺に対して距離を取る。


「君自身は私の意見に流されない。君自身の正しいという意思に元に行動を起こし、その為には責任を取る覚悟を持っている。そういう人間は厄介だ。君は私達の障害になるかもしれないな………」

「ならどうする?ここで俺を消すか?」


 フォードは俺の方目掛けて一枚の紙きれを投げて渡す。


「そこに私達が明日する計画内容が書かれている」

「何故そんなものを?今更信用できるとでも?」

「君に計画が漏れても私個人としては困らないのでね。というよりは君達が抵抗してくれれば抵抗するほど私個人にとっては有利になる。だから情報を漏らしたかった。それが理由だよ」

「仲間を売るのか?」

「売るわけじゃない。計画が完成の域に達するように下準備に入っているだけだよ。その紙を見れば分かってもらえるが、君達が計画を妨害したいのであれば君達は戦力を五等分に分けて第二島から第六島に振り分ける必要がある」


 要するにこの男は自分の計画を遂行する為の方法として俺達を分散する方法を思いついたという事だ。


「それだけの時間があれば私個人は十分さ。念のために第一島にギルを配置しているし。これを君達だけで突破できるかな?この海洋同盟の十五の大島の寺院にある鏡を破壊し、第一島に来れるかな?」

「何を目的にしているんだ?俺にはあんたの目的と反政府組織の目的が一致するとは思えない………アンタは人間か?」


 フォードはニコリと笑った。


「勿論。私は人間ですよ」


 嘘だ。

 この目は嘘をついている。


「では……会う時は第一島という事になりますね。作戦は明日の明朝。詳しい作戦内容はその紙に書いてある。君がどう動くのかを楽しみにさせてもらうよ」


 フォードはポケットの中から手のひらサイズの缶を投げつけ、水鏡を空中に作り出す。


「そうだ。当日はおそらく正規軍も君達の敵になるはずだ。君達だけでどうやって突破するのか楽しみにさせてもらうよ」


 竜達の旅団VS反政府組織『分派』&海洋同盟正規軍。


 正直勝てる見込みはゼロ。

 しかし、もう………時間は存在しなかった。

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