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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
シーサイド・ファイヤー《下》
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嘘つきの国 3

 『竜達の旅団』の新しいルール。

 その一、チームとしての行動は人側と竜側の代表者の合意で決め、どちらかが合意に至らなければ行動は不可とする。

 その二、行動する場合両リーダーの意見を尊重し、その場での判断はその場にいる人間で下す事。

 その三、我らは人と竜の為、世界の為に戦い、場合によっては国や組織に逆らう行動をとる。

 その四、竜達の旅団に所属する場合は両リーダーに確認を取る事。

 その五、以上をもって竜達の旅団のルールとする。



 基本は人側のリーダーと竜側のリーダーの確認を取る必要があるという最低限のルールを決めたのまではいいが、問題は竜側のリーダーである。

 この場にはシャドウバイヤしかいないし、他の候補はエアロードとヒーリングベルしかいないのが現状。

 エアロードは馬鹿だからという理由で論外とし、ヒーリングベルは人間側のリーダーである俺と一緒にいるわけじゃないからという理由で排除。

 となるとシャドウバイヤしかいないわけなのだが、問題は本人があまり乗り気ではないという事である。


 最も完全にやる気が無いわけじゃなく、他に候補の居ないなら「まあやってもいいかな」ぐらいの気持ち。

 問題としては遊びでやるのではないという事を食事の席、特に奈美とイリーナに対してしつこく言ってのけたわけだ。

 という事もあり正直仕方がないなんて理由でリーダーをやってほしくない。


 しかし、それ以外の竜達に務まるとは言い難く、言い出しっぺであるシャドウバイヤがするのが一番バランスがいい。


「言い出しっぺがしてほしいんだけど?勿論シャドウバイヤがやる気が無いというのなら別の話になるが?」

「やる気が全くないわけじゃないが、私があると約一名が不満げにするんじゃないかと」

「誰?そんな奴いる?」

「エアロード。間違いなく文句を言う。あいつ人を見下さないくせに見栄だけは張ろうとするから。自分を差し置いて他が選ばれたら間違いなく文句を言う」

「この場におらず、馬鹿でいざとなったら戦う事以外しない奴に文句を挟む権利があるとは思えないけど?」


 まあ、分からないことは無い。

 エアロードの特徴でもあるが無い見栄を張り、賢くもない癖に奇妙な事で頭を回転させようとする。

 その事で失敗しかねないのがあれのやばい所でもある。


「じゃあ引き受けること自体は別にいいという事だな?」

「それは言い。どうせエアロード以外はやりたがらないだろうからな…」


 それには同意。

 面倒なうえ、いざとなったら責任を取る必要性があり個性の強い他の竜の中間管理役を行わなくてはいけない役目やりたがるわけが無い。


「まあ個性の強いあいつらの事だから絶対まとまりなんて無いだろうがな」

「それには同意だけど、そもそも初期の段階でどれだけ参加をしてくれるかどうかだと思うぞ。できれば事が動く前に他にも二人ほど参加して欲しい」

「候補が居ないわけじゃない。今からテレパシーを送れば夕方にでも姿を現すだろう」


 その辺はシャドウバイヤを信用するしかない。

 取り敢えず俺達がするべきことはジェノバ博士が告げてくれた『ある場所』へと向かうことだろう。



 第三島から更に外へと足を向け第七島へと向かう事になった。

 問題はモノレールを使えば時間が際限なくかかるという点であり、飛空艇の国内便を使って一時間も掛からず俺達は第七島へと足を踏み出した。


「この第七島は教育機関が揃っている場所が多くて、小、中、高、大学が揃っているし、専門学校なんかもこの区画に集まっている」


 俺の説明をよそにジュリ以外のメンバーは第七島に足を踏み出した途端はしゃぎ回っている。


「他の島に比べて少し平坦な気がするね」

「第七島は全体的にも凹凸が少なく滑らかな坂ぐらいならあるらしいけど、山と言えるようなのは無いらしい」

「その代り寺院の塔の部分が高くできているんだね」

「そうみたいだな。まあ、今回の狙いは寺院じゃなくて教育機関だからな……」

「ソラとジュリよ。教育機関に行くのはいいがどの辺にあるのか確認済みか?」


 シャドウバイヤの言葉に俺は携帯の地図アプリをシャドウバイヤとジュリの見せ、この辺り一帯のマップを広げる。


「ここが今いる国内線用の空港で、ここからバスでニ十分ほどの場所にこの辺り教育機関をまとめている場所があるから其処に向かう」

「そこで何をする?」

「既にジェノバ博士の紹介状は持っているから後は着いてからのお楽しみだな」


 というか半分は既にネタバレをしているとおり、そここそが反政府組織の本流の拠点でもある。


「さて……お前達そろそろ行く……!? どこに行った?」


 俺達が目を離した隙に四名が行方不明になっている。

 奈美やイリーナやレクターはともかくとしてケビンさんまで巻き込んで消えるとは。


「全く。待つという事が出来ないのかあの三人は………」

「どこに行ったのかな?これだけ多いと流石に探すのに時間が掛かりそうだね」

「フム。この多さではさすがのエアロードの力も役には立てまい?」

「無理だな。しかし、待っていたら時間が掛かり過ぎるし………アナウンスで呼びかけるか?」


 というかそれ以外に方法が無い気がするし、というより俺個人で言えばそれすらしたくない。

 恥ずかしい事この上ない。


「私が行ってくるね」


 そう言って自ら恥ずかしい役目を全うしてくれるジュリが眩しく見え、遠く離れていくジュリに敬礼をする俺とシャドウバイヤ。


「しかし、子供じゃあるまいに。空港で遊び回らなくてもいいだろうに」

「仕方ないのではないか?見知らぬ土地で見たことも無い場所では好奇心が動くものだろう?」

「俺は起きない。未知への恐怖心しか湧いてこない」


 目を覚まして見えるのは見知らぬ人々、見知らぬ場所、見知らぬ草木と歴史を積み重ねた国。

 俺が三年前の五月に経験したあの感覚だけは忘れようも無い。

 心細くなれるのに何か月も掛かってしまった。


『イリーナちゃん。奈美ちゃん。レクター君。ケビンちゃん。ジュリエッタお姉さんがお呼びです。迷子センターまでお越しください』


「ジュリも地味に怒っていたか」

「みたいだな。まあ反省してくれればよい」


 その後ジュリからきっちり説教を受けたのち、俺達は教育機関総本山のある『第七島四番地行き』のバスに乗り込んだ。


「ひどい目にあったよ」

「奈美達が遊びに行って行方が分からなくらるからだろ?こっちが段取りしている間に………子供じゃあるまいに」


 俺がジト目を四名に送り、四名は首ごと視線を逸らして逃げる。


 四番地が近づいていく間に、乗り込む人間も様々な学生が増えていく。

 降りては乗り込んだり、見えてくる景色も学校以外に学生寮用のマンションや学生が好みそうなお店ばかりが並んでいる。

 大人より学生が明らかに多く、街中を歩いている姿も学生七割大人三割といった風に見え。

 家族連れは全く見受けられない。


「教育機関が揃っているというだけあって観光客すら少ないイメージだな」


 俺の言葉に全員が黙って頷く。


「学生の数が少ないのは夏休みだからかな?それでも部活動やサークルに参加している学生は学校に行っているみたいだけど」

「ジュリお姉ちゃんあの大きなお城みたいな建物何かな?」

「あれは………図書館だと思うよ。でも大きな図書館だね。多分第七島では学生が多い反面学校以外で勉強できる空間が欲しいんだと思うけど……」

「ではあの近代的な建物もそうですか?複雑に出来ていますが?」

「あれは大学じゃないですか?それっぽく見えますけど?」


 いや、そうじゃない。

 あれこそが俺達の目的地だ。


「そろそろ降りるぞ。あそこが俺達の目的地教育機関総本山『教育省ビル』」


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